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深く「ほれる」、それが本 / 永友 真未

私にとっての本は、私ではない誰かの頭の中が文字になって再現された世界そのもの。
書き手の世界が私にとっての「面白さ」「わくわく感」「好き」「ステキ」であふれていればいるほど「ねえ、ねえ、この人良くない?」と、誰かに言いたくなっちゃいます。

きっとアイドルを「推す」人たちの気持ちと同じ感覚じゃないかなあ。
自分の好きなアイドルを同じように好きだという「推し仲間」がいると、自分の「好き」の気持ちが肯定されて強くなる、あの感じ。
私が本を読んで「これ良かったよ」って言うのは、まさしく、それ。
私の感じた本の世界の気持ちよさを、同じように分かち合いたいのです。

本が好きだという気持ちの根っこを掘っていくと、同じ「推し」を推せる人とつながりたい気持ちが、一番大きい気がします。
熱狂的なファンじゃなくてもいい、ゆるくていいんです。
同じ世界を「好ましい」と思える人を、本を通して探している感じです。

アイドルファンの間では「同担禁止」という言葉があるそうですね。
「同じアイドル(自分の担当)を好きな人とは、仲良くしません」って意味なんですって。
身近にライバルがいる状況が辛いのかな。

私は「同担大歓迎」の立場ですが、アンチの人にも同じくらい惹かれます。同じ本の「ここが好き!」って語り合えるのも楽しいけれど、「私は、ああいう考え方は好きじゃない」という話を聞くのも大好き。

アンチであれ、ファンであれ、同じものにアンテナが立ったという点で「私たちは仲間だ」っていう感覚があるからだと思います。
その仲間がどんな風に本の世界を旅して、好きになったり、嫌いになったりしたのか、その経験に興味津々なんです。

私にとって、本が大事な理由はもう一つあります。
それは、自分では表現できない、理想や夢を本が語ってくれるところ。
ライターやYouTuber、漫画家、写真家など、何らかの表現手段を持っている人であれば自分の世界を発信していけますが、私にはなかなか難しいことです。
スキルの問題もありますし、そこに割く時間やお金も相当なものです。
何より、自分の意見を実名・顔出しで世の中にバーンと打ち出すことって、今の時代、どうなっちゃうのかわからない怖さもあります。

なのに、私の推しの皆さんは、それをしている。
名前と顔を出して世界中に自分の「ありたい世界」を発信しています。
それが私たちの没後、何百年も何千年も残るかもしれないんです。
何と尊いことでしょう!

私自身にも思いはあります。
環境問題に興味があり、次世代に美しい環境を残していきたいと切実に思いますが、こんな個人的な思いだけでは、なかなか他人に聞く耳を持ってもらえません。
その点、本を書く人たちは、思いをベースにいろんな切り口で、なぜ、こうありたいのかを語ることができます。
すごい覚悟と才能です。
惚れちゃいます。

どんな推しの本でも、書かれた内容が自分の思いと完全に一致することは少ないと思います。
でも確実に私の中の一部分を代弁してくれています。
推しを見つけることは、私の言葉を見つけることでもあるのです。

だから運命の一冊は「深く掘れる」し「深く惚れる」。

私が本を好きな気持ちを、言葉にするとこんな感じ。
本を通じて仲間を探しているんです。
あなたは、私と仲間になれそうでしょうか?
だったら嬉しいな。

**連続投稿458日目**


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