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いつも心にセブルス・スネイプを

2月が終わろうとしている。
今月はひたすら子どもたちの看病で終わった1ヶ月だった。安静にしてくれない子どもたちを安静にし、病院に連れていき、長い待ち時間に飽きた子たちをなだめ続け、じたばた嫌がるのを押さえて薬を飲ませる。買い物に行けず、誰にも会えず、なんかずっときつい。単純にタスクが増えるし、病んでるのでみんな機嫌悪いし不自由だし。

園の発表会が近いことも憂鬱で、2月、ほぼまるまる休んだ息子はダンスや合奏で遅れをとっている。市内のホールを貸し切り、しっかりした発表会を行うのだが、リハーサルやゲネプロに間に合うのかという不安がある。息子自身も不安があるようで「どうせ怒られてちゃんとできない」とすっかり自信をなくしている。ちゃんとできなくたっていいんだよ、頑張ってるところを見に行くからね、と励ますが、園では先生に厳しくチェックされているのだろう。まだこの世に生まれて数年しか経ってないのに、この子なりにたくさんの葛藤がある。

息子は喘息の気配があるようで、病院で吸入薬を投与されたり、飲み薬も量が多かったり。結膜炎を併発して、はじめて目薬も処方されたが、これが大変である。むちゃくちゃ嫌がる。まぁ怖いよね目薬。でもちゃんと点眼しないと治らないし。頭をがっちり押さえ、どうにかして目を開かせて点眼しても、大粒の涙でぜんぶ流れていく。これ効果あるのか…?と思いながらも、こっちもゼイゼイ疲弊してるので、もうええか…大丈夫だろ…と大雑把になる。

夕飯は適当に残り物を炒めたり、残っている野菜をみそ汁やブイヨンのスープにしたり。レトルトだったり。昨夜は、冷蔵庫に残ってるほうれん草やウインナーを適当に炒め、グラタンにしたら大好評だった。夫が帰宅したら酒を飲んで、意図的にタスクを忘れるようにしている。そうやってリセットしないと心が追いつかなくなる。

意図的にリセットする行為。
日中付きっきりで子どもを育てていると、例えば夜のニュースで子どもの悲しい事件や事故を目にしたとき、日中こんなに大切に育てても一瞬ですべて無くなってしまうことがある、ということを目の当たりにして、無力感や憎悪感を抱えたまま布団に入り、眠れない夜を過ごすことになる。このループに入るときつい。日常生活がままならなくなる。ワンオペで回している家事育児、私が倒れると、家がうまく回らなくなるのを何度も経験している。

というわけで、とにかく現実逃避を心がけ、年始からなんとなく再熱しているハリーポッターを未だにず〜〜っと観ているわけだ。1作観るのに2日のペースだったが、最近は子どもの体調のせいか夜泣きがあるので、1作で3〜4日くらいかかる。そのため毎日観ている。

Primeで見始めるとき、夫が「最初の頃の作品は何度もテレビで放送してるから、見たことないやつが観たい」と言った。ちょっと攻めてみようかな、と思い、いきなり謎のプリンスを流してみたところ、戦争が始まる感じになり、こりゃ飛ばしすぎた、と引き返した。
では私が一番好きな不死鳥の騎士団にしようと思ったら、夫に「この人(シリウスブラック)誰?」と聞かれ、これもだめだ!と、アズカバンの囚人に戻ったところ、なかなか良かったようで、いいチョイスができた。
その後、また不死鳥の騎士団に戻り、謎のプリンスを観て、夫に「この黒いノート何?」と聞かれて慌てて秘密の部屋に戻り(結局最初の頃の作品も見てないじゃん)、炎のゴブレットの最後だけ観て(対校試合長くて……)今に至る。視聴が自由すぎるが、こうして自由に観れるのが現状ではちょうどいい趣味である。

私は当初からセブルス・スネイプ萌え萌えキュン勢だったのだが、久しぶりに視聴しても、やっぱり萌え萌えキュンであった。ハリーポッターという有名な作品の人気キャラクターであるため、わざわざここで魅力を説明する必要はないかな、と思うが、どんな人物かを簡単に説明すると「ツンデレ陰キャな魔法薬の先生」である(自己解釈)。
この「萌え萌えキュン」という感情が日々を潤わせ、活力になることを目の当たりにしている。

例えば、嫌がる子どもに目薬を点眼するとき。アァ〜今日もギャン泣きでキツいだす〜!折れそう〜!というときに、ふと心の中にセブルス・スネイプを召喚する。
「モキシフロキサシン点眼液0.5%は1日3回点眼するよう伝えたはずだ。治すつもりなら早急に点眼するべきであろうに、なにをモタモタしている?50点減点」
ぬぉわー!!早く点眼しないと!!!と気合が入るね。

飲み薬を飲ませるときも「アスベリン散、カルボシステイン、トランサミン散を混ぜたものを水で服用させるとどうなる?」と心のセブルスが聞いてくるので、「風邪が治ります」と心の中で答えると、「その通りだ。しかし調薬に貴重な材料を使用しているというのに、子どもの医療費補助で格安なのが気に食わない。50点減点」と言われる。

この「心にセブルス・スネイプ」は料理中にも役立つ。グラタンを作る際、ホワイトソースを炒める必要があったのだが、ここでも心のセブルスは出来をチェックする。
「弱火にかけた鍋にバター30グラムと小麦粉を入れて炒め混ぜる。牛乳を少しずつ入れて滑らかになるよう混ぜる…貴様の鍋は滑らかになる前に牛乳を入れすぎている。50点減点」
ぬお〜もう少し混ぜるか……という気持ちになりますね。スネイプは魔法薬の先生であり、決して調理実習の先生ではないのだが、ホグワーツ魔法学校の中ではいちばん調理実習に近い先生だと思うので、彼は料理もチェックします。白い三角巾似合いそうだし。

というわけで、気が滅入りがちな家事育児全集中看病生活において、セブルス・スネイプは大変相性がよいです。いつでも心の中で「減点するぞ」と鼓舞してくださいます。
皆さんも自分のライフスタイルにぴったり合う萌え萌えキュンを召喚し、日々をなるべく楽しく生き抜きましょう。



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