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セッション デイミアン・チャゼル監督の出世作

アートとエンタメの狭間

特に劇的なストーリーの展開や重層的な複雑な展開もなく、ストーリーにかかわる登場人物は5人ほどというシンプルさ。
このシンプルな構成で2時間、息も付かせぬほどの面白さで見せてしまいます。
いやー本当に台本と演出の上手さ。これぞ映画。

テーマはたぶん今の世の中の温い教育では歴史に残る偉大な人物は出てこないのではないかという警告。

とにかくフレッチャー(J・K・シモンズ)という教師は常軌を逸した変態。
才能が有ると見込んだ生徒を集めて徹底的にいたぶる。
暴言、暴力は日常茶飯事。優秀な卒業生の死を悲しみ涙するやさしさを見せると思いきや、その反動で未だかつてない地獄の特訓を生徒に強要したりする。

この人の変態的狂気がこの映画の魅力と言える


主人公ネイマン(マイルズ・テラー)とフレッチャーの印象的な会話がある。
偉大なミュージシャン、チャーリーパーカーは演奏中にへまをしてシンバルを投げつけられた事がある。その屈辱を乗り越えて偉大になったんだと。
歴史に残る人物はどんなに理不尽な目にあっても、屈辱にあってもそれを乗り越えられる人物だと。
今の生温い指導ではこうした屈辱の先にある才能を見出せないのではないか。

しかし、このフレッチャー、終盤に最大の罠を仕掛ける。
そこには友情や愛情、優しさのかけらもない。
しかしネイマンはそれをも乗り越えてしまう。あたかもかつてのチャーリーパーカーのように。

とにかく演奏シーンの迫力が半端ない

ラストシーンはすばらしく感動的。孤高の芸術に立ち会うことになる。
真の芸術は愛や人情、友情などは意味のない狂の世界。そこに奇跡的な美しさは存在する。


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