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なにこれ

2本目の掌編小説かポエムみたいなやつ

君はアルコールのようだ。触れればふわふわして、気分がよくなる。それでも、共に長くいれば、クラクラしてきて、身体が火照ってしまう。
なんだか悲しい気持ちにもなってくる。
だから、ずっと一緒にはいられないのだ。

「私は好きじゃないよ、君のこと。君は私のこと好きみたいだけど」
さらりと言われた言葉は、チェイサーの中にある氷のようだった。酔った頭に衝撃を与えて、ちょっと居座る。冷たい真水を頭からぶちまけられたようにも感じた。
「ぇえ?」
やっと絞り出した意味を持たない声は酷いものだった。裏返っていて、おまけに小さい。間抜けな声に君は笑った。
「気が付いてるでしょ、自分でも」
アルコールがふっと冷めた頭は淡々と状況を整理する。焦り、困惑しながら。
「君のこと、確かに好いてるけど……きっと君のいう好きとは、違うんじゃないかい?」
君は何がおかしいのかふふふと笑って見せた。なんでか見透かされるような瞳に頭がくらくらしてきた。あぁ、早く帰らなかったから……君に取憑かれて離れられない。否、私がしがみついて勝手に依存しているだけなのだろう。
「ははは……降参だよ。私は君に敵わない」
そして、きっと適わない存在なんだろう。

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