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離島への旅 2日目昼過ぎ たまにはお勉強

午後3時、それまでの土砂降りが嘘のように晴れてきた。
これはもしかすると、今から泳げるかも?と思ったが、さすがに海は土砂の流入で茶色く濁っている。
沖縄でこの色の海は、西表のジャングルでしか見たことがない。
ある意味、珍しいものを見られたと喜ぶべきなのか。

諦めて陸上の探索活動に勤しむことにした。

座間味から阿佐に向かう途中の山では、道路脇にとても綺麗な露頭が観察できる。
縞模様がくっきりわかる。

美しい縞模様。
これすなわち、堆積岩。

「へー!」と思う。
沖縄の島々って、火山島または珊瑚でできた石灰岩の島なのかと思っていた。
調べてみると火山島ではなさそうだ。

沖縄本島の地質は、島の中央部あたりを境に大きく二つに分けられる。那覇などの都市が広がる中南部はおもにサンゴ礁を起源とする「琉球石灰岩」からなり、標高の低いゆるやかな丘陵地が続く。それに対して「やんばる」と呼ばれる山地が続く北部の地質は、できた年代も古く、遥か南の太平洋沖から海洋プレートに乗って来た「付加体」と呼ばれる堆積物からできている。

GEOSCAPE沖縄本島の地質巡り

なるほど、なるほど、つまり。


南東方向から押してくるフィリピン海プレートが、大陸の乗ってるユーラシアプレートにぶつかって沈み込むところに、巨大な地面の皺のような盛り上がりができた。


そのしわの内、背の高いものだけが海面から顔を覗かせて島になった。このシワは遥か昔、海の底に砂や泥が堆積してできた岩が盛り上がってできたもの。


さらに、その背が足りなかったしわのうち、「あと数メートルで海面に届くのに!」という場所は、珊瑚の繁殖に適していたため大群生地になった。(珊瑚は、浅すぎると海水温が高くて死んでしまうし、深すぎると光が届かず、生きていけない)


何万年もたつうちに、珊瑚の死骸が積み重なって石灰岩の層ができたところに、さらにもうちょっとだけシワが盛り上がって陸になったのが、沖縄本島の中〜南部。

ここ、慶良間諸島は全体的に山がちで、平地が少ない。
そして見えている露頭は、明らかに縞々の堆積岩。
つまり②の成り立ち方をしているわけだ。

小笠原関係の本を貪り読んでいた時に知ったのだが、日本の最南端領土である「沖ノ鳥島」は④つまり珊瑚の死骸でできた石灰岩の島なのだそうだ。
波風であっという間に侵食を受ける。
事実、戦前の調査では6つの岩が海面に顔を出していたそうなのだが、戦後、アメリカから返還された時には、それが4つに減っていたそうだ。
日本政府は、これ以上島が侵食されないよう、巨額を投じて、消波ブロックを沈め護岸工事を行なった。

島の定義は、国際法では、「満潮時に海面上に姿を現していること」だが、現在の沖ノ鳥島は、満潮時わずか6cmしか頭をのぞかせていないらしい。

しかも沖ノ鳥島は、人の住めない島である。
なので、こんなことも起きる。

2004年(平成16年)4月22日 - 日中間外交当局者協議で、中華人民共和国が沖ノ鳥島を「岩」だと主張。日本に無断で周辺の海洋調査を進める。

そりゃそうだよな、と私が中国でも思う。
領海とか、排他的経済水域とか、誰が言い出したんだろうねえ。
ヨーロッパの「海なし国」は、勝手に決められていくことついて何も言わなかったんだろうか。
いつか調べてみたい。

海に入れないと、勉強が進む。

**連続投稿808日目**

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