【書籍紹介】ティール組織 フレデリック・ラルー著 その1
「95%のNFTは無価値」と言われ、さながらNFT冬の時代どころか、大氷河期突入という様相を呈しています。
「NFTで一攫千金狙うぞ!」と鼻息荒く参入して来た山師的な人々は、潮が引くかのごとく、海の彼方に消えていきました。投資家もコレクション運営メンバーも。
この一連の話、インターネット初期の頃から一貫してそのポテンシャルを説き続けてこられたジャーナリスト佐々木俊尚さんが、書籍「Web3とメタバースは人間を自由にするか」の中で既に予言されていました。
さて、潮が引いた後、ビーチに残ったものとは?それは、Web3の革新性に魅せられ、いち早く飛び込み、この新しい技術が見せてくれる新しい景色を夢想しながら、様々な挑戦を続けて来た仲間達。キラキラと輝く貝殻のように。
NFT投資を目的に集まったメンバーではありますが、挑戦によって得られた知見を元に、各コミュニティーで様々な事業検討を進めています。IPビジネス、エンタメ、アパレル、物販、メタバース、農業、教育、医療etc.
私は、専らDAO(自律分散型組織)に興味を持ち、「ひと妻DAO」や「Metagri研究所」等のコミュニティーに関わり、DAOを活用した「企業との共創ビジネス」や「新しい農業モデル」の開発に取り組んでいます。
ディスコードを基盤にハンドルネームを使い、素性がわからない「初めまして」のメンバー同士がチームを組み、フラットな関係性にて、主に非同期のテキストコミュニケーションを通じて、NFTプロジェクトを推進していく。
一見、「そんなの上手く行く訳ないでしょ」と思えることが、当たり前の様に機能し、成果が生み出されていく。これを実体験として目の当たりにし、DAOという新しい組織形態に興味を持ちました。
尚、DAOの定義は諸説あり、狭義のDAOは、スマートコントラクトにより意思決定が自動実行され、トレジャリーウォレットというDAOに付随するお財布にプールされた資金が自動送金されるというのが一般的と思われます。
Bit Flyerで役員をされ、山古志DAOでも活躍されている金光碧さんが書かれた「Nouns DAOから考えるDAOは人類には早かったのか」に詳しく書かれているのでご参照ください。
また、「DAOメンバーの貢献度可視化」サービスを提供するUnyte創業者の上泉さんは、「厳密なDAO」「広義のDAO」「その他DAO」と分類されています。
私が興味を持ち、実際に活動しているDAOは、金光さんの定義で言うと「同じNFTを持っている人たちのdiscordにおけるサークル活動」に相当する広義のDAOとなります。
「どうすればDAOを企業案件が受けられるレベルに、組織化・仕組化できるか?」を研究する中で、実は、Web3以前にも、DAOに限りなく近い組織形態が存在することを発見。
それが、ティール組織。
DAOとティール組織の違いにも触れ、DAOの特徴と可能性を説明した動画も作成したので、ご覧ください。
カリスマ支配者による独裁型組織(衝動型)→階層型に組織化された官僚組織(順応型)→資本主義社会で主流の目的達成にフォーカスした合理的組織(達成型)というのが組織の発展の歴史。
一方、階層構造の達成型組織は、目標達成に向けた統制を強めることで、人間が機械の様に扱われ、主体性や創意工夫が発揮されないという課題に直面。結果、環境変化の激しいVUCAの時代において、柔軟でタイムリーな対応が困難という制度疲労を露呈。
その解決策として、階層構造を残しながら権限移譲を進めることでメンバーの内発的動機を刺激する多元型組織。更には、階層構造を撤廃し、フラットな関係で、メンバーが主体性を発揮しながら運営を行う進化型(ティール)組織が提唱されるに至った。
ティール組織は、以下の3要素で構成される。
セルフマネジメント(自主経営)
ホールネス(全体性)
エボリューショナリーパーパス(存在目的)
1.セルフマネジメント
階層やコンセンサスに頼ることなく、同僚との関係性の中で動くシステム。
2.ホールネス
だれもが本来の自分で職場に来ることができ、同僚・組織・社会との一体感をもてるような風土と慣行がある。
3.エボリューショナリーパーパス
組織自体が何の為に存在し、将来どの方向に向かうのかを常に追求し続ける姿勢を持つ。あたかも1つの生命体の様に。
(続く)
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<ひと妻DAO代表小林さんによるDAOの解説記事>
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