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種族設定「カーバンクル」


カーバンクル

鉱物の骨、泥の肉体を持つ列強種族。
同族・異種族問わず争いをよしとしないため、異種族との交流を絶ち、人里離れた山奥に集落を形成し生活している。
体の一部から骨が露出している。
人口は約60人と、非常に少ない。
世界に伝わっている神話では「神がヒューマンを造る過程で試しに石の骨を用いた為に生まれた」とされている。
非常に長寿で平均寿命は4000~5000年ほど。
食事など生命維持の為の活動は必要なく、露出した骨から光のマナを吸収している。
本来はとてつもなく重い身体だが、血液代わりに体内を循環するマナでヒューマンぐらいの重さになっている。
生殖によっては生まれず、マナを多く含んだ地層から自然発生する。
「何かを生み出したい」という欲求が強い傾向にあり、創作活動に傾倒する者が多い。
異種族とは交流を絶っているはずだが、文明の水準は異種族を手本にしたかのように高い。

カーバンクルの生態

カーバンクルの身体の作り
鉱物が大量のマナを浴び、意思を獲得した生物。
全身が一つの鉱物で出来ている。
体を構成するのは結晶(骨格、コア、髪、眼球)泥(皮膚、筋肉)
本来「意思を獲得した鉱物」なので、生命維持の為だけなら石の姿のままでよいのだが、彼らを資源として狙う旧世界の人間から逃れるため、人間の体組織を分析し、肉体たる泥部分を獲得した。
外見は人間、および新世界のヒューマンそのものだが、光のマナを集めるために骨が頭や体の一部から露出している。
結晶
・骨格、髪、眼球は、それぞれ他の生物のそれと同じ役割を果たしている
・骨格の形はヒューマンと同じ
・頭蓋骨の中に、ヒューマンの脳と同じ大きさの「コア」と呼ばれる結晶の塊がある
・コアが大きく破損するとカーバンクルは生命活動を停止し、肉体が溶け、骨だけになってしまう

・鉱物の微細な粉末と水分から構成されており、手触りはヒューマンの肉体と遜色ない
・循環するマナの力で人肌や歯と同じ色になるよう、表面にはテクスチャが掛かっている。あくまで表面のみで、中身は条痕色をしている。条痕色の濃いカーバンクルほど肌色が黒に近くなる
・顔立ちや体つきもバラバラなので、白人種、黄色人種、黒人種が入り混じっている
・呼吸、心臓の鼓動、体温はない。ただし、感情の起伏によって発汗したり、涙を流したり、頬に赤みが差したりすることはある
・ヒューマンへの擬態、骨格の保護、運動の役割を担う
・筋肉の形、役割はヒューマンと同じ
・肉体を損傷すると、キズから体内を循環しているマナが失われていく。マナや水分が失われると、肉体がひび割れてくる
・内臓は存在せず、筋肉以外の部分は全て不定形の泥で満たされている。動く時は不定形の泥部分が筋肉を補助する動きをするので、驚異的な身体能力を誇る
・外見が子供のカーバンクルでも、身の丈ほどの大岩を容易に壊せるほどの怪力を発揮する

カーバンクルの生まれ方

カーバンクルは「繭」と呼ばれる岩石の塊から生まれる。
繭ができるのは、高濃度のマナが含まれた岩石地帯。
かつて火山活動によってできた鉱物が、高濃度のマナを浴びることでカーバンクルに成長していく。

カーバンクルの生まれる地域には岩石のマナを好んで食らうモンストロがおり、カーバンクルの数少ない天敵となっている。
そのため、繭の表面は内部のマナを完全に遮断する構造となっており、マナをほぼ含まない周囲の岩石に擬態している。

カーバンクルの性別

カーバンクルは生殖で増えないため、生殖器は付いていない。
外見上の性差はあるが、性差があることで旧世界の人間により近い外見となり、人間の仲間意識を誘ったため生き残りやすかったことが理由。
「性別」という概念は知ってはいるが、カーバンクル自身の性自認は曖昧で、自らの好みでどちらの振る舞いをするか決めている。

新しいカーバンクルの見つけ方

カーバンクルの里には、旧世界から稼働し続けているコンピュータがあり、カーバンクル探知マップが搭載されている。
マナが濃く、カーバンクルが生まれやすい場所のみを集めたマップで、どこかにカーバンクルの繭ができると情報がマップ上に記される。

繭ができるのは100年に2~3個ぐらいのスパン。

繭ができた段階で遠征部隊が組まれ、繭から生まれたカーバンクルを回収に行く。
何度か遠征を繰り返すうちに、全員を連れてくるのが距離的に無理(遠すぎると既に生まれてしまっていて無駄足になる)ことがわかったため、回収可能な地域のみ遠征に行くことになった。
最初の頃はサフィールとルベウスが交代で回収に行っていたが、人口が増えてからは他のカーバンクルが2~3人で行くようになった。
基本的に何度もその地域を訪れて土地勘のあるカーバンクルと、新人カーバンクルでチームが組まれる。
繭に辿り着いた後は、生まれるまで交代で待つ(1~2年掛かる)
交代している間に、各カーバンクルは正体を隠して周辺の異種族の街や村に紛れ込み、文化をリサーチする。
闇市で繭の殻から採れる宝石を換金し、里のカーバンクルに頼まれたおつかいを済ませる(主に新しい服の材料が欲しいエメラダから)
カーバンクルが生まれたら身体に合う服を買い、里に連れて帰る。その時の服をエメラダが仕立て直すことが多い。

カーバンクルの形態

擬態
通常形態。
結晶部分が泥の肉体で覆われている。
泥はヒューマンに擬態することに加え、結晶部分の保護、運動能力の獲得の役目も果たしている。
肌、白目、歯の部分は体内を循環するマナによってヒューマンと同じ色になっている。
あくまで表面だけテクスチャーが掛かっている状態なので、泥部分の本来の色は条痕色。
肌色は、条痕色が濃い者ほど黒に近い色となる。

結晶態
緊急時の形態。
泥部分の70%を結晶に変換することで、マナの保持力を飛躍的に高める。
恐竜の骨格のような尾が生え、体の後ろには結晶が天使の輪のように浮かび上がる。

魔法による攻撃力および防御力が大きく上がるが、泥部分の面積が最低限になるため、可動域が下がる、結晶部分へのダメージが致命傷になりやすいなどのリスクがある。
基本的には本人の意思で自由に変身できるが、危険を感じた時にも無意識に変身してしまう。

結晶態に変身すると体表のテクスチャはなくなり、本来の色がむき出しになる。
(例:サファイアのカーバンクルの場合、肌色が条痕色の白になり、歯は青くなる)
結晶態のまま死亡した場合、遺体は結晶化したまま。

カーバンクルの食事

カーバンクルは食事を必要としない代わりに、光が持つマナを吸収して活動する。
光の当たらない場所に24時間いるとエネルギーが切れ、昏睡状態に陥る。
光さえあれば活動可能なので、月の出ている夜や街明かりで1日中稼働し続けるカーバンクルもいる。
ただし1年以上その生活が続くと睡眠不足で記憶障害を起こす。

髪を隠したり角を折ったりするとマナを吸収する量が減ってしまうため、露出しているカーバンクルに比べると運動能力が多少落ち、ややバテやすくなる。
それでも異種族に比べると身体能力が高いことには変わりない。

また、泥には水分が含まれているため、暑い場所では水分を摂取する必要がある。
さらに、欠損した自分の結晶のカケラを経口摂取することで身体に溶け込ませ、欠損部分を再生することも可能。

消化器官がなく、口から肛門までは一本の管のようになっている。
水・自分の結晶以外の何かを経口摂取すると消化・吸収されず、そのままの形で排泄される。
一度に多く食べすぎると蠕動運動が間に合わずに嘔吐する。
平均的な人間よりもはるかに少食で、2~3口ぐらいが限度。

他カーバンクルの結晶の摂取

カーバンクルは基本的に水、自分の結晶以外は摂取できないが、例外的に別個体のカーバンクルの結晶を経口摂取することが可能。

摂取した結晶はインクルージョンとなり、結晶部分に現れる。
胸部の結晶から中心にインクルージョンは広がっていき、多量に摂取すると角や瞳部分などにもインクルージョンが現れるようになる。

記憶、および結晶態時に使える魔法が継承できるため、インクルージョンを持つカーバンクルは複数の魔法を使うことが可能。

ただし、コアを侵食するほどの多量の結晶、複数の結晶を摂取しすぎると精神の分裂(二重人格など)や自我の混濁などが発生する。

カーバンクルの睡眠

カーバンクルは睡眠が必要。
・脳に当たるコアでの記憶整理
・光の届かない夜をやり過ごす
・身体の修復(身体が破損した時)
のため。

平均睡眠時間は7~8時間(個体差あり)。
夏は睡眠時間が短く、冬は睡眠時間が長くなる。

カーバンクルの時間感覚

旧世界の人間からの知識で、秒・分・日・月・年の知識はある。
体感としては1年が1週間ぐらいの感覚であり、かなり気長。

カーバンクルの身体の修復

結晶部分が破損した時、泥が瞬時に破損箇所を接着し、元のように修復する。
パーツが完全に切断された場合でも、破損部分と密着させれば元通りにくっつく。

パーツが完全に失われてしまった場合、泥が密集して失われたパーツを再構成することが可能。
この時泥が失われた分だけ痩せ細ってしまうが、結晶部分が少しずつ泥部分に置き換わり、やがては元の比率に戻って行く。
この時、身体を形成する鉱物の絶対量が少なくなるため、背が縮んだり若返ったりする。

泥部分の浅い傷:瞬時に塞がる
泥部分の深い傷:1時間で塞がる
結晶部分の浅い傷:泥が浸透して補うが、無理をするとキズが広がる。1~2週間で塞がる
結晶部分の深い傷:1ヶ月~3ヶ月で塞がる
小さなパーツ欠損(髪、目、指など):1年で再生する
大きなパーツ欠損(腕、足など):10年で再生する
体の半分以上を失うパーツ欠損(四肢を全部失うなど):4~50年で再生する

体の半分以上を失うと強制的に昏睡状態に陥り、修復に全ての力を使うことになる。


活動している間にもほんの少しずつ身体がすり減っていくため、晩年のカーバンクルは赤子のような姿をしている。
また、紫外線や空気の影響で結晶部分の色が少しずつ変化するため、晩年には全くの別人に見えることも少なくない。

カーバンクルの五感

味覚:なし 水分以外の代謝がないので不要
嗅覚:あり ヒューマンより鈍い。身体が劣化するぐらいの強烈な酸の臭いなどでないと反応しない。腐臭や血の臭いなどには気づかない
視覚:あり 視力は平均で10ほど。ヒューマンの見える範囲に加え、注視すると紫外線も見える。紫外線に弱いカーバンクルは特に敏感
聴覚:あり ヒューマンよりやや敏感なぐらい
触覚:あり 痛覚はない。何かに触れている感覚、硬さ・重さ・暑さ・寒さを感じる感覚、パーツを失った時の喪失感、水分・自身の結晶以外を誤飲した時の嘔吐感はある。基本的に触覚はヒューマンより鈍いが、オパールなど結晶内に水分を保持しているカーバンクルは暑さ・寒さにやや敏感

カーバンクルの美的感覚

感じ方は基本的には異種族と同じで、普遍的なものではなく文化に大きく左右される。
里のカーバンクルは「自然の造形物、およびそれを題材にしたもの」が好まれる傾向にある。

カーバンクルの欲求

カーバンクルは食欲、性欲、睡眠欲のうち「睡眠欲」しか存在しない。
食欲・性欲の代わりに位置するのが「創作意欲」(何かを生み出したいという欲求)
食欲や性欲と同様に根源的かつ強烈な欲求であり、何らかの創作活動に傾倒するカーバンクルは多い。
カーバンクルは生殖によって子孫を残すことができないため、「子孫を残したい」という欲求が創作活動に昇華されている。

カーバンクルの恋愛・結婚観

カーバンクルは、異種族の文化を学んでいるため「恋愛」や「結婚」という概念を知っている。

カーバンクルの恋愛

カーバンクルの中には、異種族の真似をして恋愛のようなことをする者がいる。
といっても、頻繁に逢瀬を繰り返したり、手を繋いだり、バードキスをしたりという可愛らしいものである。
生殖器はないのでセックスはしない。
彼らにとって恋愛は「ごっこ遊び」のようなもの。

カーバンクルの結婚

稀に「今よりも深い関係になりたい」と望むカーバンクル同士が現れる場合もある。
その時に行われるのが「結婚」である。
カーバンクルの結婚は、お互いに自分の結晶の一部を渡し、摂取させインクルージョンにしあうことで成立する。
記憶や力の相互交換をすることでお互いへの理解を深め合うことが、カーバンクルにおける「結婚」である。

師弟関係のカーバンクルたちの「免許皆伝」

結婚とは別に、師弟関係を結ぶカーバンクルの間で、免許皆伝の儀式として師匠が弟子に結晶を摂取させる場合がある。
目的は「技術やノウハウの提供」自らの培ってきたものを受け継がせ、新たな作品を弟子に作らせること。
師匠カーバンクルが「自分の納得のいく作品を作り、満足した」と感じ、かつ「この弟子になら自分のノウハウを受け継がせてもいい」と認めた場合に行われる。
作品を作るという意味でも、技術を受け継いだ弟子を作るという意味でも「自分の子孫」を作ることができる、合理的なシステムである。
なお、結晶の摂取は強制ではなく、弟子カーバンクルはこれを拒否することもできるという暗黙のルールがある。

カーバンクルの死

カーバンクルは、頭蓋骨内のコアが大きく破損することで死亡する。
外的要因により死亡する他、寿命が来ることでもマナの循環が滞って体組織を維持できなくなり、自然に破損する。
また、首を切断されると昏睡状態に陥り、24時間以内に首と身体を接合しないとそのまま死亡してしまう。
死ぬと泥部分が溶け、骨だけが残る。

ギア・ファンタジア本編では寿命を迎えた個体はいないので、作中ではカーバンクルを含めた列強種族の中にカーバンクルの寿命を知っている者はいない。

カーバンクルは肉体の崩壊をもって死と判断し、脳死のような概念はない。
呼吸もなく、心臓の鼓動も体温もないカーバンクルは、肉体はそのままに活動を停止しても死ではなく「眠り」と判断するため、異種族の死の概念を「死」として受け入れられない場合もある。

カーバンクルの葬儀

カーバンクルが死ぬと、墓地として指定された区域に骨を直接地面に埋葬する。
その際には、名前だけ書かれた小さな石の墓標を立てておく。
骨は地中のミネラルを吸い、100年ほど経過するとそこから成人男性ぐらいの大きさの結晶が生えてきて墓標代わりになる。

カーバンクルの葬儀は里全員が総出で行う。
イリスが送別の言葉を述べ、献花を1輪捧げる。
一同、神の元で安らかに眠れるように祈りを捧げる。
吟遊詩人カーバンクルが鎮魂歌を歌い上げ、それが終わったら解散。
葬儀は1日ほどで終わり、あとは個々人がゆっくりと心の傷を癒していく。

カーバンクルの宗教

開国前は一神教で「この世の全てを作り出した一人の神がおり、死ぬと神の元で安らかに眠る」という信仰だった。
これは、イリス達がお世話になった旧世界の人間の神父が信仰していた宗教をそのまま流用している。
カーバンクルの信仰する神は、優しげな老人の姿をしていることが多い。

開国後は異種族の流入とともにさまざまな宗教が伝播。
「自分は個体である」という意識が強いカーバンクルの中には、より自分が納得できる信仰を求めて新たな宗教を学ぶ者もいる。

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