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〈全文無料に変更〉警察官の労働環境がどれほど過酷か。警察官になりたい人は知っておかないと後悔する

警察官になりたい、そんな人たちに警察官の労働環境はどうなのかを知っておいてほしいと思い書いたのがこのnoteです。

警察が発行している採用パンフレットには載っていない実態を紹介します。

元々は有料noteでしたが、警察官になりたい人たちの一人でも多くの人に読んでもらいたいと思い、このnoteは全文無料にしました。


警察の労働環境はブラックなのか

警察官の労働環境はかなりきついと言われます

約9年間勤めてきた私の率直な感想としては

超絶ブラック勤務でした。本当にひどかった。

警察官になりたいと思っている人は、本当に警察官になるか決断する前に知っておくべきです。
警察が発行してる募集パンフレットには載ってません。

私はまったく知らずに警察官になってみて、こんなにひどいとは思っていませんでした

受験する前の私なら絶対に知っておきたいと思います

そこで今回私が実際に経験してきたことを記事にすることにしました

では、内容の項目です

1)労働時間・残業
 ①始業時間の1時間以上前に来なければいけない理由は?
 ②夜勤 仮眠は取れる?夜勤明けに長時間残業になる構造とは。
 ③消防の方が断然ホワイトだと知った時
 ④休日出勤はある?
 ⑤非常招集~休日いつ呼びされるかわからない
 ⑥平均残業時間

(2)休日・年休
  ①年間で年休をどれくら取得できる?
  ②海外旅行?夢のまた夢
(3)賃金
 ①同期採用(同じ勤続年数)、同じ階級でも、月給が数万円以上異なる理由は
 ②警察官は公務員なのに所得が激しく増えたり減ったりするのはなぜか
 ③残業代は出る?


では、↓以下から本編になります↓

(1) 労働時間・残業

①勤務開始時間の1時間以上前に出勤しなくてはいけない理由とは

警察学校を卒業して初めて警察署勤務になった時のこと

地域課の交番勤務でした。勤務時間は朝8時~翌日の朝8時までの24時間勤務です。

勤務開始時間は8時です
でも私たち新人は6時半には出勤しなければいけませんでした。
1時間以上早く出勤しなければなりませんでした。

なぜか。

すべて雑用のためです
 職場の掃除やコーヒー作り、勤務員全員の装備品や書類の用意などの雑用です。
各課の中で、最も若い人たちがすべてやらなければいけません。

もちろん賃金などもらえないボランティア強制労働です。

一回の勤務で1時間半、年間で最低でも100時間以上の無償労働です


② 「休憩時間」は名目だけ

警察官の勤務には、朝8時から翌日の朝8時までの24時間勤務体系があります。交番やパトカー、留置管理その他、いくつかの部署ではこの24時間勤務です。

24時間勤務にも一応勤務計画があります。


9時から10時はパトロール、10~11時は交通検問など。

その中には、休憩時間もあります。昼の12時〜13時までは休憩時間など
これは労働基準法などで決まっているのです
一定時間以上の労働をする場合は、何分以上の休憩時間を設定しなくてはいけないと

深夜帯には仮眠時間として、3~4時間の連続した休憩もあります。

しかしこの勤務計画はあくまで計画です。
警察官の仕事ほど計画通りにならない仕事はありません

110番は次から次へと入って来ます。
通報が続いた場合「今は休憩時間」とか「今は仮眠時間」だから待たせるということはできません

その場合、休憩時間は業務時間となります。

 では、仮眠時間に事件事故が入ったら一睡もできないこともあるのか?
  あります。むしろ計画通りに仮眠できることの方が少なかったです
  
 夜勤明けの翌朝は、ほとんど寝てない状態で迎えることが多かったです

頭は痛くてぼーっとしてフラフラです。人間は睡眠不足が蓄積していくと、確実に病気のリスクは高まり、寿命も縮まります

食事も、昼食を食べれたのが22時だった、なんていう時もあります

このように休憩時間などないのが前提です


さらに!
勤務時間が終了となる翌朝8時になっても、まだまだ仕事は終わりません
 

 

③夜勤明けとその後の長時間残業


 夜勤明けには、必ず残業しなければいけないような構造になっています
 退勤時間に定時で退勤は絶対に不可能です

その理由を説明します。

翌朝8時になり、勤務終了時刻になります。

しかし仕事が片付いて退勤できるのは、早くても昼頃、遅い時は夕方まで残業です。

特に、若手は退勤時間が遅い
 仕事を押し付けられるし、仕事を片付けるスピードも遅いし、夜勤明けにも雑用があったりするためです。

  
絶対に残業しなくてはいけない構造的な問題

 夜勤明けに仕事が山積みなのは、勤務(当番)時間中に書類作成などのデスクワークはできないからです

勤務時間中に事件受理や交通違反などを扱うと、警察官は膨大な量の書類を作成しなければいけません

 被害届、実況見分調書、交通切符、などなど。

 特に、実況見分調書は、作成するのに数時間かかることもある大変な書類です

この書類作成は、交番にいる間はほとんどできません。

やろうと思ってもすぐに次の通報処理が入って来ます

そうすると、書類作成ができるのいつか。

夜勤明けに通報処理から解放された時しかありません
 つまり残業時間です。


 作成に3時間掛かる実況見分調書を2つ受けてしまったら、それだけで6時間です

警察署の地域課は、寝不足フラフラでさまようように行き来してる警察官、ぶっ倒れて机で寝ている警察官たちがあふれているゾンビ街のようなところです。

そこで長時間の書類作成をやり続ける。

このように、長時間の残業をしなければ仕事が終わらない構造になっているのです


消防の方がホワイトだと知った瞬間

 刑事課員だった時に、消防の方が圧倒的に労働環境がいいということを知りました
 火災の現場では消防隊員とよく一緒になります

 ある日、深夜に火災が発生して現場で消防隊と一緒になりました

 火災の原因を調べるには、夜は暗くてできません。

そのため、翌朝明るくなってから、再び現場で消防隊と刑事課員の合同で火災調査を行います。

 私たちは翌朝8時までが勤務時間でしたが、火災発生の時に現場に行っているため、火災調査には行かなくてはいけません
 

寝不足のまま火災現場に行きました

 消防隊も来ていました。しかし、そこに来ていたいのは、昨夜現場で一緒になった消防隊員とは別の人たちでした


 私たち警察官は消防隊員に聞きました。

「あれ、昨夜現場に来ていた人たちは来ないんですか?」

 消防隊員「彼らは勤務時間が終わったから帰ったよ。え、警察さんは勤務時間が終わった人たちが残業で来るの?」

 消防と比べても警察の労働環境や体質はかなりひどいようです


交番勤務時代の残業平均時間

退勤時刻の平均が16時とすると、残業時間は8時間。
 24時間勤務は毎月約10回。
 そうすると、毎月の平均時間はおよそ80時間です
 

これにさらに急な休日出勤などが加わりますから、毎月の平均残業時間が約100時間といったところでしょう。

これが多いのか少ないのかは、それぞれご判断下さい。
ブラック企業や、過労死の残業時間の基準と比較してみると目安になるでしょう

↓こちらは厚生労働省が発している過労死ラインの残業時間のPDFです

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/0000138040_1.pdf


 
④休日出勤はあるのか。どのような場合にあるのか

休日が潰れて出勤になることはよくあります

これも特に若手は多い。人手が足りないと平気で若手は休日に出勤させられます

休日出勤の例
・ノルマ(交通取締や検挙数)が達成できないと、休日に強制勤務させる幹部がいる
・他の課(特に刑事課)で張り込みやガサ入れをやるのに人手が足りないと「明日の休み出て来い」と平気で使われる

代休や手当の支給などはありません。強制ボランティアです


 ⑤非常招集~休日でもいつ呼びされるかわからない

  非常招集とは、休日を過ごしてる警察官が急きょ呼び出さることです

 どんな時に、非常招集されるのか
  大きな事件や災害の発生など、警察力を増やす必要がある場合です

しかし、召集は大事件発生などの時だけではありません。「そんなくだらないことで召集するな」と私が呆れた非常招集も何回もありました


・ある警察官が警棒を紛失したから、今から署員を集めて捜索する。若手は全員出て来い
・ある幹部が自分の仕事が終わらなくて休日出勤していた。パソコンもろくに使えないため、自分でパソコンを使ってデータ収集ができない。そこで若手に電話して「今から来てくれ」


 大きな事件が発生して、捜査のためなどであれば、休日が潰れても少しは納得いきます
 

しかし、こういった呆れるような理由での招集が日常のようにあるのです

 こういうことがある度に、やる気のある警察官たちは無駄に疲弊していくのです。 
   

急な休日出勤や非常招集などの勤務した場合、その分の代休はあるのか

ありません。一切ありません。



ここまでが(1)となります。

残業は毎月平均100時間

残業とは別に毎朝1時間以上の無賃金雑用労働が強制される

残業とは別に、様々な理由での非常招集(休日出勤)がある


(2)休日・年休


警察署の警察官の時は、年休消化はほぼゼロでした。

夏期だけ年休とは別の特別休暇が6日ほどもらえますが、その6日のうち、3~4日取得できればいい方です。

警察は休暇を申請すると、「怠け者」と批難されるところです。


そもそも年休が取りずらい、年休を取らせない仕組みになっている


 休暇を申請する場合、休暇申請用紙に記入して上司に持って行って決裁をもらわなくてはいけません。
休暇申請書には、休暇を取る理由を書く欄があります。


これがそもそもおかしい。本来なら年休を取得するのに理由を説明する必要はないんです

しかし、この休暇の理由欄に何かを書かなくては申請は出せない。


そして、上司によってはこの理由の内容について、グダグダ×5言ってきます。
「こんな理由で休むのか」「おれだったら休まない」「他の職員の負担を考えているのか」「楽することばかり考えている」

警察では、与えられた有給休暇を取得することは悪いことなのです
休暇を一日も取得することなく長時間労働することが美徳なのです

ただし!ごく少数ですが、気持ちよく休みを取らせてくれる幹部もいました。
そういう幹部のいる職場の方が、実績は上がっていました。

職員の士気が上がりますからね


 ②海外旅行?行けると思う?


  新婚旅行などの人生のイベントくらいだと思った方がいいでしょう。
その新婚旅行ですら、仕事で数日前にキャンセルさせられた人もいました。
キャンセル料は自己負担させられてました。


(3)賃金


 ①同期採用(同じ勤続年数)、同じ階級であっても、給料が数万円単位で異なるのはなぜか

警察官の基本給は勤続年数によって上がっていきます。
  そのため、同期採用で年齢も同じ、階級も同じであれば、基本給はほとんど同じです

  しかし、実際には振込額は数万円単位でちがうこともある
 

 なぜか

  警察官には基本給のほかに、いろいろな手当が支給されます。
   この金額が数万円単位で大きい。

   そして手当は、どの仕事をするかによって大きく異なる
   刑事課、交番、交通課、留置管理、機動隊・・・警察官とっていもいろいろな職場あります

  どのような部、課で、どれくらい忙しいところか。
これによって支給される手当の金額が大きく異なるのです

  そのため、同期採用、同年齢、同階級であっても、

 忙しい警察署の刑事課員と、

 残業がほとんどないデスクワークをやっている人

 とでは、毎月の所得に最大で10万円ほどの所得差が出ることもあるのです。

ただし給料が多いところは、本当にひどい勤務です。時給に換算したら、そのへんのフリーターより低いのではないでしょうか


②警察官は公務員なのに安定していないと言われる理由。所得が激しく増えたり減ったりするのはなぜか

 
 警察官には異動があります。
 激務なところから、楽なところに異動になれば、それまでよりも手当の支給額が減ります
 そのため、異動先によって収入が大きく変わる事があるのです。

異動前と異動後の職場で、毎月5万、8万くらい手取り額が変わる事もあります


 しかし、警察官の多くは、収入が多い激務署よりも、収入が少なくても仕事が少ない署を希望する人が多数です。

 激務署にいったら、いくら収入が多くても、お金を使う時間がすらないような生活になりますから。
 

 ③残業代は出るのか
残業代は出ます。激務であれば10万円以上出ることもありました。

私にとって最も激務だった刑事課勤務の時は、残業代だけで月に20万近く支給されたこともありました。

基本給+諸手当+残業代で、振込額は30万円代後半だったと思います。
年齢は30歳前後です。

しかし、その場合、休日はほとんどない生活をすることと引き換えです

かなりの残業代が支給されますが、労働時間がかなり長いので、時給に換算すると300円くらいではないでしょうか。



どうでしたか
ここに書いてきたことは全て実体験です。架空や創作は一切ありません

警察官になりたいと思ってる人に知っておいてほしい本当の実態を紹介してきました

これを知っても、警察官になってやりたいことがある!と思えば目指せばいいでしょうし、こんなところで働いたら幸せな人生にはならない、と思ったらやめた方がいいです。仕事なんて他にいくらでもあるんだから

このnoteでは、警察官を目指すかどうか、その決断をするために最低限知っておいて欲しいことを紹介しました。

もっと過激でヤバすぎる勤務実態や、壮絶なパワハラなどについても読んでみたいという人は、↓こちらのマガジン内の記事を読んでみて下さい。

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警察官の勤務はどれほどブラックで厳しいのか、また階級社会・縦社会と言われる警察組織のパワハラはどれくらい壮絶なのか、 警察官を約10年勤め…

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