2023.8.8 新日本プロレス G1 CLIMAX 33 Cブロック最終戦 試合雑感

◼️第6試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Cブロック公式戦
石井 智宏 vs マイキー・ニコルス

マイキーのオーソドックスさが石井相手だとより引き立つ感があり、クセがない代わりに逆に凄く見やすくてキャッチーな熱戦でしたね。打撃の重さではやはり石井に軍配が上がりますが、DDT含めた技のバリエーションはマイキーで、ゆっくりと段階的に技のグレードを上げていくのが良かったです。しかしながら最後は石井が垂直落下式ブレーンバスターで勝利。シンプルながらもそれは石井も同じであり、だからこそ負けられない試合でしたね。

◼️第7試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Cブロック公式戦
タマ・トンガ vs HENARE

このG1で風貌を変えてきたHENAREではありましたが、ストリートファイトスタイルらしく膝蹴りの使い方がかなり上手くなったのと、あと表情の作り方が最高によくなりましたね。タトゥーが目立つというのもあるのですが、持ち味である野生味や獰猛さがより際立っているような印象があります。

HENAREの打撃に苦しむタマでしたが、ハイアングルのドロップキックを皮切りに、フルネルソンを切り返してのガンスタンなどで躍動感のある攻めを見せます。密着戦は切り返しに主眼を置き、遠間から差し込みを狙うタマに、それをエグめのボディブローを置いてグロッキーからの投げを狙うHENARE。いや本当、この二人は格ゲーみたいな攻防の試合でわりと好きですw最後はタマが危険技、DSDで脳天を打ちつけて勝利。かなり危険な角度で落ちましたが、それだけ激闘だったということで、HENAREはこのG1で間違いなく格は上がったように思います。

◼️第8試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Cブロック公式戦
エディ・キングストン vs デビッド・フィンレー

エディキンを見てるとこういう形のレガシーの受け継ぎ方もあるものなんだなと感心します。よく言えば羨望による模倣なのですが、オタクのごっこ遊び感が嫌味なく出ているのがエディキンのいい所であると同時に、冗談抜きでガチでオタクでなければ死んでいたタイプの人間でもあり、そこが応援したくなるポイントなのかもしれません。

そんなハードな育ちだったエディキンと比較するとフィンレーは血統書付きの「お坊ちゃん」であり、その嫌味さを隠そうともせずにエディキンを煽っていたのはとても良かったように思います。どれだけ品のないことをしてもその所作にどうしようもない育ちの良さが滲み出てしまうのって「癖(へき)」なんですよ。個人的にはキン肉マンⅡ世のケビンマスクみたいになって欲しいですね。

エディキンの奮闘ぶりも素晴らしく、何度もバックフィストトゥザフューチャーをフィンレーの顔に突き刺しますが、殴り合いで有利になったフィンレーがスピアーからのINTO OBLIVIONで勝利。エディキンの夏は終わりましたが、この愛され感は過酷なG1の中での一服の清涼剤でしたよ。また新日での活躍が見てみたいですね。


◼️第9試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Cブロック公式戦
鷹木 信悟 vs “キング・オブ・ダークネス”EVIL

Cブロック決定戦らしい反則や介入の飛び交うド派手な試合かつ、EVILらしい大問題作の試合です。EVILにとっての鷹木は目の上のタンコブといった印象であり、今までの戦績を見ても決して得意とする相手ではないんですよね。鷹木自体がゴリゴリに強さを押し付けるタイプであり、以前noteで書いたEVIL政権の難点である「ベビー側のカタルシスの弱さ」を一人で改善したせいか、鷹木はどれだけやられても弱々しいイメージが一切なく反撃に爽快感があるのですよ。EVILからすると鷹木はわりと「難敵」であり、そういう意味では反則・介入込みでようやくトントンかなというのが個人的な印象です。

この試合もEVILは相変わらずの反則と介入のオンパレードで観客の視界を右往左往させながら手を変え品を変え鷹木を翻弄していきます。しかしながら鷹木の恐ろしい所ってどれだけやられてもカウンター一発で「空気」を持っていってしまう所であり、このG1を通していつもより時間配分多めで練り上げてきた「キタキタアピール」も出し得というか、あれ一つやるだけで積み上げてきた反則の数々を五分五分にされちゃうんですよ。なのでEVILがそのアピールを徹底的に潰したのも理解できる話というか、空気の支配率の戦いでしたよね。

試合は佳境に入り、介入が本格化したタイミングでロスインゴ勢も辻とBUSHI、さらにヒロムを投入。なんだかんだで介入に対しての乱入は盛り上がりとして申し分なく、このアトラクション感こそEVIL戦の持ち味であるとも思います。ロスインゴって独立独歩なイメージがあるせいか、辻がこういう形で仲間として介入するのは目新しかったわけですが、お助けキャラの働きとしてはそこまででもなかった感じが(苦笑)ただ、単に返り討ちに遭うだけではなく、ちゃんとコーナートップからのケブラーダで存在感を出したのは上手いですね。

しかしながら最後は金的からのEVILで鷹木決勝トーナメント進出ならず。久方ぶりのメインでのバッドエンド。子供のマジギレ・ボイスが聖歌隊のコーラスのように場内に響いていて申し訳ないですが最高にテンションが上がりました(死々若丸感)

正直な話、EVILによるバッドエンドはかつて連発しすぎて一時期はファンの閾値を超えてしまったせいか、ファンが思う以上に新日サイドは取り扱い慎重になっており、近年までは微妙に「調整」していた印象があります。バッドエンドらしいバッドエンドよりもやられ役としての印象のほうが強かったというか、節目節目の大勝負ではハウスオブトーチャーはほぼ負けっぱなしだったんですよね。そんな中で鷹木の決勝進出という勝負論のある試合でバッドエンドをカマしたのは非常に大きく、単なる敗北以上にベビー側に重い喪失があったというのが個人的に好(ハオ)なポイントですかね。ルール含めた「理」をブチ壊すからこその「理不尽」であり、それでこそ悪役=ヒールの務めです。それにたまにはこうしてひっくり返さないとナメられますからね。よくEVILを指して反則しないで本気でやったら強いのにという感想を見かけますが、これが本気なのですよ。反則も含めて彼の強さの一つです。

これによりEVILは決勝トーナメント進出となり、次戦の相手はSANADAとなりました。いやあ……これは楽しみですね。ようやくこの二人のカードが仕上がってきた感じがあります。EVILならSANADAの全勝を止められそうな気はしますし、オスプレイvsEVILの試合とかも見てみたいんですよね。色々と楽しみです。






Cブロックまで終了し、決勝トーナメントの構図もだいぶ見えてきましたね。G1も残す所あと5日間。長かったような短かったような感じですが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。ではでは。今日はここまで。