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試行錯誤の本当の意味と、仲間と作る貴重な時間。

ハンドルのデザインは決まったけど、パターンがわからなかった。

だからどういう風に作っているのか実物を見ればきっとわかると思い、生産テーブルとサンプルルームを周った。

すると自分が考えもしない形から立体的なハンドルができていた。
「なるほど。ここはこんな形で、ここがこういう風に縫われて、ハンドルが出来上がるのか。」と初めて学んだ。

それから実際に、1階にあるcutting sectionのテーブルからウェステージレザー(廃材になる切れ端の革)をもらってきて作った。

私たちはアイディアをラフな形で起こすとき、無駄にならないように新しいレザーは使わないようにしている。特にハンドルだけのように部分サンプルを作る時は、使用量が少ないので、なおさらだ。

そして、自分の頭で考えていたものをしっかり形に起こし、モルシェドさんにサンプルを作ってほしいと依頼した。

絵理子さん、モルシェドさん、サンプルチームのみんなと新しいモノを作る時間は本当に貴重だし、何よりもめちゃくちゃ楽しい!と感じた。


しかし、絵理子さんが帰ってから、私はサンプルを作ることが、ただ楽しいだけではないと気づく。


デザインやサンプルを作る時には、本当にこの構造で良いのか?この形は美しいのか?様々な側面について、考え抜く、考え切ることが必ず必要になる。

ある日、私が現地にいる意味をすごく自問した時があった。

私がなぜ絵理子さんの代わりに、日本メンバー代表としてマトリゴールに来ているのか?それは単純にサンプルを完成させること、ではない。

恥ずかしながら、指摘されて気づき、考えを改めて今は毎日取り組んでいるが、私は最初、日本メンバーを代表してマトリゴールに来ているという責任感が無かったのだと、気づいた。

だから日本へサンプルを送る前に、自分が責任を持ってサンプルのクオリティについて、判断し、できが悪ければ再度修正し、直せるところは直し、そのプロセスを責任を持って進める役割がある。

だから妥協せず、考え抜き、試し抜き、これだったらやる意味がある。という着地点を見つける。それが本当の意味の試行錯誤だ。

それからは、サンプルを作る時、ここはもっと改善できると思ったところは壊して直し、職人たちに「お願い、もう少しでいいものができそうだから、協力してほしい。」と一緒に作り上げることをやめない。


みんな本当に協力的で、相談すると親身になって解決法を一緒に考えてくれる。
最初縦横比が上手くいかなくて、頭を抱えて悩んでいた。
モルシェドさんに相談したら「切って形を出してくれたらパターンを作るから。」と言ってくれた。

さらに縫ってほしい箇所を生産チームの縫製してるメンバーにお願いしたら「わかった。」と笑顔で答えて、縫ってくれた。
しかし形が思ったよりストレートになってしまったので、もう一度糸を解いて、もう一度形を直して、また縫ってもらった。

半泣きになっている私を、みんな嫌な顔一つせず、「OK。もう一回やってみよう。」と絶対にチャレンジしてくれる。

そうしてやっと「これだ」と思うサンプルが完成した。みんなの力が合わさってできたサンプルは、私にとって特別だったし、何よりも心がいっぱいになって涙がでた。

みんな、本当にありがとう。と気持ちを伝えた。

この経験を経て、みんなとの絆がより強くなったと感じて、何よりも、諦めなければできると感じた瞬間だった。


明日はみんなでピクニック。
ホームを感じる一日になるだろうな。

読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!