見出し画像

ギアファンde日常。「フラジィルと掃除」

フラジィルと掃除

いけない。
私(わたくし)はそう直感した。

集中が途切れ途切れになっているのを感じる。
机に座り続けて、ずっと作業をしていると、どうしてもこういう瞬間が訪れる。

ふぅ、と深呼吸する。
このまま作業を続けていても進捗は出ないでしょう。
仕方ありませんわね。

そう考え、席を立つ。
給湯室に入り、布巾を手に取る。

少し水で濡らしたそれを持って給湯室を出て、机の上を拭く。
やがて、自分の机が拭き上がると、今度は空いている机。
グウィンドリン教授の邪魔をしないよう、何も言わず、静かに机を拭く。

机を拭いたら、布巾を持ち替えて、今度は椅子。
木製の椅子を、丹念に磨いていく。

心なしか艶を取り戻した椅子を見て、時計を見る。
時間にして、わずか5分。
しかし、乱れていた心は、いくらか落ち着きを取り戻したように感じる。

集中が続かなくなった時、私はこうして少しだけ掃除をする。

『まあ、ロビン先輩?またお掃除ですの?今朝みんなでしたじゃありませんの』
『集中が切れちゃってさ。これをやると、気持ちが整うんだよね。手に意識が集中するせいかな』
『ま、不思議なことを』

あの時の会話が、ふっと脳裏に蘇る。
きっと、あの時言いたかったことは、こういうことですのね。

ふ、と口元に笑みを浮かべ、私は布巾を持って給湯室に戻る。


あなたのお気持ちが、ギア・ファンタジア執筆の原動力になります!