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日記 退勤と青きドナウ

今日はぼんやりした1日だった。
仕事が全く進まなかった訳ではない。しかしなんだか物事がはっきりと進んだ気がしない。
ぼんやりしたまま日は暮れて、定時を過ぎた。周りはまだ仕事に勤しんでいる。もう少し頑張れないかとデスクにへばりついたが、ぼんやりを垂れ流すばかりで時間のムダだと悟り、心苦しいが退勤することにした。
ぱっとしなかったな、と少し落ち込みながら車のエンジンをかけて発車。すると、ラジオから明るく、それでいて重厚なワルツが流れてきた。
『美しく青きドナウ』。
するとどうでしょう。なんとなく、本当になんとなくだけど、ちょっといい感じの家路になってきた。
日が沈みかけて、いつもの風景には薄青いベールがかかっている。八分咲きの桜がその中から白く浮かび上がり、河は穏やか
に夕日を照り返し、ゆるゆると流れていた。
昨日も見たはずの風景。だけど、美しい音楽とともに流れていくその風景は、昨日よりも遥かに優しく、明るいものに見えた。
美しく青き一級河川にかかる橋を渡りきると、ちょうどよく曲が終わった。次の曲はなぜか『スター・ウォーズのテーマ』だった。家路はさらに壮大になった。
こうして私は、なんだか清々しい気持ちで我が家についたのだった。
家路良ければすべて良し、である。