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コロナをやっつけるにはどうしたらいいのか?

この記事は、京都大学の教授である藤井聡先生のYouTubeへの投稿、WEBサイトへの投稿を私なりに意訳したものです。若年齢層やふだん文字を読まない人を対象に、わかりやすさを重視しているため、藤井先生のお伝えしたいことを端折ったり、私の前説を入れたりしています。
原典をきちんと理解したい方は、こちらをご覧ください。

①サイトに投稿された記事
https://foomii.com/00178/2020041800081765618
②YouTubeに投稿された動画
https://www.youtube.com/watch?v=Vu3EbKx_uU4&fbclid=IwAR3oM3zVHNsnhb5kVy9Ec6aUx1FB0hOA2DexOoJEE1H6fBNPB9l3WXXq08Y

では始めます。
今日は2020年4月28日です。

3月2日に学校が突然お休みになり、すぐに終わるかと思ったら、ずるずると夏休みよりも長い休みになってしまいました。
最初は喜んでいた人たちも、友達に会えない寂しさや退屈に耐えられず、
「こんなことなら学校に行ってた方がましだった」
と思っている人も多いんじゃないかと思います。

私たちは、こうやって、じっと我慢して家にこもっていれば、ウイルスはいなくなって、また学校に行けると信じています。
なぜかというと、偉い人やマスコミがこぞってそう言うからです。

新聞もテレビも「この時期、外に出る人はとんでもない人だ」みたいな報道をするので、コロナウイルスをどこかでもらっちゃうことよりも、外で遊んでいて
「なんなの、あの人?」
という目で見られることのほうが怖いという人も増えてきました。

それでも、まだじっと我慢していますよね。
それはどうしてかというと、偉い人たちが私たちを守るために一生懸命考えた結果「お家にいなさい」と言ってくれているのだと思っているからです。
コロナウイルスのことを全く知らない私たちより、いろんな人から話を聞いて考える機会のあるえらい人たちが言うのだから、これで間違いないと思うからです。

でも、その偉い人たちがいろいろ考えて決めてくれたはずのことが、まちがっていたらどうでしょう?びっくりしますよね。

私もとてもびっくりしました。まさか、お家で引きこもっていることが、
ウイルスをやっつけるためにあんまり役に立ってないとは!とひっくり返りそうでした。

そんなお話をしてくれたのは、京都大学の先生、藤井聡さんです。
藤井さんは、病気のことだけにめちゃくちゃ詳しいわけじゃありません。

病気が広がった結果、世の中が大変なことになりそうなとき、どうしたらその大変なことをうまく避けられるかを考えている人です。

その藤井先生が言いました。
「今の日本のウイルス対策は、いろんな人が話し合って、これがいいよと決めたことじゃないんです。西浦先生というたった一人の先生が、コンピューターをつかって、このまま何もしなかったらコロナウイルスで●●人死にますよ、と計算した結果を信じて対策を立ててきたのです。」

まずここにびっくりじゃないですか?
あれだけ、たくさんの研究者がいろんなことを言ってるのに、どれが日本の人たちにとって、一番被害が少なくなるかを検討してたわけじゃなかったなんて。

おっと、その前に「被害」って何を指すのか、それを説明しないといけませんね。下のグラフを見てください。

これは、日本で一年間に何人の人が「自殺」で亡くなったかを表したグラフです。一番多い時で、3万5千人くらい。昨年は、だいたい2万人くらいでした。自分で死んじゃうことを選ぶ人たちは、生きていても将来が見えないという不安から亡くなることが多いので、景気(国全体が儲かっているかどうか)によって、増えたり減ったりします。2019年は、自殺者数が減ってきていた年でした。

みなさんも知っての通り、コロナウイルスで自粛してくださいと言われてから、外でご飯を食べる人はガクッといなくなりました。
旅行に行く人たちもいなくなりました。
つまり、ごはん屋さんと、ホテルの人たちは、仕事がなくなったということです。仕事がなければ、お金ももらえませんから、不安で怖い毎日を過ごしていると思います。かといって、仕事をしてたらお客さんからうつるかもしれないという不安があって、そちらも怖いですからお店を閉めるしかありません。

このままずっとお休みを続けなくてはいけないとしたら、人を相手に働く人たち(サービス業といいます)は、コロナにかからなくても、お金が無くなり将来を悲観して自殺してしまうかもしれません。
あなたの大好きな、あの焼肉屋さんも、洋食屋さんも、お蕎麦屋さんも、美容院も、スーパー銭湯も、コロナが片付いたころには、ひっそりなくなっているかもしれません。

それは、いやですよね。
こんな時は、「仕事を休んでも大丈夫なくらい、政府がお金をあげますから、安心して休んでくださいね」と言えるといいんですが、いつまで続くかわからないのに、お金をあげますというのはなかなか言えません。

じゃあ、どうしたらいいだろう。
藤井先生は言います。
お店を開けたまま、お互いコロナをうつさないように気を付けたらいいんじゃないか、と。

「え?そんなことできるの?」
と思った人、いますよね。
実際にそれを実行している国があります。スウェーデンです。
イギリスも、最初はスウェーデンと同じやり方をしようとしていました。(科学者の大反対にあって、あっという間にやり方を変えています。)

ヨーロッパの国々や、アメリカ、中国、日本の対策を
①「ウイルスの広がりを抑え込むために、人と人が会わないようにする」ことだとすると、
スウェーデンでやっていることは
②「ウイルスとうまく付き合っていくように、人と人が会ってもお互いうつさないようにする」ことです。

①は8割おじさんとして有名になった西浦先生の作戦です。
この作戦はこういう理屈でできています。
「人と人が会わなければ、コロナウイルスがうつることはないので、会わない間(自粛期間)は、感染する人の数が少なくて済むはず。そうすると、病院にコロナで診てもらおうとやってくる人(患者)の数が少なくて済むので、入院が必要なくらいひどくなってしまった人を余裕をもって助けられる。そうやって、患者の数を抑えながら自粛期間を延ばせば、いつかワクチンや特効薬が開発される。そこまで頑張れば、コロナで死ぬ人も少なく抑えられるはず。だから、まずは人と人が会う機会を8割減らして、接触を無くそう」
テレビでも言ってるのはこれですよね。よく、下のグラフと一緒に説明されていると思います。

こうやって見せられると、なるほどと思いますし、もし、病院がいっぱいで自分が感染した時にみてもらえなかったら怖いなと思いますから、みなさん、頑張って我慢を続けているんですよね。この作戦だと、たしかにコロナで死ぬ人の数は抑えられそうです。

ただ、人はコロナだけで死ぬわけではないので、先ほどのお金がなくて自殺してしまうかもしれない人のことを考えていないと言えましょう。
コロナで死ぬ人が1000人でも、自殺者が5万人では意味がありません。目標は、「コロナに関係して死ぬ人を少なく抑えること」ですから。

それと、コロナウイルスにかかっていても症状が全くない人もいます。そういう人たちが、自粛を解除したあとにだれかにうつして、また感染が広がることを考えると、結局、ウイルスとの追いかけっこになって、自粛と解除がくりかえされるだけじゃないか?とも考えられます。サービス業の人たちが何回も自粛しなくてはいけなくなったら、貯金も底をつきますよね。

さて、じゃあ、②の作戦はどんなものなのでしょうか?
藤井先生は言います。ウイルスがどんな敵なのか知らないと戦えないでしょう?と。そこでこのグラフです。(読売新聞2020/04/14)

40歳以下の死者は0人!
若い人たちはコロナに感染しても死んでしまうリスクはすごく少ないのです。
そして、感染しても無症状でコロナをうつしているのも若い人たち。だとすると、この人たちには、このままコロナを広げてもらって、免疫を持つ人たちをじゃんじゃん作ってもらった方が、先のことを考えると良いのでは? そして、コロナに弱いおじいちゃんやおばあちゃんと、元から病気を持っている人や、妊娠している人たちは、とにかく感染から守るために保護して、コロナの嵐が過ぎるのを待つというのが賢いやり方ではないかと、そう藤井先生はおっしゃるのです。

さらに、この若い人たちによって、コロナをうつし合わないように注意しながらお店や会社を開けることができれば、お金が稼げなくて死んじゃう人も少なくて済むし、なにしろ自粛でみんなにストレスがたまることを防げます。

「そんな都合のいいことできるの? コロナをうつしているのが若い人たちなら、その人たちがやってるお店で、うつし合わないように注意しながらお店を開ける、なんてできないんじゃない?」

できるんです。無症状で無自覚だから、人とうつしあってしまうのであって、自分も相手も絶対ウイルスを持ってるはずだと自覚したら対策はとれるのです。

そのためにすることが、これらです。
1)お店などの密閉空間は、とにかく換気
2)食べたり飲んだりする場所では、絶対しゃべらない
3)「手洗い」「うがい」「顔を触らない」「しゃべる時のマスク着用」「咳エチケット」など、今も注意していることをもっと気を付ける
4)コロナに罹ると悪化しやすい人たちは家にいる

コロナの患者さんを診ているお医者様が、コロナに感染するとニュースになりますが、実際は「感染していないお医者様の方が圧倒的に多い」のです。
患者さんと毎日、濃厚接触しているお医者様でも、注意すればかからないで済むのです。ならば、街なかで暮らす私たちだって、気を付けてさえいれば感染しないですむはずですよね。

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さていかがでしょうか?

②のやり方には、より一人一人の注意深さが必要になりますが、家にこもってお金も回さず、じっと我慢しているよりははるかに心にも体にもよいと私は思います。

この記事は中学一年生が読んで理解できるというレベルを目指して書きました。もし、読んで「これは面白い」と思ってくださったなら、きちんと原典を読んで、シェアしていただければと思います。

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