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最後の血闘裁判

被告が問われている罪を否定し、原告がそれに満足していないときは剣を手にしてでも真実を明らかにすると表明してよい。
被告がなおも否認するならば、議論は剣によって解決することを法として認める。

501年ブルゴーニュ王グンドバート

1.力の帝国

力の時代、黄昏たそがれなり。

セインは、じっと自らに対する敵を観察していた。
決闘のみに生きる者。見るからにして猛者もさ
粗野そやな鉄塊でありながら剃刀かみそりごとく鋭く研がれた、真剣のような男。
これまでの人生でたゆむことなく己の技を磨いてきたのであろう。
まさに古代のグラディエーターか。

砂に突き刺していた剣をおもむろに引き抜くと、ビュンと振るい土を払った。殺す。皇帝であったセインは、初めて生死を賭けて対峙した。

────────────

ウェールンゲン帝国は力が統べる帝国であった。

今から二百余年前、北欧の某国を南方から攻め来た騎馬民族が占領し、この国は誕生した。

この国盗くにとりを実現したのは、一重に騎馬民族の戦闘技術の高さだったが、この成り立ちがもたらす強引な政治が原因で、国内は常に過酷な様相をていしていた。暗殺や一揆行為は多くが黙認され、奴隷や労働者に対する扱いは極めて劣悪であった。

それ以上に特筆すべきは決闘裁判の流行であり、特に貴族階級では民事の裁判においても頻繁に行われていた。

しかしやがて、徹底した専制君主制を敷いてきた帝国は近隣諸国に突然現れた社会主義連邦に敗れ、堅牢な帝都城塞は容易たやすく開城した。


────皇帝セインは、絢爛華美な玉座の上で大きくうなだれた。

「皇帝となれば、一生好き勝手に生きて行けるのでは無かったのか……大叔父よ。この国にはもう放っておいても勝手に繁栄していく仕組みが出来ているのでは無かったのか……」
一生続くかと思われた専制政治の終焉は、目に見えて明らかであった。

もはやこれまでか。そうはっきりと認識したのは、クーデターを鎮めるべく慌ただしく左右していた大臣らが揃って顔を青白くさせ、眼前に並んだ時だった。

彼ら曰く、議会堂や各省庁といった施設は制圧され、政治活動上重要な拠点はほとんど喪われている状態であるということだった。しかも、残された唯一の問題はセインの処刑方法…いや、望ましい言い方をすれば生死の処遇の決定だけだという。

結局、3日後にはすべての問題は解決された。
セインの処遇は決闘裁判で社会主義党の代理人と対決の上、勝利すれば新政府の監護下にて隠居、敗北すれば直ちに絞首刑だと決まったのだった。

決闘裁判による恩赦おんしゃはセインの要望であり、これは唯一聞き入れられたものだと言っても良かった。


2.セインという男

普段の皇帝執務室に比べれば随分と狭い宿堂で、セインは二人の召使に身体を拭かせていた。

革命行為は、実際、見事な手際であった。まさに無血革命と言っても良い。セインは、本丸を制圧され、こうして幽閉されてからは、正直、感心していた。

社会主義革命勢力の代表者、"セクション"はスマートな男であった。セインの顔を見るなり、うやうやしく挨拶して、セインの今後の処遇を語った。
革命行為の本来の流れであれば、セインを民衆の前で斬首刑に処すことでウェールンゲン帝国の終焉を示し、革命は完了する、という。
彼らがセインに対して政治的な交渉をしてくるようなことはなかった。はい、はいと二つの返事の後、現在の状況にある。あまりにスムーズで、その場においてセインは慟哭どうこくしたい気持ちすら湧かなかった。

セインが幽閉された晩、セクションはこの宿堂に訪れ、決闘の内容を説明した。
「二週間後、夏至の太陽が最も高く昇し時、陽の光の照らす下に猛者ふたり。すなわち決闘執り行うべし。」
正々堂々とした決闘、ということだ。
「やらいでか…」
セインは呟いた。勝てば、隠居。本来無惨に処刑されるはずの前皇帝として、これは破格の条件であった。

セクションが去ると、セインは二人の召使を呼んだ。
「私の鎧は、まだあるのか」
「はい。」
召使いは下を向いたまま頷いた。自らに皇帝の威厳はまだ残っていると見え、若い召使い達は細かく震えていた。
「どこにある」
「本丸より持ち出した鎧櫃よろいびつにございます。」
「…夕刻までに準備しろ。」

皇帝として帝国の頂点に君臨し、城下を見下ろしていた時には、セインは国の領土にある物はすべて自らの所有物だと思っていた。しかしこうして権力を失った今、もはや自分の所有物と言えるものはほとんど全く残って居ないと言って良かった。

夕食の後、セインは木人に掛けられた己の甲冑を│検《あらた》めた。
彼の甲冑は十全な整備が為された状態のままであった。政治に興味を持たなかったセインにとっては、剣とこの鎧はまさに自分のプライドの依り代であり、これらがそのまま奪われずに済んでいた事実は彼を安堵させた。

セインは「国盗りの王」大セインI世の血を継ぐ正当な後継者であり、幼少より帝王学よりも武技訓練を重ねてきた。

齢39になる今日まで毎日鍛錬は欠かさず行ってきた。
真剣による決闘を経験することは無かったが、七つを数える頃には王家流剣術の師範代免許、しかも技許しわざゆるしを受けており、まさに名実ともに強者として称えられるに相応しい帝王であった。

「揉め。」
二人の召使は頷くと、うつ伏せになったセインのそばに座り込んだ。召使いらは東洋の指圧施術の達人であったが、背中に触れる指先の感覚は、いつも通り冷たかった。

3.バルトロメオという男

帝国で行われる決闘の内容は、実に様々であったが、最も多かったのは長さ1mほどの直剣を用いた徒歩による切り合いであり、次いで皮革を巻いた拳で殴り合うパンクラチオン方式であった。

決闘の実行は、代理として平時は兵士や傭兵として活動する職業軍人が務めることも多かったが、18世紀中頃からはもっぱら専属で決闘の代理を務める決闘代理士と呼べる人々も登場していた。勝者にはそれほど多くの物が与えられたのだ。

バートは、その中でも最強と称されてきた決闘代理士の一人である。
バルトロメオ。通称バートは娼婦として生計を立てていた逃亡奴隷の子である。

16の頃に没落貴族の専属決闘代理士になってからは頭角を現し、転々とより上位の貴族に買われることで生活の品質を向上させていた。

バートには、たぎる肉体があった。その膂力りょりょくは容易に煉瓦を砕き、分厚い甲冑を握りつぶした。
バートには、飛んでくる矢さえ泥めいて緩慢に視えていた。
バートには、刀や槍は手足の延長に感じられた。彼が薙刀を握れば、実に精妙に、調度品をなぞるが如く緻密に操ることができた。

しかし、それだけの力があってさえ、軍人としての出世はままならないのが現実だった。戦のいさおしで名を上げる為には貴族家系である必要があり、戸籍の無いバートにはそういった美談は無縁なのだ。

バルトロメオは、生きるために多くの無辜の人間を葬ってきたし、その死を背負うことを誇りとしていた。決闘こそが彼の自己実現の手段であり、最強の決闘代理士たる称号こそ彼の最大のアイデンティティなのであった。


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バートに決闘の知らせが来たのは、「帝国陥落」と大きく、帝国内で主流の三言語で書かれたチラシを見た翌日のことであった。

依頼には普段の仲介者ではない男が、直接訪れた。
ウェールンゲンの暑いこの5月の日差しを避けるようにフードを目深に被った男は、革命勢力の代表、セクションと名乗った。

決闘の仔細しさいいては、バートは二つ返事で了承した。
バートは捨て鉢であり、プロであった。だから相手が皇帝と言われてもさして動揺はしなかった。

セクションは、決闘の報酬としてこれまでの相場の5倍の金貨と来年度以降の働き口(兵舎での教官としての勤務と言っていた)を提示した。

バートは頷いたが、国家の管理の下、真面目に働く自分の姿をイメージすることはできなかった。
腕っぷしが強すぎるが故に、口よりも先に手が出てしまう癖で何人ものスポンサーを失ってきた。

現在懇意であるスポンサーは、それを学習してもはや直接依頼してくることはない。代理業者が仲介している形だ。実際のところ、バートに対して支払われた報酬のうち、この仲介者が7割ほどを中抜きしている形だった。

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決闘に先立ち、バートはいつものように通り沿いの鍛冶屋に剣を注文した。

完成までの一週間、帝国東側の荒野で待った。
この荒野は地質の影響で草花が黄色く育ち、それと青い空のコントラストが故郷に似て彼を癒すのだ。

彼は景色を眺めながら、てのひらの力を緩め、指先をユラユラと動かした。彼は己の肉体のはたらきが十全であることを確認した。

街に戻り剣を受け取ると、後は決闘まで砂を詰めた革袋を殴って一日を過ごした。


4.決闘の日

通常、決闘は議会堂の大広間か貴族の邸宅、それか邪魔の入らない山中で行われることが多く、双方二名の審判員と観衆の立ち会いの下、小規模で行われることが常であった。
そんな中で今回の決闘は帝国大会が行われるコロシアムを使い多くの観衆が見守る大規模なものであった。審判員は皇帝の腹心であったミュールセヨンと革命勢力の代表であるセクションである。

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バートの邸宅からコロシアムまでは馬車を使い4時間ほどの距離であり、昼前に到着するために、バートは早朝に起きるしかなかった。

桶の水で顔を洗い、最後に頭から被ると、いつもの通り黒染めの衣を纏った。
そして干し肉と米、少量の酒を口に含むと、おもむろに家を出た。
奴隷に鎧と剣を持たせ、バートはどっしりと待ち合わせの馬車に乗り込んだ。

北方の国よりやってきたこの奴隷は、コロシアムに向かう馬車に揺られながらチラリとバートを眺めると、いつも通り不遜な表情を浮かべている彼に安心した。
奴隷は少年であったが、美しく、バートと親しかった。


コロシアムに到着すると、ガラリとした広間の待機室で二人は待たされた。
しばらくして、果物を載せたワゴンが運ばれてきたが、バートは口を付けなかった。一重に毒入りの可能性を考慮してのことである。

やがて太陽が高く上がり、広間の温度も高くなってきたところで、皇帝腹心のミュールセヨンがやってきた。
彼は、改めて決闘の内容を説明した。

決闘は三試合で行い、馬上槍試合、剣闘試合、それでも決着が着かぬ場合は、どちらかがたおれるまで拳闘パンクラチオン方式の対決を行う。
皇帝は、敗北し次第即刻絞首刑に処す。

バートは、頷いた。

槍は持って居ないので、奴隷にコロセウムの武器庫に置かれた槍を持って来させた。しつらえは、問題ないものであった。

バートは、奴隷を見るなり頬を張った。意味は無い。バートの癖であった。

2時間ほどの後、待合室に20人ほどの兵士がやってきた。
時間である。

バートは立ち上がり、再び奴隷の頬を張った。

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決闘の場である広場までの通路は、真っ直ぐで暗く、兵士達が押す木組みの車に乗せられて移動した。

遠くに見えていた広場の陽光がやがて近付くと、やおら降ろされ馬に乗るよう指示された。
バートは黙ってくらに跨った。

陽光の元に繰り出すと、既に対戦相手は到着しており、砂場に剣を突き刺してこちらを見ていた。

皇帝である。

バートは、ここで初めて己の心臓がばくばくと脈打っているのを感じた。

盛大に鳴っていた演奏が止むと、審判席に立っているセクションが大きく声を張り上げた。決闘の前説をしているらしい。内容に一切関心が持てず、バートは聞き流した。眼前の対戦相手は、同じ姿勢でじっとこちらを見ていた。


セインの装束は、実に見事であった。
全身システマティックな流線を描く装甲が覆い、執拗に、しかし目立たぬよう関節部の折り返しに留められたびょうは剣技を振るう動作を邪魔しないよう綿密に設計されたことが明らかであった。

目を引くのは黄金のメッキと、20cm幅に裁断された深紅のマントがはためく幅広の肩部装甲、塔の鋸壁きょへきを連想させる目穴付きの仮面であった。頸部を覆う鎖帷子くさりかたびらは、これまた黄金のメッキが施されており、動くたびにカーテン状に吊るされた鈴の音を連想させる高音が小さく鳴っていた。


対して、バートの装束は実に動きやすさ重視であり、古代ローマの剣闘奴隷を思わせる様相であった。
分厚いなべ底を無理やり溶接し成形したような騎士風の兜と、鎖骨を覆うスケイルメイル、分厚いガントレット、そして皮革をぞんざいに巻いた下腹部。それぞれ最小限の鎧の下の皮膚は、鎧に沿うように黒い日焼けが線を引いており、日頃どれだけの時間を闘いに費やしているのかを容易に想像せしめた。

セインに相対すると実に質素に見えるバートの装束だったが、露出した肉体は逆に鋼に比較しても異常な筋肉のおごりをコントラスト演出しており、まさに闘争肉体を体現していた。

バートは、じっとり手ににじむ汗が掌と槍柄の間で熱を持つのを感じた。
社会主義国家に決闘は無い。従って、決闘代理士も要らぬ。教養の無いバートの脳裏に、改めて野垂れ死ぬ自分の姿が浮かんだ。

願わくば、眼前の皇帝には決闘の華々しい勝利の上、再び王座に舞い戻って欲しい。決闘代理士としての定めを受け入れ、決闘にのみ自己実現を見てきたバートにとっては、それが素直な感想であった。
相手が自分でなければ、皇帝の対戦相手のさかずきに毒を入れ、弱らすこともいとわなかっただろう。

バートは、恐らく決闘の経験の無いであろう皇帝に負ける可能性は感じていなかった。
しかし、勝っても負けても死が待つこの闘いは絶望的である。そういう予感が脳裏から離れないのであった。

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セインは、じっと対する敵を観察していた。
見るからの猛者。およそたたかうことしか知らぬであろう獣。粗野そやな鉄塊でありながら剃刀の如く鋭く研がれた、真剣のような男。
ただ捨て鉢なだけでなく、これまでの人生で弛むことなく己なりの技を磨いてきたのであろう。
まさに古代のグラディエーターか。

セインは、おもむろに砂に突き刺していた剣を抜くと、ビュンと振るい土を払って、腰のさやに戻した。

第一試合は、馬上槍試合。
皇帝であり、元は騎馬民族であるセイン一族を象徴する試合方法であり、今や廃れてしまったが、ふるき時代は盛んに行われていた決闘方法である。
この試合方法は、セインの要望たっての決定であった。

ながい間練習し、今は行われぬこの決闘方法で、慣れぬ相手を確実に抹殺し、早々に勝利を刈り取る。
セインの脳内で何度も反芻されてきたシミュレーションが、今一度繰り返された。

セインは慣れた動作で馬に乗ると、奴隷が差し出した馬上用の大槍を受け取った。
「グラディエーター! 準備は出来ているか!」
「ムン」決闘士は頷いた。

この時代の馬上槍試合は、柵を隔てて互いに向かい馬を走らせ、三度のすれ違いで穂先に覆いを付けた槍を差し合い、先に命中、または落馬させた方にポイントが付き、決着する。2ラウンド先取である。なお落馬したら、その時点で負けである。

二人は、互いのスタートラインに並び、開始はじめの合図を待った。
5月の太陽が眩しく照り付け、じりじりと砂を灼いた。


開始はじめぃッ!!」
セクションが大きく叫ぶと、合図の銅鑼どらが鳴らされた。

二人の馬は同時に走り出し、ほぼ中心地点ですれ違った。
第一の差し合いは、互角であった。
バートが素早く槍を突き出し、セインがそれを跳ね除ける形で己の槍を突き出した。 バートは腕に沿わせる形で、セインの槍を逸らしそのまま走り抜けた。

セインは、対角のスタート地点に着くと、ぬぅと唸った。わずかな差し合いで理解わかる。想像を超える強者である。馬上試合の経験者らしいセオリーは感じられぬが、槍を逸らした動作は否応無しにバートの膂力りょりょくと技量を感じさせた。


第二の差し合い───
今度は、合図を待たずして、両者同時に走り出した。
今度はセインが身を屈めて槍を大きく突き出し、バートへの命中を図った。
バートは、その巨体からは想像できぬ軟体めいた動きで素早く穂先ほさきかわすと、セインに向け槍でコンパクトに横薙いだ。セインは、更に深く身を屈めて攻撃を回避すると、再び元のスタートラインに戻った。

「……稀有な…獣である」
セインは思わず呟いた。
対角、100mほどに居るこの決闘代理士は、一体どれほどの土壇場を潜り抜けた戦士なのだろうか。
しかし、よく見ると、相手は肩で大きく息をしているようだった。慣れぬ馬上の試合で体力尽きたか。
決闘士の乗る馬も、右前足の蹄鉄ていてつが外れ、二度ほど足を踏み直していた。好機。

合図の銅鑼どらが鳴り、三度目の闘いが始まった。
二人は共に全速力で接近し、脇を締めて大槍を構えた。

刹那。馬同士が接近し、まさに荒々しい鼻息が触れ合おうかというその時、やおらセインの槍先がぶれ、またバートの馬が顎を上げた。

「うぉッ!」決闘士が叫んだ。セインの槍の穂先に着けられた、猛々しいたてがみの獅子の意匠が、バートの馬の右鼻に衝突し、その覆いを砕いて鼻腔もろとも馬の大脳を破壊した!

脳が損傷した馬は激しく四肢をばたつかせ、しかし慣性で前進し前のめりに倒れ込んだ。

「イヤーッ!」バートは前転する形で落馬の受け身を取り、膝立ちの姿勢で、三度スタート地点まで戻ったセインを見た。

セインは勝利の実感を噛み締めた。

審判から止めの合図が掛かったように見えたが、セインはそのギリギリのタイミングで鞭を振るい、馬も槍も喪った状態であるバートに向けて駆けだした!
地面でうずくまる決闘士の槍は、無残に曲がっていた。馬上槍試合の槍は通常、馬上にて用いるよう大型の造りであり、また落下の衝撃で折れてしまったのだろう。

セインは決闘の決着をみてバートに執拗なオーバー・キルを図り、繰り返してきた脳内シチュエーションに沿って完全な殺害を果たさんとしていた。

決闘士は目を瞑り、膝立ちの姿勢になっていた。
観客は誰もが、戦馬の加速度、それと乗算で掛け合わされる大柄なセイン、馬体、甲冑による超重量、そして鋭き切れ味を誇る獅子の穂先ほさきが、バートを彼の馬のように派手に爆散させるものと、目を見開いた。

穂先がまさにバートを胸を貫こうかという瞬間、彼は素早くあお向けに倒れ込み、鮮烈な赤色をした馬の脳漿のうしょうを高く散らした!

セインの槍は…倒れこんだバートの胸のやや上をかすめ、臓腑ぞうふを撒き散らすには至らない。
そして決闘士は倒れ込んだ姿勢のまま素早く裏拳を繰り出し、すれ違おうとするセインの馬脚を叩いた!

はげしい衝撃である。

空気がドンと鳴り震え、接触点から輪を描くように2m周囲の砂ぼこりが、衝撃波で一瞬外方向に揺れた。
前述の通り、超重量を支えている馬脚は、まさに枝めいてか細きウィークポイントであるが、しかして高速で回転するそれは破砕機とも言える運動エネルギーを秘めており、通常の人間が触れようものなら手首から先は木っ端微塵に消失血煙化はかいするだろう。

だがバートの類い稀な肉体の頑健さ、握力の強さはこの打撃を有効打として実現し、ひづめの上、足首の関節を枯れ木のように砕いた。セインの馬は小枝の支えを失い、こわれた足を瞬間的に大事そうに抱えると、顎からつんのめって転倒した。

セインは前方に4mほど投げ出され、肩を強く打った。鈍い痛みが腕を覆ったが、動かして折れていないのを確認すると、ゆっくりと立ち上がった。

通常、馬上槍試合としてはセインの完全な勝利であったが、感情に任せオーバー・キル行為に出たこと、バートのカウンターにより落馬したことで、観衆、引いては審判の中でさえも引き分けにしようという声が上がっていた。

セインはチラリと観客席を見渡した。
見る限り、皇帝たる自分に味方しようとする観衆は、少ないようだった。

果たして、短時間の審議の後、これは引き分けとなった。
元より決闘というのはつるぎを用いた接近戦が華であり、またセインもそういう己が肉体のぶつかり合いを望んでいた。

ミュールセヨンが決闘士両名、控室に戻るように叫んだ。
セインはミュールセヨンの表情を確認しようと審判席を見たが、逆光でよく見えなかった。

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バートは、控え室で小休止からの再開を待ち、小さな椅子に腰を下ろすと、心配そうに見ている少年奴隷の頬を軽く張った。

長い巻髪に隠れ、汚らしい犬にしか見えないが、髪をたくし上げると少年は素晴らしく美しかった。ハチドリの羽根のようなまつ毛が深海に沈む翡翠ひすいを思わせる瞳を彩り、眉間は熟練の職人が仕上げた磁器のような精緻せいちさであった、極めつけは、小さく結ばれた紅い唇であり、バートはこれを見るたび心が締め上げられるようであった。

ウェールンゲン帝国では奴隷に対しては、目を覆いたくなるような悲惨な扱いが当たり前であったが、バートはこの少年奴隷を抱いたことは無かった。

さながら、宝石の煌めく鳥籠を愛でるかのような気持ちで愛しく感じていたが、バートには愛し方がわからず、こうして頬を張ることで少年を想った。

しかし、奴隷は奴隷であり、それでいても現代の家族とは比べるに値しない扱いである。

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再び、決闘場に向かう車に揺られながら、バートは新たに鍛錬された己の剣を見た。

通常よりも幅広で、12cmほど長いそれは、遠間の敵を叩き、刃の角度さえ誤らなければ甲冑の上から切り込むことすら可能にしていた。

通常、セインが着用するようなフルプレートアーマーは合戦の出で立ちであり、剣闘試合で用いられることは少ない。なぜなら、刀と対した場合、鎧の防御力が明らかに有利であり、剣折れ決闘中断となってしまう可能性が高いからだ。

バートは皇帝ので立ちに口出しする気は無かった。武勇のこの国では、合戦の出で立ちこそが正装であり、あくまでバートにとって皇帝であるこの男には、合戦時の姿で居て欲しかったのだ。

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セインは、控室から歩いて来たので、二試合目であるこの剣闘にしばらく遅れた。
暗い通路から陽光の下に出ると、セインの黄金の鎧ははげしく輝き、観衆の社会主義党員も思わず見とれているようだった。
「フン」
セインは鼻を鳴らした。

中央付近まで歩くと、セインはゆっくりと三度呼吸し、腰の鞘から豪奢な直剣を抜いた。

この直剣はまこと見事な作りで、刀身までもが宝石のように流麗であった。しかしながら、武器として作られたこれは高い質を備えており、つまるところ武勇皇帝としての化身なのだ。

セインは両手で柄を握ると、低く中段に真っすぐ構えた。
王家流剣術は門外不出であり、本来このように大衆の面前で用いることはあり得ない。王家で独自に進化してきたこの流派の構えは、独特である。

対して決闘士は、やや上段で斜めに構えた。


二人は2mほどの間合いで、向き合った。

二人の準備完了を見ると、セクションの代役と思われる社会主義党員が何やら大きく叫び、続いて銅鑼が鳴らされた。死合しあいが開始まった。

セインは鼓膜を揺らす銅鑼の残響の中、じっくりと相手を見た。
油断ならぬ立ち合い。隙をさらさば、即喉元を切り裂かれるだろう。

決闘士が滑らせるように右足をずらした。その時。
「イヤーッ!」
セインは電撃的な突きを繰り出した。中段の構えは、防御に優れ、そこから最小の動作で繰り出す突きは、まさに点の移動であり常人の目には追うことができない。

ウェールンゲン帝国流の王家剣術は勝利こそが至高であり、そのための不意打ち、いや必殺の技をいくつも秘めていた。

中段からの突きはそういった必殺の剣技の中でも特に多くの勝利をもたらしてきたものだが…
「イヤーッ!」
バートは半歩身を引きながら斬り下ろし、セインの突きを撃ち落とした。

体勢を崩したセインに対し、バートは打ち下ろした勢いのまま身体をひねり、脇腹に回し蹴りを打ち込んだ!重爆!

「ゴッ…!」セインは命中の一瞬で失われた肺の中の空気を必死に取り込もうともがき、声にならぬ声を出した。

決闘士は、再びやや上段に構える。
セインは回復すると、今度は素早く逆袈裟ぎゃくけさの斬撃を繰り出した。バートは今度は刃の柄に近い部分で受け流し、切っ先でセインの頭部を狙った。
セインは、首をかしげるようにしてこれをかわし、中腰で引いた右足に体重を乗せ、再度突きを放った。

今度は、突き出された切っ先はバートの上腕を捉え、巻かれた皮革ごと外側の筋肉を浅く切り裂いた。

セインは大柄な体躯からは想像できないほど素早く二度後転すると、体勢を立て直した。
勝てる。セインは、目の前の決闘士が決して敵わぬ相手では無いと悟った。

「イヤーッ!」バートは大きく踏み込み、遠間から斜めに切りかかってきた。
セインはこの鉄砲水のごとき斬撃を的確に見極め、半身になってややかがむことで回避した。しかし「イヤーッ!」「グワーッ!」踏み込んだ前方への慣性を生かしてバートは前進・急停止し、左足で高く蹴り上げてきた!

変形ハボ・ジ・アハイア!

遠い遥かの地で使われるこの必殺の蹴撃 しゅうげきを、決闘士はいかにして体得したのか。斜め下方向に上体を屈み込み、その回転エネルギーを生かして斜め上に蹴り上げるこの攻撃は、非常に大振りでありその威力は…

セインは肩甲骨のやや下に打撃を喰らい、再度間合いを取っていた。
「剣技と体術の混合、これがこの決闘士のたたかい方か!」
バートは素早く前進すると、今度は膝下の鎧の隙間を目掛け横薙ぎに切り払った。
「イヤーッ!」セインはジャンプして避けようとしたが、続けざまに襲い来る体術の重爆を予感し、えて倒れ込むように両脚を引くことで回避した。

見事な業前である。通常この速度の斬撃に対して数パターンの対策を講じることは…「グワーッ!」
セインは横から破城槌はじょうついが激突したかのような衝撃を感じた。
バートは、当初この斬撃の次は上段の回し蹴りで攻撃するつもりであったが、セインの特殊な回避を視認すると即座にステップし、横方向からのコンパクトな体当たりに変更したのだ!

なんたる体術の極致であろうか。バートの類稀たる筋力は地面を強く蹴り、あらゆる平面方向の慣性相殺を実現しているのだ。

バートの編み出した亜流鉄山靠てつざんこうをまともに受けたセインはゴロゴロと横に転がり、首を覆う鎖帷子くさりかたびらをたくし上げて嘔吐した。

重厚なプレートアーマーは、これらすべての攻撃に対して十全に働き、黄金のメッキを剝がしながら、本来ならば内蔵破裂に至っていたはずの衝撃を随分緩和していた。
内蔵は激しく揺れたことで悲鳴を上げていたが、訓練されているセインはまだ戦闘続行が可能であった。


しかし、かくたるは眼前の敵。必殺の攻撃をいともたやすく攻略され、一体如何にして勝つべきか。セインはじりじりと輪を描くように歩き、思案した。やがて…

「イヤーッ!」セインは素早く腰部に隠し持っていた針状の暗器をバートに向けて投擲し、続けざまに大きく上段で切り付けた。この連撃はウェールンゲン帝国流必殺奥義「シュリ・ケン」である!

不意打ち的に投擲されたそれは、棒状の手裏剣である。これは十分に訓練された者が投擲とうてきすれば、常人には回避不能と言っても良い。仮に回避するか打ち落としたところで、次段に残された全力の打ち下ろしを防御することは、絶対不可能である。
客席がどよめいた。「イヤーッ!」しかし、弾き飛ばされたのは、またしてもセインであった!

バートは手裏剣を即座に見極め、最小限の動きで打ち落とすと大きなモーションで斬り掛かってくるセインの顔面に雷光の如き前蹴りを叩き込んだのだった。

カウンター気味に命中した前蹴りは、セインの兜を破壊し、大塔を思わせる意匠の仮面は、セインの顔を傷付けながらずるりと地面に落ちた。

破砕した仮面の下からは、噴出した鼻血により赤く染まったセインの顔が現れた。

「皇帝のお姿、いと眩しく煌めいている也…」
バートは小さくつぶやいたようであったが、肩で息をするセインには聞き違いに思えた。

一方でバートのかおは、依然として鍋底のような厚い兜の下で暗く、表情は定かでなかった。しかしその目は陽光を照り返して…いや、闘志によってか、溶鉄のように真っ赤に燃えていた。

王家・必殺技のレパートリーはまだ尽きたわけにあらず。しかし、これ以上カウンターを喰らえば、セインに待つのはただ、死 のみである。
そもそもバートの蹴りは、一撃で林檎の木を叩き折るほどの破壊力なのだ。この時点で、現状死んでいないセインの非凡なタフネスが完全に証明されていた。


セインは頭部へのダメージを堪え、小さくバックステップすると、バートの顔面に向けて素早く砂を蹴り上げた。決闘場の砂は、この二百年の間に流された戦士たちの血肉によって、赤く、固く、そして重く変質していた。

砂のつぶてが兜の目穴を縫うように襲いかかり、バートは顔を覆った。
セインはその一瞬の隙を付いて深く屈み、バートの脇腹めがけて外薙ぎに切り込んだ。「イヤーッ!」バートはまたしても撃ち落とすべく剣を振るったが、ぞんざいに振られたバートの直剣はセインの宝剣と激突すると、激しく振動して破砕した。

セインは破砕を確認する前に剣を折ったことで圧倒的アドバンテージを得ていたが、全くもって勝った気がしていなかった。ただ、また防御されたと考え、次なる重爆を予期して身を引いていた。

その時、バートの背後、20mほど遠くで小さくギャッと悲鳴が聞こえた。


何たる悲惨な運命か。折られたバートの切っ先が、柵を下ろされた入場口から見守る、奴隷少年の、ガラス玉の如き眼球に突き刺さっていたのだ。

少年はがっくりと倒れ、ぴくりとも動かなかった。

セインは、この少年奴隷とバートの関係なぞ知らず、ただチラリと確認しただけで、すぐにバートに視線を戻した。
悔やむべきか。この時、バートの中では驚くような変容が起こっていたが、鍋底の下でピタリと静止しているバートの変化に、セインはまだ気付いていなかった。

バートは、見ていた。
あろうことか、バートの異常膂力りょりょくは、折れた切っ先をさえ数十メートル跳ね飛ばす威力を秘めており、それは何万分の1かの確率で、ピンポイントに少年を襲ったのだ。

バートは、兜の内で、濡れていた。
泉のように噴き出した冷や汗が、滝のように顔を流れ、灼けた石のように熱くなるバートを冷やして、しかし焼け石に掛けられた水の如く蒸発し、モクモクと湯気が立った。

バートは、燃えていた。
生まれてこの方、胸の内で絶えず灼熱の様相であった怒りの炉心は、ここに来て臨界点を迎え、バートの表面まで熱が伝わった。

陽炎か。白煙が立ち上がってバートの周囲がゆらゆらと揺らぎ出したところで、彼が何か尋常ならざる状態と変貌したことが、セイン、引いては審判、観客席に伝わった。

セインは危険を察知すると、2mほど後退して叫んだ。
「あなや!獣が、化け物に変貌てか!」
セインからすれば、なぜいきなりバートが白煙を上げ始めたか理解できていなかった。

セインの鼻腔に、何かが焦げたような匂いが付いた。その瞬間、正面から怒れる暴走重機関車が飛び来った!
「イヤーッ!」「グワーッ!」

バートは折れた剣を放り捨ててタックルを仕掛け、セインに激突した。
セインは、視界が一瞬白飛びし、脳内で電光石火がチカチカと跳ねた。

気が付くと、眼前には巨岩、いや、膨らんだバートの背中があった。まずい。バートは、組み付いたままであった。
「イイヤアアーッ!!」
バートは背筋力でセインを上空に放り投げた。

甲冑、損傷したとて目方60kg、セイン90kg、合わせて約150kgを空中5mまで放り投げるこの力は、まさしく決闘の申し子たる証左か。

身を捩じらせながら落下するセインに対して、バートは低く身を屈めると、何やらグツグツと音を立てて力を溜めた。セインは朦朧とした意識の中、本能的に身体爆散の危機を察知すると、必死で防御態勢を取った。
「イヤーッ!」
渾身の胴回し回転蹴りがセインに命中し、セインはバートの前方10m
まで吹っ飛んだ。

セインは、25の頃、怒れる牡牛の突進を喰らった時の事を思い出した。脚が折れ、内蔵が捻転し、脳が揺れ、もう何も出ないほど嘔吐した。

あれに匹敵する衝撃である。それでも、ただ、死にたくない。その思いがセインを立たせた。セインの肋骨は、既に3本折れていた。これが肺に突き刺されば、もう治療の方法は無い。

セインは、落ちていた己の剣ににじり寄り、拾い上げると、今一度中段で構え直した。
セインは皇帝である以前に戦士であり、どれだけ朦朧としていようが血の滲む鍛錬で己に染み込ませたこの構えは、不動だった。

「我は…ウェールンゲン帝国蓋世がいせいの祖、大セインI世の子孫にして…ウェールンゲン帝国の大皇帝、マズダ・セイン4世なり!」セインは声を絞り出し、ここで初めて名乗った。

セインは、今際の際だからにして、人生で最も強く生を意識しており、生きていた。

名乗り終えると同時に、再度暴走機関車が発進した。
バートは、その脚力で大地を抉り、時速にして約100kmで駆けていた。

眼前にすれば、どんな超人だろうとほぼ回避不能の速度であり、大砲の砲丸と形容しても良い…

セインは、暴走機関車を目前に、仰向けに倒れ込んだ。
もはや踏ん張りがきかず、足を滑らしたのだ。バートの突進は、セインの剣先に接触する方向であり、もはや怒りで意識をなくしていた彼の胸元は、己の突進力でざっくりと裂けた。

鮮血をしたたらせ、バートは三度セインに向き直ると、蹄の如き硬い爪先で、地面を掻いた。

「まさに怒れる牡牛…」
朦朧もうろうとしながら臨死体験を繰り返したセインは、今や神憑りかみがかりであった。

脳内アドレナリンが溢れ出し、時間が泥めいて鈍化した。
瀕死であり、バートのような戦闘の天才ではないセインにとって訓練した以上の動きはできなかったが、直線的に襲い来る獣に対しては、姿さえ見えれば意外に容易に対処できた。

セインは持っていた剣をバートに投げつけると、背中に格納されていた短剣を抜き、バートの突進を受け止めた!

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数分の後、組み付いた二人の男の内、バートが先に崩れ落ちた。喉元に、セインの短剣が根本まで突き刺さっていた。赤く燃える炭のようだったかおは、血を失い青くなって事切れていた。足元は既に血の池の地獄のようであった。

セインは衝撃で口から胃が出ていたが、生きていた。
更に5分後、意識を取り戻し、バートを見下ろした。

凄絶なストレスで、もう一切の声が出せなくなっていた。
観衆は壮絶な決闘の結果に息を呑み、辺りは不気味なほど静まり返っていた。

気が付けば、もう夜であり、審判席を見ると、セクション、腹心のミュールセヨンに加え、見慣れぬ異国人が一人立っているのが見えた。

セインは、審判席に向け、震える手でサムズアップした。

古代より伝わる、決闘のしきたりでは、サムズアップは「(本来は対戦相手を)生かして返してくれ」という合図であり、これはセインの必死の命乞いであった。

セクションと異国人の男は、小さく何かを話しているかのようだったが、セインや観客には、聞こえていなかった。

観客が、やがてガヤガヤと騒ぎたち、各々に皇帝の処遇を叫び始めたが、セクションは、それを遮るように大きい声で静止した。

「ここに判決を下す!」
セクションは、冷徹であった。
セインはサムズアップしたまま祈るように彼を見つめた。

「社会主義党代表代理闘士、バルトロメオ・カーン!そしてウェールンゲン帝国の皇帝、マズダ・セイン4世による、帝国の、社会主義連邦への従属を決める決闘裁判(セインの処遇を決める決闘であったが、建前上帝国の存亡を賭けるということになっていた)であるが…」

セインは、血走った目を見開いた。
「数々のルール違反行為、また不必要の殺害を始めとする卑怯行為を鑑み、セイン4世は敗訴とする!しかるのち絞首刑に処す!」


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5.地獄歌

今や変形して見る影もない、黄金の鎧を脱がされ、セインは兵士達に引きずられていた。
決闘場に設置された絞首台に着けられ、セインは皇帝としての最期を自覚していた。皇帝とは、戦士とは一体何なのだろうか。
今回の決闘は、ただの処刑の見世物だったことは、もはや想像に難くない。

セインは、大きくうなだれた。

首に巻かれたロープが、擦り傷に沁み、苛んだ。

セインには、もはや考える力は残されて居なかった。
相変わらず審判席に居る、異国人の男の、決断的な瞳を見て、セインは、何か言いたげに口を動かし、そのまま事切れた。

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