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1日1インド文字 9日目 「木」

お題

木曜日のお題は「木」tree

Telugu          చెట్టు       ceṭṭu
Kannada      ಮರ        mara
Malayalam   വൃക്ഷം   vṛkṣa
Tamil             மரம்       maram
Hindi             वृक्ष          vṛkṣ

rの母音が出てきました。

※単語はwikipediaの「木」の各言語の表題から。
※書き順動画は子音と母音の関係をわかりやすくするために変えてあります。
※カタカナ表記は読み間違えないためとかの目安なので、基本的にはローマ字表記を読んでください。

【補足①】母音のṛ


母音のṛ

テルグ、カンナダでは「ル」に近い読み方ですが、サンスクリットやヒンディーでは「リ」に近い音で読むようです。
サンスクリットやクリシュナの「リ」もこの音です。
なので英語表記のiはいらないっぽい。

英語表記    sanskrit     krishna
サンスクリット samskṛtam   kṛṣna

なのでクリシュナの読み方は 「ク」「リ」「シュ」「ナ」 ではなく 「クリ」「シュナ」 みたいな感じ (テルグ、カンナダ、マラヤーラムだと「クル」「シュナ」っぽくなる) ので「森」はマラヤーラムは「ヴル」「クシャム」ヒンディーは「ヴリ」「クシュ」みたいな感じ…に、なると思います。(この辺の発音はいまいちよくわからない)

なお母音のṛの記号はuやūの母音記号の見間違いやすいです。
Malayalam   u  ു      ū  ൂ      ṛ  ൃ
Hindi             u  ु       ū  ू      ṛ  ृ

母音のrと見間違えやすい文字

【補足②】デーヴァナーガリーの謎合字三銃士

クシャ、シュラ、ジュニャ サンスクリット語の単語に非常によく出てくる合字たち。よく使うためかデーヴァナーガリー文字だと原型を留めてない。

k क् + ṣa ष = kṣa क्ष クシャ
ś श् + ra र = śra श्र シュラ
j ज् + ña ञ = jña ज्ञ ジュニャ

個人的には謎合字三銃士と呼んでいる。

謎合字三銃士

【補足③】テルグ文字のタイピング

చెట్టు
ceṭṭu
チェットゥ

ṭṭは反舌音のṭの子音結合

InScript→ చ + ె + ట + ్ + ట +ు (ca + e + ṭa - a + ṭa + u)
QWERTY→ c + tilde + ⌥ + t + f + t +u
※fは子音消去記号

【補足④】カンナダ文字のタイピング

ಮರ
mara
マラ

InScript→  ಮ + ರ(ma + ra)
QWERTY→  m + r

【補足⑤】マラヤーラム文字のタイピング

വൃക്ഷം
vṛkṣaṁ
ヴルクシャム

※カタカナ表記は目安
ṛは母音。kṣでk ക്とṣ ഷ്が子音結合。ṣは反舌音と同じ舌の位置で発音?
と、書いたけど、マラヤーラムのṛの母音が「ル」に寄るのか「リ」に寄るのか不明。テルグとカンナダは「ル」寄りで習ったのでドラヴィダ語族仲間だから「ル」に寄るのかもしれず、サンスクリットの影響が強ければ「リ」に寄るのかもしれない…。私の耳ではいまいちよくわからない

InScript→  വ + ൃ + ക + ് + ⇧ + ഷ + ⇧ +ം (va + ṛ + ka - a + ṣa + ṁ)
QWERTY→  v + ⇧ + r + k + f + x + ⇧ + m
fは母音消去記号
xはഷ
kṣa ക്ഷは【⇧+x】でもOK

【補足⑥】タミル文字のタイピング

மரம்
maram
マラム

Tamil99→   ம + ர + ம + ் (ma + ra + ma - a)
TamilAnjal→  m + a + r + a + m

【補足⑦】デーヴァナーガリー文字(ヒンディー語)のタイピング

वृक्ष
vṛkṣ(a)
ヴリクシュ

※カタカナ表記は目安
語末のaは発音しない。ṛは母音。
k क्とṣa षで子音結合の合字kṣa क्ष を形成。
ヒンディーだとśa शとṣa षは発音の区別しない…らしいです。サンスクリットだとたぶんする?

InScript→ व + ⇧ + ृ + क + ् + ⇧ + ष (va + ṛ + ka - a + ṣa)
※iPhoneの場合kṣa क्ष は【⇧ +क्ष 】でもOK

QWERTY→ v + ⇧ + r + k + f + x
fは母音消去記号
xはष
kṣa क्षは【⇧ + x】でもOK

【補足⑧】文字と言語、発音の違い

テルグ、カンナダ、マラヤーラムとデーヴァナーガリーは、ほぼ1対1で文字が対応しますが特にヒンディーは同じ字でも発音が違うことがあって(母音のaiがアイではなくアエに近い発音になる)なので一つの言語だけやって「インドではこう!」というのは当てはまらない時があるので注意。

 また何度か「デーヴァナーガリー文字」と「ヒンディー語」と「サンスクリット語」という言い方をしてるのですが、言語と文字は別物です。デーヴァナーガリー文字が今の形になったのは11世紀頃と言われていますが、一方サンスクリット語の文法が整備されたのは2千年以上前のことです。つまりサンスクリット語よりデーヴァナーガリー文字が後の成立で、あくまで現代ではサンスクリット語はデーヴァナーガリー表記が一般的なだけで、書こうと思えばテルグ文字、カンナダ文字、マラヤーラム文字でサンスクリット語を書くこともできます。これが文字と言語は別物、ということです。


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