2024.5.11 新日本プロレス レック Presents BEST OF THE SUPER Jr.31 開幕戦 試合雑感

◼️第1試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Bブロック公式戦
フランシスコ・アキラ vs ドラゴン・ダイヤ

まず入場時のダイヤの纏うオーラに驚かされましたね。周囲がパッと華やぐような天性の明るさとでも言いますか……。ドラゲー勢は華があり観客との対話も上手いのですが、特筆すべきはこの空気感ですよね。アキラの若さもあってか開幕戦に相応しいフレッシュな幕開けとなりましたね。

試合はアキラのファイヤーボールで惜しくも敗北したものの、ダイヤは受け攻め含めての身体のバネが素晴らしく、BOSJはJr.らしい軽快なムーブが多い中で、よく目を凝らすと選手によってキレがあったりフワリとしたタイプであったり、やや変則的であったりと個性は如実に感じるんですよね。ダイヤはその中でも埋没するどころか「バネ」がやはり素晴らしく、ニューカマーはオリジナルムーブや独創的なフィニッシャーにばかり注目が集まりがちではあるのですが、単純な動きだけでも十分他者と差別化できていました。そこはさすがにウルティモからキッドと受け継がれてきた龍の遺伝子を感じます。実績面を考えるなら最初は勝ち星が欲しかった気もしますが、単なる代打ではないポテンシャルの高さは見せつけたのではないでしょうか。

◼️第2試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Aブロック公式戦
BUSHI vs HAYATA

対 BUSHIということもあって若干のお披露目感や査定マッチめいた感じもありましたが、HAYATAはやはり安定感がありますね。BUSHIは最近使用頻度の上がった変形の膝固めはとても良く、キャリアでいえばベテランの領域に入っているのもあって味わい深さが出てきているのがいいです。互いの切り返し合戦でも遅れを取ることはなく、BUSHIの出力も相手が相手というのもあってかやや高めだった印象もありました。最後は403インパクトでHAYATAが堂々とした勝利。個人的にはヘデックを見せて欲しかったのですけど、裏を返せば隠し球として持ってるだけの余裕も感じるわけで、BOSJでの HAYATAの活躍には目が離せませんね。

◼️第3試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Bブロック公式戦
ロビー・イーグルス vs ニンジャ・マック

ニンジャ・マックの怪しさと無国籍感はゴッタ煮のお祭りであるBOSJによく映えており、NOAHからの刺客というよりスペシャルゲスト感が強いですね。こういうタイプのガイジン選手は一枠は欲しい感じがあります。驚天動地のムーブはやはり群を抜いており、ハイフライヤー枠は激戦区ではあるものの、その中でもトップクラスと言っても過言ではないかもしれません。最後は押さえ込みの応酬から変則的なエビ固めでニンジャの勝利。こうした幻惑的な勝ち方も実に「らしい」というか、ニンジャらしさがあります。

◼️第4試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Aブロック公式戦
藤田晃生 vs 金丸義信

金丸の足攻めに苦しむターンが多かったものの、藤田晃生のキレは凄まじいですね。藤田晃生のいい所ってイメージが完全に固まっていることで、特に使用する技が全てその抜き身のナイフのようなシャープなイメージにドンピシャなのが凄いんですよ。その中でも目を引いたのはレッグラリアットであり、技としては古典技ではあるのですが、ジェイク等使い手も増えてきたのもあり、最近見ることは多くなりましたね。Jr.だとロープリバウンドからのスクリューキックが多かっただけに、こうした鋭くも華麗なレッグラリアットはそれだけで差別化できていますし、前述の通り藤田のイメージにもピッタリ合っていると思います。

最後はAbandon Hopeで藤田の勝利。ブラッククラッシュを思い出しますが、こうしたブレーンバスターからのカッターもまたイメージ通りの技であり、藤田が使うのもキャッチーでいいと思います。あとは周知と神通力だけで、それはこのBOSJのシングル連戦でより研ぎ澄まされることになるでしょう。

◼️第5試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Bブロック公式戦
ドリラ・モロニー vs SHO

SHOは髪を青く染め、被り物で来たわけですが違和感が凄いですね(笑)おどろおどろしさよりも可愛さのほうが先立ってしまうのはいいことなのか悪いことなのか……(苦笑)実況でも言われていた通り、確かに王者らしさをあまり感じないことに驚きましたね。SHOの何が悪い、というわけではないのですけれど、今回のイメチェンもそうした風格に寄与しているかと言われたら疑わしく、しかしながらキャラがブレているわけでもないという……。

試合はヒール対決らしい悪辣さとコミカルさの良きブレンドで、互いのセカンド介入からの金的合戦から、最後はズルくSHOがトーチャーツールでの殴打で勝利。ひょっとしたらこういうタイプの小狡く、ややヘタレ感と情緒不安定感のある王者像が新しすぎてピンときてないだけかもしれませんね。しかしながらダーティーチャンプのいるBOSJというのもそれはそれで新しく、SHOには是非掻き回して欲しいなと感じました。


◼️第6試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Aブロック公式戦
ブレイク・クリスチャン vs クラーク・コナーズ

ブレイク・クリスチャンのオールドスクールながら独創的な動きに驚かされっぱなしでした。80年代テイストのレトロなカーリーヘアに、ハンドスプリングからのカサドーラなど、周知の技の組み合わせのオリジナリティが面白く、今大会で技のみで観客の心を掴んだのはブレイク・クリスチャンではないですかね。

対するコナーズもワイルドペガサスをどことなく彷彿とさせる荒々しさに、椅子への全力ホイップやパワースラム、スピアーなど荒々しさは抜群でした。変則的な相手と対比して直線的なのもあって噛み合わせが良かったですね。最後は相手の背を踏み台にしてのステップアップストンプで勝利。辻がストンプ技を使っているのもあって、これもすっかり周知の技となった気がします。それだけにこのアレンジがよく効いていて、ブレイク・クリスチャンの試合はもっと見たくなりましたね。

◼️第7試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Bブロック公式戦
DOUKI vs 石森太二

DOUKIの勝利を願いましたが、やはり石森の壁は厚い……。しかしながら試合運びに一切の手抜かりも隙もなく、DOUKIは技と技の切れ目がほぼなく、この試合もイタリアンストレッチの入り方のタイミングがスマートでとても良かったですね。変にアピールや間を挟まないスピーディーな感じがリズム感があって心地よく、また勝ちに対する貪欲さも感じます。

そんな相手を腕や肩を攻めることでジワジワと自身の土壌に引き摺り込み、最後はブラッディークロスで石森が貫禄の勝利。届かずとも仕方のない強さにはやはり説得力があり、やはり今の新日Jr.の中では実力的に頭一つ抜けているなと思いますね。

◼️第8試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Aブロック公式戦
ケビン・ナイト vs TJP

ケビン・ナイトの身体ポテンシャルはヤバいですね。TJPも上手くいなしつつ、スパイクDDTをノーザンライトスープレックスで切り返したシーンは一つのハイライトではあったのですが、テクニシャンかつ職人肌で穴がないだけに、TJPに仮に足りないものが一つあるとしたらフィニッシャーの神通力だけなんですよね。技として悪いわけでは全然なく精度も抜群で素晴らしいのですが、他選手と比較するとどうしてもインパクトとして見劣りする感じが否めないんですよね。全てが高クオリティかつ高水準であるからこそ、そうした突出した部分を欲してしまう部分もあり、裏を返せばその突出した部分でケビン・ナイトに負けたのは納得感はありますね。しかしながらTJPの技術もセンスは本当に素晴らしくて、はっきりいえば「レベチ」なんですよ。個人的に一番気になってるのはHAYATA戦で、これは是非とも見てみたいですね。

◼️第9試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Bブロック公式戦
KUSHIDA vs 高橋ヒロム

KUSHIDAもまた「レベチ」であるわけですが、以前の戦績はそれに反して驚くほど振るわず、かといって勝ちすぎても今度は相手が不在という、格の面での難しさを感じてしまいます。相対するヒロムはBOSJ3連覇という実績面では過去の歴史と比較しても文句なくトップクラスではあるものの、今年に入っては不調が続いており、何よりもIWGPJr.の最多防衛記録の線が途絶えてしまったのが手痛いですね。

組み合わせだけでヒリつくような一戦ではあったのですが、最後はその差を表すような、以前ライガー戦でも見せた手首もガッチリと極めるモンジバカ式のホバーボードロックでKUSHIDAの勝利。今年のKUSHIDAのBOSJの戦績は気になりますね。

◼️第10試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.31』Aブロック公式戦
エル・デスペラード vs ティタン

メインに相応しい、しっかりとした土台と技術比べの試合となりました。今の新日Jr.はヒロムとデスペの青春狂想曲だと以前書きましたが、今年はデスペイヤーとでもいうべき存在感の強まりを感じますし、ベルトから陥落してもその重鎮感たるや今までのことを思うと感慨深いものがありますね。

僕の優勝予想は前から言っている通りデスペ一択なわけですが、それを裏切るかのようなティタンの無慈悲なジャベ・インモルタルでデスペのタップアウト負け。両腕を極めるクロスアーム式というのもあってタップすら不可能な拷問技になっていましたが、この鎌固めは本当に技として最高ですね。ワトとの決勝戦もあってか、ティタン人気は参戦当初と比較するとかなり高まっているようにも思います。最後はメヒコ流のデハポンコールでの〆。ティタンもまた間違いなく強者の一角であり、他選手とのシングル戦の注目度は昨年より高くなっていると思います。





リアタイ視聴できなかったので追っかけで一気に見たわけですが、流石のBOSJ開幕戦というのもあってかカロリーがヤバいですね。

それと、以前のnoteからクリエイターサポートを設定してみたわけですが、マネタイズにはさほど関心がないせいか当初はあればいいかなぐらいに捉えていたわけなのですが、まさかまさかの、ありがたいことに心づけがありまして……これには感謝してもしきれないです。この場を借りてお礼を申し上げます。これはこれで嬉しい反面、サボらずにもっと書けという圧も感じますが(苦笑)それはそれでモチベになるので悪くないのかな、とも。今回はBOSJ開幕戦でどうかご容赦を

僕の書くものは他の方々の写真付きの詳細な試合リポートや生々しい現地観戦記と違い、単なる感想文でしかなく、感想文に過ぎないからこそ誰でも読めてオープンで共有してこそだと思うため、有料note等は書く気がないのですが、クリエイターサポートが積み重ねれば、それらは現地観戦などで是非プロレスに還元したいですね。ではでは、今日はここまで。

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