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脳科学や心理技術は一通り押さえておいた方が良い

最近、仮想通貨や投資関連の動画を良く見るからか、ダイレクト出版の広告が頻繁にカットインして来ます。

・「暖かいコーヒーと冷たいコーヒー。商談の成果が上がるのはどちら?」
・「赤ちゃんの写真と動物の写真。注目を引くのはどちら?」

というやつです。それらの答えが書かれている「脳科学マーケティング100の心理技術」が無料でもらえるとのことだったので早速、申し込みました。

内容的には「予想とおりに不合理」(ダン・アリエリー)の焼き直しが多いのですが、同書の復習的には良いかなと思いました。

ダン・アリエリーの書籍に掲載されている事例の引用ですが、「おとり」効果の実験。

■案内A
①ウェブ版だけの購読:$59
②ウェブ版と印刷版のセット購読:$125

■案内B
①ウェブ版だけの購読:$59
②印刷版だけの購読:$125
③ウェブ版と印刷版のセット購読:$125

この2通りの案内を実施した際、案内Aでセット購読を選択した人が32人であったのに対し(←100人中)、案内Bでは84人に上昇。

結果、予想収益が$8,012→$11,444に上昇したという実験。

「印刷版を購入することでウェブ版が無料でもらえる」とすることで、本来、ウェブ版だけで良い人も「お得だから」とセットを購入してしまう。

レストランの値付けで、本来売りたい商品よりも更に高価なおとり商品を掲載することで、売りたい商品がより売れる様になるという有名な話が、本書にも掲載されています。

「赤ちゃんの写真を使用すると視認率があがる」「電子媒体より紙媒体の方が脳を活性化させる」等の実用的な話から、「セクシーな女性の写真を使うのが効果的な場合とそうでない場合」といった実用的ではないかも知れないけれど興味深い話まで掲載されています。

「予想どおりに不合理」(ダン・アリエリー)は2013年に発売され、当時かなり話題となった1冊。

近年注目を集める「行動経済学」が、私たちがいかに「不合理」な存在かを明らかに。様々な「不合理」を示す実験結果と共に、私たちは不合理なだけでなく、「予想どおりに不合理」、つまり自由意思でものごとを決めたようでも、いつも同じように不合理な決定を繰り返してしまう存在であることを示した書籍。

「おとり効果」「アンカリング」「先延ばし」などの「不合理性の罠」が実験を通して、次々と明らかにされていきます。

「脳科学マーケティング」「予想とおりに不合理」と並行して読んだのが、こちら。「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」。

元駿台予備学校の人気講師で、現在は教育コンテンツ・プロデューサーとして活動する著者が、対人関係、交渉で使える学術理論を紹介した一冊。

「交渉」というと、相手を論破したり、言いくるめたりする印象が強いかもしれませんが、本書では「相手をあなたの提案に乗りたい状態に促していくテクニック」が「頭の良い交渉術」として紹介されています。

本書では、以下の交渉術が紹介されています。

・相手に交渉の開始と終了を気づかせない
・相手とぶつからない
・身を守ることを最優先にする
・“All-Win”を目指している
・目的にフォーカスして手段を選択する

言われてみれば、どれも「なるほど」と思う内容ですが、商談の場では、とかく「相手を論破する」ことが目的化してしまいますよね。

また、同書ではさまざまな心理テクニックが紹介されています。既に社会心理学や交渉論を学んだ方には既知の内容が多いかも知れませんが、網羅的に整理する「おさらい」目的として極めて有効と思います。

前述の「おとり効果」に加え、「サンクコスト理論」「プロスペクト理論」「アンカリング効果」あたりは、押さえておく必要があると思います。

これまでに費やしてきた時間・労力・お金に囚われて謝った判断をしてしまうサンクコスト理論。

人間は本質的に得をするよりも損を回避する選択を行うというプロスペクト理論。

提示された数字にその後の判断が影響されるアンカリング効果。

これらを理解した上で話術を組み立てれば商談も恋愛も人間関係も思い通りになるはずです(笑)。

いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。