バイクのお仕事、年末雑感

今年もあっという間に年末、引き続きバイク業界に居続けておりました。来年もまた加速度的に一年が過ぎてゆくのだろうと今から焦りすら感じつつ、備忘録的に今年の感想を。

バイクディーラーの人手不足感は年々深刻さを増しているようで、特に整備士人材の担い手は予期どおりに減少している感じがしています。肌感覚的には、数少ない担い手、特に若い方は比較的待遇の良いショップ(おそらくは大手チェーン店)へと流れていき、中小・個人店はその業務のツラさ(薄給、長時間労働等々)ゆえ、そもそも応募がない、現職の人材も流出しているように見えます。

市場原理という点では、お客様から支持されるショップに仕事が集まり、事業規模もしだいに拡大、儲けも増えて、働き手にはより良い待遇が用意されて、人材が集まっていく。健全な経済活動ではありますが、一方で、修理やメンテナンスをして欲しいというお客様の依頼に、人手不足が理由で答えられないのが多くのショップの実情ではないかと思います。私は東京都内メインでディーラー様のお手伝いの仕事をしていますが、どこのショップでも診て貰えない「修理難民」の話をしばしば耳にします。地方ではどうなんでしょう?気になるところです。
辞めてしまった整備士が別のショップで働いているならまだしも、異業種に流出しているとしたら、オートバイ業界にとっては不幸な流れです。

ふと、あるスイス人のお客様が日本人の整備士の仕事のレベルをベタ褒めしていたのを思い出します。
その方は「日本では頼んだ事以上にきめ細かく診てくれるけど、アメリカとかだと頼んだ事すらちゃんとやってくれない、ガレージが有れば自分で整備するのに…」と嘆いておられました。まあ、アメリカはDIYな感じなので、ショップの整備の需要もそれなりのボリューム、レベルも上がらない結果なのかな?みたいには思ったりしますが、いずれにせよ、飲食や宿泊なども日本のサービスレベルは高い、でもサラリーは安い…みたいなのと似たような話でしょうか。

人材不足とかサービス品質の高さなど理由となって整備士のサラリーが上がると良いなと思うと同時に、ワークライフバランスとか、自尊心の充足(お客様から認められてる感みたいな…)といったお金ではないところも重要な観点なのでしょう。
ただ残念ながら、色んなことが改善していくのは何年もの月日がかかるものでしょうから、今を生きている整備士の中には「たまったものじゃない」感が燻り続けている方も多くいらっしゃるのかもしれません。

それでもなおバイク業界に居て、バイクユーザーのサポートをし続けている貴重な整備士さんには頭の下がる思いでして、引き続きできる限りのサポートしていこうと思った今年の年末でした。


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