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「労働組合に捧ぐ」~元人事部長からのエール~ (1)

こんにちは。
モチベーションLAB所長の吉川和利です。

今回のコラムは、私ども「エルアール人事労務研究所」の名前の由来をイントロとして、労働組合への思いを述べたいと思います。

長文となりましたので、4回に分けて投稿いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。


「エルアール」の名称の由来

エルアールとは「LR」です。
次に述べる二つの意味合いからこのように名付けました。

まず一つ目は、私の苗字に紐づけてみました。
LはLucky つまり「吉」
RはRiver つまり「川」
ということで、エルアールは吉川という意味です。

次に、LはLeft(左)、RはRight(右)ということで、これは何事も偏らず、左右バランスよく考えたいという意思を示しています。
私は、左翼でも、右翼でも、中道でもなく、その時々に正しいと思った通り判断し行動したいと思っています。

エルアール人事労務研究所では、人事制度などのコンサルティングサービスを行っていますが、会社の側にも従業員の側にも偏ることなく、その組織に見合う適切なコンサルティングや助言を行いたいと心がけています。

こういった二つの視点で、エルアール人事労務研究所と名付けました。


労働組合役員としての経験

私がコカ・コーラを退職し、人事や労務そして人材育成関連のサービスを事業として起業しようと決意したのは2010年の春でした。
これまでのコカ・コーラでの業務経験(特に人事部での経験)と労働組合の役員としての経験とがあるからこそバランスのいい提案や制度構築が出来るし、それこそが自分のアイデンティティであり、他と差別化できる自分の強みだと考えていました。

そのバランスの必要性について1つ例を挙げて説明します。

評価制度や賃金制度などの人事制度は、管理をすることが目的ではなく、メンバーを動機づけることがその主目的です。

使用者側が、自らに都合のいいように作った制度(管理しやすい制度)は、早期に終焉を迎えると思います。

ハーズバーグの2要因理論によると、労働者が制度に魅力を感じない場合、それは不満足を助長させる要因となり、この不満足が続くことで意欲の低下を招くだけではなく、離職にもつながりかねないと指摘しています。

逆に承認、昇進、任用(いずれも評価制度に関連すること)が適正になされることで満足し動機づけの要因となるのですが、いずれにしても、不満足要因をクリアできてはじめて満足の要因が効果を発揮するので、やはり従業員の不満を招かない制度設計が必要になると考えます。

このように考えると、人事制度とは、使用者による「管理」の側面と、労働者への「動機づけ」の側面との両方からアプローチすることが必要で、その両方を満足させるものでなければなりません。

つまり、人事制度は左右からバランスよく考えていかなければならず、そういった点では、労組役員の経験は貴重な経験だと言えます。


労組の組織率は低下している

ところで、労働組合の組織率は低下を続けているようです。
組織率とは、労働組合に加入している人数÷全労働者で算出する指標で、つまり全労働者のうち、何人が労働組合に加入しているかを示す指標です。

戦後すぐの時代には50%を超えていた組織率も、平成元年(1989年)では25~6%まで低下し、直近(2023年)では16.5%程度になったようです。

この記事を見ていると、全労働者数は増加していますが、労働組合を取り巻く環境の変化により組織率が低下していることが分かります。

その環境変化には以下のような事情が影響しているようです。

  •  小売りやサービス産業での雇用が進んでいるが、そういった産業では労働組合が少ないこと

  •  新規に起こした事業では、使用者(経営者)・労働者ともに組合結成に積極的では無いこと

  •  パートや派遣など、非正規雇用が拡大したが、その受け皿となる労働組合が少なかったこと

個人的には、これ(組織率の低下)は残念な傾向だと思っています。


https://www.irasutoya.com/2016/05/blog-post_16.html


労組への偏見と不満

さて、私が入社した近畿コカ・コーラボトリング株式会社では、労働組合が存在しましたし、会社と組合とのユニオンショップ協定により、社員は全員労働組合に加入するルールとなっていましたので、新入社員の私は当然のこととして労働組合に加入することとなりました。

ただ、私は「労働組合とは魔物が住む暗黒大陸」のようなイメージを持っていました。
今思えば、それは思い込み・偏見のようなものであったのですが、当時は真剣にそのように思っていました。
それは多くの労働組合が用いる古めかしい言葉が影響していたと思います。

例えば「闘争」という言葉です。この言葉には過激な印象しかありません。

実際、当時の組合機関誌は「こぶし(拳)」という名称でしたし、組合歌には「エイエイオー」的な言葉とか、「勝ち取る」的な言葉も使われていました。
いずれも暴力的であり、自分たちの利益のためには過激な運動も辞さないという雰囲気を連想せざるを得ませんでした。

他にも、

  • 月額何千円もの組合費を徴収されること

  • 「オルグ」という訳の分からない名称の会合に参加しなければならないこと

  • 休みの日に新入組合員歓迎会という会合に駆り出され、聞きたくもない長い話を延々と聞かされたこと

等々、組合にいいイメージなんて抱きようがありませんでした。

さらに、(なお、ここからの数行は笑い話なので、そういう前提で読んで下さい)当時のK委員長とM副委員長の風貌は、「さわやかテイスティ コカ・コーラ」とは全く正反対のもので、下手なことでも言おうものなら、す巻きにして大阪湾に沈められるのではないかとも思ったくらいです。(重ねて言いますが、これは冗談です。 実際にお話しをさせて頂くとお二人も優しい方でした)

というわけで、「できることなら組合から脱退したい」と職場の先輩に話したら、「オレも同じや。でも組合を脱退したら、その時点で会社をクビになるらしいで」と聞かされ、泣く泣く脱退を諦めたということもありました。


(つづく)


エルアール人事労務研究所のHPもよろしくお願いいたします。


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