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「たりないふたり」は、別の二人だったかもしれない

もともとオードリー・若林ファンを公言している私。

「陽の当たる道を歩いてきたジャニーズの若い子たちに、屈折した日陰者のお笑い芸人の役なんて、できるんかいな」
と予告の段階では思っていたのに、それが申し訳なくなるほど、今期のドラマ「だが、情熱はある」にハマっている。

たった今も、かが屋の二人が進行を務める、番組のウォッチパーティーを見ていた。(以下は、2023年6月30日まで公開中)

「森本×冨田」の南海キャンディーズ、「高橋×戸塚」のオードリーが再現した漫才のクオリティが高すぎて、Twitterでは4人を褒めている声しか見なかったが、芸人さんたちの間でもやはり、すごいと話題になっているのだそうだ。
そして、2008年のM-1 を、改めて見返す人が増えているのだという。
わかる。
私も動画サイトを探して、何度も見てしまった。
まだ若いオードリーの二人が、光り輝いている。
あの年は、優勝こそ逃したものの、たしかにオードリーの年だった。
初めて見た春日には、本当にオーラがあった。

さて、ドラマは現在10話まで放送され、2009年のバカ売れしていたオードリーが描かれている。
朝から晩まで仕事があるのは嬉しいけれど、取材はすべて春日のけちネタばかり。
飴を溶かして作るジュースの話と、風呂なしアパート・むつみ荘に暮らす春日が、コインシャワー代を節約するために、家からシャンプーしながら往来を行く話ばかりを繰り返す。
それを話すよう、要求されるのだ。

売れるって、こういうことなの?
春日のキャラクターだけが独り歩きしている現状では、世の中に飽きられるのも早いはず。
もっと漫才がやりたいのに、作る時間がない。
そんな不満を抱えた若林と、山里をつないだのが、ドラマ内では薬師丸ひろ子が演じる「島プロデューサー」だった。

ウォッチパーティーでは、島プロデューサーのモデルとなった、安島プロデューサーが
潜在異色で、同じユニットでコントをしていて、仲良くなれる機会もたくさんあったのに、2人はちっとも距離を縮めようとしなかった。でも、お互い意識していて『若林君て、面白いよね』『山里さんって、いいですよね』と僕に言ってくる。こりゃ、間を取り持つしかないなと思った」
といったようなお話をされていた。
「二人とも、大人のくせに仕方ないなあ」というのが本音だったので、リアル安島さんは、ドラマの島さんのように2人に優しくはなかったが、彼のおかげで漫才ユニット「たりないふたり」が誕生することになる。

若林×山里は、漫才ライブの打ち合わせ中「相方がアイデアを出してくれたり、ネタの台本を書いてくれるなんて、こんな素晴らしいことがあっていいのか?!」と感激する。
そして、オリジナルの即興漫才を、舞台で思い切り演じられる幸せな蜜月が、ここから約10年続くのである。

さて、ここまではドラマのファンなら誰でも知っている話。
ここからは、別の「たりないふたり」が生まれていた可能性について語りたい。

実は、若林は2009年に行われた『ザ・ドリームマッチ09 真夏の若手芸人祭り!!』(TBS系)で、NON STYLEの石田と、くじ引きで即席ペアとなり新作漫才を披露している。
BBQをネタに、オードリーとNON STYLEの良いところがうまくまじりあい、たくさんのボケがスピードに乗って繰り出される、最高の漫才だった。
2人は、この時のドリームマッチで優勝している。
あまりに息の合った漫才は、いまだに芸人の間で伝説として語り継がれているほどだ。

そして、この時の漫才を振り返って「ネタ作りがサクサク進んで、とてもやりやすかった」と二人ともが、同様の感想を述べている。
ドリームマッチの漫才終了直後、MCのダウンタウンにどうだったかと聞かれ、
「毎月一回イベントやろうかと思うくらい、楽しかった」
と揃って答え、実際、一時は仲良くなれそうだった。
なのに、その後、関係は自然消滅してしまった。
お互い人見知りで、たりない者同士だったから。

その二人が、最近、お互いにラブコールを送り合っている。
若林は、自身がパーソナリティを務める「オールナイトニッポン」において、仲良くなりたい芸人として、石田の名前を挙げているし、石田も、オリラジ中田のYouTube番組にゲストで出た際に、「若林としゃべりたい、ドリームマッチは本当に楽しかったから」という旨の発言をしているのだ。
さらに石田は、2023年6月14日の「山里亮太の不毛な議論」にゲスト出演した際にも、「タイムマシンで過去に戻り、相方を選べるなら、だれを選ぶか?」という質問にも「若林くん」と答えている。

10年以上の時を経て、お互い結婚し、子どもも生まれ、たくさんの後輩たちに目標とされる立場になって、人見知りを克服した二人は、あの頃出来なかったことをもう一度やりたいと思っているのだろうか。
だとしたら、ファンとしては、ぜひ、若林×石田の漫才を見たいと思う。
今なら、きっと「ドリームマッチ」の時より、もっとのびのびとした、時間に追われない漫才が見られると思うのだ。

でも、オードリーには東京ドームライブが控えているから、最短で実現しても、来年の春以降だろうなあ。
すでに「満ち足りたふたり」になってしまったゴールデンペアの復活を、望んでいるのは私だけではないだろう。
「HUNTER×HUNTER」の完結と、「若林×石田」の漫才を見ること。
この2つは、死ぬまでに叶ったら嬉しい、ひそかな願いである。

**連続投稿498日目**


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