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【書評】働き女子が輝くために28歳までに身につけたいこと 漆紫穂子著

品川女子学院の漆紫穂子理事長により2017年に出版された書籍。

同学院のバックボーンとなっている「28プロジェクト」。そこに込められた想い、それが生まれた背景等について、漆さんのこれまでの豊富な経験談と共に語られています。

出産 年齢 に タイムリミット が ある 女性 には、ワーク・ライフ・バランス を 考える 時期 が 男性 より 早く き ます。 28 歳、それ は、仕事 では 多く の 経験 を 積み、 プライベート では 結婚 や 出産 という 選択肢 が 生まれる、まさに 人生 の ターニングポイント なの です。人生 を 約 3 万 日 と する と、1 万 日 目 が ちょうど 28 歳 の とき。それ までが 人生 の 基礎 を 学ぶ ステージ だ と する と、それ を 社会 に 還元 する ステージ が 28 歳 から 始まる とも 言え ます。そんな こと から、 私 たち の 学校 では、「 28 プロジェクト」 として「 28 歳 の 未来 から 逆算」 できる よう な「 場」 を 設け て き まし た。

出典:働き女子が輝くために28歳までに身につけたいこと 漆紫穂子著

てっきり女性のキャリアプランにフォーカスした内容かと思いきや、若い男性やキャリアを積んだ男女にも役立つ、人生の知恵の数々。他の自己啓発や心理学の本の内容と重複する部分もありますが、漆さんご自身の実体験の重ねて語られることで、説得力が増し、心に響く内容となっています。

幅広く実社会で役立つノウハウについて語られていますが、特に感情(心身)のコントロール及び対人関係(人の動かし方)に関するものが多いとの印象を持ちました。

ハイライトの1つが、別の私立高で充実した教師生活を送っていた20代の頃、実家の品川女子学院が経営危機に瀕していることを知り、戻って助けるべきか否かの判断に直面したシーン。

「心が揺れた時、後悔のない決断はない」という章で以下の様に書かれています。

最終 的 には、消去法 で 決め た の です。どちら が 後悔 し ない だろ う かと。「みんな が 大変 な とき、自分 が 何 も せ ず、この 学校 が 本当に つぶれ て しまっ たら、私 は どんな 気持ち に なる ん だろ う? 自分 だけが 幸せ でも、それ は 本当 の 幸せ では ない。きっと 後悔 する のでは ない か」

決断 とは、一つ を 選び、一つ を 断つ こと。選ば なかっ た もう 一つ の 大切な もの に対する 思い は 残り ます。この こと を 知っ て いる こと で、決断 が できる という こと も ある と 思い ます。

他にも、

  • 不安を具体的に書き出し、見える化することで最悪に備える。

  • ネガティブな感情を書き出し、一旦、脳外に掃き出し、冷静に向き合う。

  • 「強み」は1つの領域で考えるのではなく、「組み合わせ」で勝負する。

  • 椅子(需要)のあるところで勝負する。

  • 幸せ(Happiness)と意味がある(Meaningfulness)の違いを理解する。

  • 頼む力を上手に発揮する。

  • グローバル社会で必要な3つの力。

  • 弱みを強みに変える方法。

  • 人が動かない4つの理由と対処方法。

等、これから社会に出る若者だけでなく、実社会経験を積んだ大人にも様々な気づきを与える内容となっています。

例えば、「人が動かない4つの理由」では

  1. 情報を知らない

  2. 面倒くさい

  3. 責任を取りたくない

  4. その人が嫌い

の4点が挙げられ、「情報を知らない」の例として、品女に戻った当時、品女の制服は「セーラー服の化石」と称され、近隣の中高生に蔑まれている状況にあったが、同学院の幹部は、そのことを全く認識していない。

その状態で新しいデザインを提案した際、生徒には大好評であったが、幹部には全く支持されなかった為、まずは現状を認識してもらうことに注力した。

という逸話が紹介されている。

あと、個人的に考えさせられたのは、「トップリーダーになる女性に共通すること」の章。

女性リーダーと男性リーダーへのインタビューを通じて判明した女性リーダーだけに見られる特徴として、「好きなことをやってきた」「トップを目指していなかった」という点。

直感的 に 自分 が 好きと 思える こと を 大切 に し、チーム の 仲間 を 押し上げ たり 引っ張っ たり し て サポート し て いる うち、いつの間にか 担ぎ 上げ られ、トップ に 立っ て い た という ケース が 多い との こと です。

これは、私自身の経験からも、非常に共感できる点であり、一方で、この現状を変えて行かない限り、女性リーダーを増やして行くのは難しいであろうと感じた次第です。

前回、ご紹介したシェリー・アーシャンボー氏の様に、最初からリーダー(CEO)になることを目指し、戦略的に立ち回って、その地位を獲得したという成功事例も増やして行く必要があろうと。

実は、2008年に漆さん(当時校長)は、カンブリア宮殿に出演され、私も「ラテン系企画マン」として感想を記しています。

「やる気のスイッチ」と「28プロジェクト」の2点が響いた。文化祭で、投資家へのプレゼンテーションを通じた出資集めに始まり、擬似株主総会で結果報告、配当金まで出すという徹底ぶりに脱帽した。

と書いてあります。

今読み返すと、当時のブログは、偉そうで、上から目線で、「お前何様?」という印象しか与えないので、リンク掲載は差し控えさせて頂きます。

いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。