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【書籍紹介】顧客消滅時代のマーケティング 小阪裕司箸

こちらの書籍、2021年3月発売と3年前の本ですが、本質を捉えた内容なので、今でも十分役立つと感じました。むしろ、この3年間で一挙に脚光を浴びた「ファンマーケティング」「コミュニティーマーケティング」を予言した一冊とすら言えるかも知れません。

これからの時代は「心が豊かになる」「コスパがいい」かのどちらかの価値を提供している企業しか生き残ることができない。しかしコスパの道を選ぶには、巨大な投資と労力を覚悟しなければならない。資金力のある大企業や最先端のIT技術で勝負する企業以外、ほとんどの企業が選ぶべきは「心が豊かになる」ビジネスだろう。

■顧客消滅時代を乗り切る3つの切り口

1.フロー型からストック型へビジネスを変える

観光客やインバウンド等、一過性/一見顧客に支えられたビジネスは有事の際に脆い。一方、地元ファンや長年のファン等、常連客でストック(資産)が貯まっているビジネスはコロナ禍の様な有事に強い耐性を見せた。

2.ファンダムを作り、育てていく

上述の通り、B to C事業ではファンダムをイメージしやすいが、B to Bでもファンダムは有効。むしろB to Bこそ、顧客、取引先、従業員等のステークホルダーをファンダム化していくという手法が益々、求められていく。

3.感性と価値で市場を作る

変革の前に「解凍」が必要。これまでの成功事例や常識を一旦「解凍」する。変革し、再凍結するには、新しい環境に「つかり」感性を磨くことが有効。システム全体をビジネスとして俯瞰できる感性を養う。

「場の力」は、あなたが思っているよりずっとパワフルだ。人は自分が意識しているよりはるかに強く場の影響を受ける。ゆえに、特に実践している人がいる場に「つかる」と、周りで当たり前のように話されている新しい物事の見方、考え方、実践の思考などが入ってくる。それがあなたを自然に変えてくれる力となる。

■ビジネスにおいて磨くべき4つの感性

1.部分ではなく、システム全体を見る 成功事例の一部だけ模倣しても再現できない。システム全体としてビジネスを俯瞰し、打ち手の相互関係を理解する。その上で、自身のケースにアレンジする。

2.因果全体を見る 成功した理由、失敗した理由に単一で対応する因果があるわけではない。複数の因果が複雑に絡み合っている。そこを理解しないと判断を誤ってしまう。

3.パターンを捉えてモデル化する ある事象を見て、普遍的なパターンを見出す能力。「業種が違うから、その成功事例は参考にならない」ではなく、そこから活用できそうな普遍的な事象を見出す。「異常値に着目して考える」習慣をつけると、普遍化力が磨かれる。

4.メタレベルとベタレベルを自由に行き来する 一般的には「鳥の目、虫の目」を持つと表現される。俯瞰の視点と、具体の視点を意識的に切り替えることでシステム全体を理解することができる。

■今後、予想される3つの未来

1.業種分類は消滅する

顧客は商品購入の先にある「心が豊かになる」ことを求めている。書店、製造業等、既存の分類に固執している会社は、今後、益々苦戦する。ヴィレッジヴァンガードの様に、「心を豊かにする」ことを目的とし、関連するサービスをまとめて提供する会社が繁盛する。

2.多くのビジネスが教育産業になっていく

単にワインという商品を売っているのではなく、そのワインにまつわる背景知識、食事とのペアリング等、心が豊かになる情報を提供することで顧客から支持される。商品を起点に関連情報も含めたサービスに対して「お月謝」を払うという感覚。

3.社交サロンが隆盛する

店舗は、商品を購入する場所ではなく、人々が交流する場所へとシフトしていく。共通の価値観を軸に人が集まり、交流することで価値が生まれる。究極は「車を置かないショールーム」。

大事な事なのでここで強調しておくと、この熱いファンたちには、会員であることの金銭的特典は一切ない。彼らは囲い込まれているわけではないのだ。彼らはここにいたいから、いる。彼らは感性で繋がっている。

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