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入り口は笑えるほうがいい

実家が愛知県の三河地方にあるため、子どもの頃から、織田信長、徳川家康、豊臣秀吉の伝記は、当たり前にどこの家庭にもあったし、日本人で三英傑を知らない人がいるとは思わず育った。
三英傑の歴史は、日本人の基礎教養だと思っていた。

我が家は、父が秀吉ファンだったので、吉川英治の「太閤記」が全巻揃っていたが、その娘である私は、なぜか信長ファンで、父も私も揃って家康のアンチだった。(だって、地味なんだもの)
とにかく三英傑は、愛知県民が中日ドラゴンズの応援歌「燃えよドラゴンズ」を、歌えるのが当然であるのと同じような感覚で、知っているのが当然のものだった。

そのせいか、日本史も世界史も、全く詳しくないのに、戦国時代だけはそこそこわかる。
だから、今放送中の大河ドラマ「どうする家康」も、毎週楽しみに視聴することができる。
歴史オタクの皆さんになら、「登場人物を親戚レベルで身近に感じる歴史ドラマの楽しみ方」を、わかってもらえるはずだ。

しかし、そんな戦国好きな私だが、戦国時代に関する知識は、書籍よりなにより、この番組から学ぶことが一番多かった。(現在名前が変わっているけれど、私が毎週欠かさず見ていた頃は「戦国鍋TV」という名前だった)

めっちゃくちゃくだらないガワを纏っているくせに、中身は案外しっかりとそれぞれの人物の逸話を押さえていて、番組を見て大笑いしたあと、「あれは、どういうことだったんだろう?」と調べるたびに戦国雑学が増えていく。
本当に名前の通り「なんとなく歴史が学べるテレビ」であった。

「浅井三姉妹」や「賤ヶ岳の七本槍」なんてのは、どメジャーな戦国ワードでありながら、「戦国鍋TV」で初めて知った単語だ。
入り口はあまりにくだらなかったが、おかげで私の戦国時代に関する知識は、どんどん増えていった。

そのため、北陸に住んでいた頃は、ちょっと足を延ばせば近畿や中部で、史跡の宝庫だったため、「ほうほう、ここがあの……!」と、常にウハウハしながら、歴史の舞台を見て回ることができた。

本当の歴史好きからすれば、邪道もいいところだとは思うのだが、私はあの番組にとても感謝しているし、特に「戦国武将がよく来るキャバクラ」のコーナーのれいなさんには、いまだに思い出しては幸せな気分にさせてもらっている。

今話題になっているNHKの数学番組、「笑わない数学」にしてもそうだが、とっつきにくそうな知識へのアプローチとして「笑い」というのは、とても強い。
この手のコンテンツが増えたら、勉強が辛いもの、苦しいもの、という思い込みが消せるのに。
受験勉強なんて、詰め込むだけのしんどい「作業」でしかなかった。
あの頃、「笑わない数学」や「戦国鍋TV」があったらなあと、心から思うのである。

**連続投稿652日目**


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