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継続したら力になった話

日本縦走では、山ではなく下界を歩く日、YouTubeでショート動画を毎日投稿すると宣言していた。

羽田空港から始めて、しばらくは本当に毎日投稿していた。しっかりと編集するロング動画は公開までにどうしてもタイムラグができるから、実況みを出すためにはショート動画が必要だと考えていたのだ。

収益効率は低いけど再生数は付きやすいから励みにもなった

しかし、だんだん負担になってきた。わずか1分未満の動画でも、テロップを入れたり音楽に合わせたりしていると、編集作業は毎回30分ぐらいかかる。ロング動画の編集や仕事もある中で30分の損失は大きく、僻地の下界の風景に見飽きてきたのもあって、113日目をもって打ち切り。この旅で唯一、事前の宣言を守れなかったファクターとなってしまった。

それでも、4ヶ月に渡って動画を作り続けると、

  • 構図に変化をつける

  • 具体的には、ロング・ミディアム・アップを続けない

  • 無暗にカメラを振らない

  • 音楽は使うなら効果的に使う

  • 音楽より生の音を活かしたほうがいい

  • 現代人は信じられないほど短いカット割に慣れている

といった、基礎的なポイントがようやく理解できてきた。逆に言えば、こんな入門レベルのことでも、継続的に実践しないと習得できなかった。現代のスマホと編集アプリを使えば、なんとなくの撮影・編集でも形にはなってしまうから、一回あたりの経験値が少ない。

無料なのに色々できる編集アプリ「InShot」

劇団時代に映像撮影の現場に何度か立ち会い、映像畑の人がガチで撮影すると引くほど時間がかかるということは知っていた。丁寧にこだわって突き詰めないと質の高いものは作れないのだ。けれど、僕は撮影をしに行っているのではなく、旅のついでにカメラを回している。この順位は絶対に間違えてはいけない。

が、視聴者はそんなの知ったこっちゃない。つまり、短時間でなるべく良い動画を作っていく技術が必要で、それを得るために数をこなすことは非常に重要だったと思う。

拍子をあえて外す技術はまだ無い

美術の漫画『ブルーピリオド』の序盤、夏休みの課題に、「1日1枚の写真」というものがある。いくつもある課題の中では軽く見え、作中でも深掘りされてはいなかったが、実際にやれば容易ではないだろう。学生の夏休みだ。行動範囲は狭い。はじめのうちは簡単でも、やがて「何気ない風景」に飽きてくる。わざわざ探しに行かなければならない。

行動範囲がめちゃくちゃ広かったあの旅でさえ、少しずつ確実に「撮るべきもの」を見失っていった。道、空、たまに花。単発なら何でも珍しいかもしれない。毎日続けると、「また道か」「また空か」「また花か」と感じてくる。

こんな風に寄り道できることは稀

構図についても、続ける中で一つ学んだ。ヒトの視線の特性なのかiPhoneの仕様なのかは不明だが、基本的に「手前」が強調される。そして、旅や山における写真・動画は、主役がしばしば「奥」にある。たとえば、「手前に木の枝を入れながら奥の山脈」を撮ろうとすると、なかなか山脈が映えない。余計なものを入れようとせず、山にズームしたほうがいい。

主役を明確にするなんてのも一年生レベルの話だけれど、かなり目の細かいフィルターで濾過しないと明確にならないということは、僕は反復・継続の中でやっと理解した。筋のいい人は習得済みで始めるのかもしれないが。

主役が定まりやすい――という意味で、やはりヒトを入れた写真は映えるのである。僕は写真を撮られるのが苦手だし、誰もおじさんの顔なんか見たくないだろうと、自撮りには極めて消極的だったのだけれど、近頃は稀に自分を撮るようになった。

何を思ったか最終日はめっちゃ自撮り

話をショート動画に戻して、変化の多い初日はともかく、初期は一つ一つのカットが長過ぎるし、画も面白みに欠けていた。100日目あたりからだいぶ改善されている。

素人なりにテンポや変化を意識した

継続したら力になった――という話をしてきたのだけれど、実は「継続だけ」で良くなったわけではない。先達の動画で改善の方法を少しは勉強した。この一手を抜きにして、機械のようにひたすら続けるだけでは、たぶん何の成果も得られなかっただろうと思う。

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