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[ChatGPT] TOML形式プロンプトがあなたの潜在能力を開放する

ChatGPTにさせたい作業が込み入ってきて『プロンプトを書くのに時間がかかる』と思ったことはありませんか? そう感じたとき、あなたの思考能力は作文技術によって制限されてしまっています。

TOML形式プロンプトであればより複雑なプロンプトを短時間で書き上げることができます。それはあなたが本来持っている能力を最大限に開放することにつながります。

なんていう怪しい自己啓発セミナー風の書き出しで始めてみました。こんにちは、キン担ラボの本橋です。

アヤシクナイヨ

先週試して『これはいい!』と使い始めたプロンプト形式、TOMLのご紹介です。テクノトークタイムの前に試していたらみんなに共有できたのに…❗と悔しがりながらnoteにまとめておきます。


TOMLとは

TOML(Tom's Obvious, Minimal Language, トムの明確で最小限の言語)ってなんですかね、という問いに極端に分かりやすく回答すると作文の書式のようなものです。

[目的]
◯◯に△△したい

[考えていること]
仕事を楽にしたい

[日付]
2024年1月30日

こんな具合です。[]に見出し、改行して中身、が最もシンプルな形です。イコールで繋いだりもできます。

[情報]
目的=◯◯に△△したい
日付=2024130日
考えていること=仕事を楽にしたい

以上の書式で自由に書いてみてください。読み取る側はChatGPTですので、だいたいの書き方でも読み取ってくれます。

TOML書式をエンジニア向けに説明すると『曖昧さ無しに連想配列に変換できるミニマルな書式』という説明がわかりやすいと思います。JSONと同じことを、JSONよりも人に優しく書けます。具体的にはコメントが書けます

JSONめ…!

複雑なプロンプトをTOMLでシンプルに書く

プロンプトにTOML形式を採用すると、複雑な情報をシンプルにプロンプト化することができます。

例えばブログの下書きを作らせてみます。これまでなら僕は以下のようなプロンプトを書いていました。

「TOMLでプロンプトを書こう」というタイトルのブログを書いてください。目的は、自然文で書き下すには複雑になってしまう場合に構造をもたせたプロンプトとしてTOMLを採用する提案です。トピックとしては、TOMLの書式を紹介すること、TOMLのサンプルを紹介すること、自然文のプロンプトで書いた場合との違い、TOMLを書くときに気をつけること、を含めてください。注意点として、4章立てで書き、各章は200文字前後とし、読み飽きないような表現を入れて、改行多めとしてください。

改行入れたらマシになると思う

読むのも時間がかかりそうな文章です。これをTOMLで表現すると以下のように書けます。

以下の情報をもとにブログを書いてください。

[information]
タイトル=TOMLでプロンプトを書こう
目的=自然文で書き下すには複雑になってしまう場合に構造をもたせたプロンプトとしてTOMLを採用したい

[topic]
TOMLの書式を紹介する
TOMLのサンプルを紹介する
自然文のプロンプトで書いた場合との違い
TOMLを書くときに気をつけること

[制限]
4章立て
各章は200文字前後
読み飽きないように
改行多め

改めて読むことを考えても全体が把握しやすくて良いですね。書き下し文をTOML形式に書き換えて『構造化』できました。

この構造化がポイントです。

プロンプトをTOML形式にするメリット

構造化したことで特に便利になるポイントが一つあります。それは簡単に情報を書き足せることです。

ブログのトピックについて付け加えたいな、と思ったときに、書き下し文のプロンプトであれば追記する箇所を探し出す必要があります。

一方でTOML形式であれば、[topic]の項目を見つければ良いので一目瞭然です。

これが構造化のメリットです。プロンプトが巨大になればなるほど恩恵も巨大になっていきます。

ストレスなく複雑なプロンプトを書ける

今回のサンプルはそれほど複雑な構造ではありません。ですが、ここに登場人物を足したり、口調を足したり、日付季節を足したり、次第に複雑なプロンプトを作りたくなってきます。

TOML形式であれば、[登場人物]みたいな行を追加してあげればChatGPTは読み取ってくれます。複雑なプロンプトであってもストレスなく書き上げることができます。

ストレスなくプロンプトを書ける、それはつまりAIを扱うあなた自身の能力を拡張することに繋がります。

言い過ぎ? そんなこと無いですよ。

言語が思考を規定する

なんだか話のトーンが変わってきました。

言語的相対論というページがWikipediaにあります。そこには『使っている言語が頭の中の考えに影響を与える』という仮説が紹介されています。

僕もあんまりきちんと理解していませんが、『言語によって虹の色が2色だったり8色だったりする』みたいなことかと思ってます。虹の色を表現できない言語を使っていては、誰かに虹の色を伝達できないわけです。

最もシンプルだと「赤・青」の2色だそうです

プロンプトは人間からコンピューターに伝えたい情報を乗せた作文です。こちらが意図した通りの情報をコンピューターが読み取ってくれれば大成功なわけです。

頭の中にある思考をChatGPTに伝えるために、まずプロンプトを書きます。そしてそのプロンプトは他の人間に伝えるのではなく、目の前のブラウザで開いているChatGPTに伝えることが目的です。

現時点では、人間から見ても書きやすいTOMLはChatGPTとの対話に最適な手段(言語)と言えると思います。

ChatGPTにあなたの思考を最大限に伝えるために、TOMLを使ってみてください。

次回予告:音声書き起こしの議事録をTOMLでまとめる

次回の記事では、音声書き起こしの議事録化をTOMLでやってみたいと思います。お楽しみに!

追記:音声書き起こしの議事録化TOMLについて書きました!

参考1:TOMLの公式情報

TOMLは簡潔な書式ながら、適度に構造を持たせて書けることが分かりました。ここで紹介した他にどんな書き方ができるのかは公式のリファレンスを参照すると良いでしょう。

ChatGPTにもTOMLとは何か、と尋ねてみました。

TOMLは、設定ファイルや他の種類のデータを保存するためのデータ形式で、簡潔で読みやすいことが特徴です。2013年にGitHubの共同創設者であるTom Preston-Wernerによって作成されました。

ChatGPTの回答

ここでも簡潔で読みやすいこと、という特徴が取り上げられています。

先程も「文章を書き足しやすい」と書きました。複雑なプロンプトを読みやすく表現できるというTOMLの特徴は使い続ける上でとても重要な意味を持ちます。

参考2:他の書式との比較

2023年6月の段階で、TOMLがYAMLやJSONよりも書きやすいしChatGPTにも理解してもらいやすいことをkotamatさんが提案されています。

構造化という観点でも他のフォーマットに引けを取らず、それでいて人間の読みやすさが優れていると分析されています。

とりわけプロンプトに採用するという目的においてTOMLのバランスが現状では最適と考えて良さそうです。

JSONとか手で書きたくない。

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