80年代SFへのオマージュ満載!NETFLIXドラマ「ストレンジャー・シングス」

NETFLIXで現在シーズン2まで配信中の「ストレンジャー・シングス」。全米では社会現象と言われるまでのヒット作なのに日本では以外と広がりを見せていない。
かくゆう私も2話まで見たところで古臭いトーンに暫し頓挫してしまっていた。(この古臭いというのが、見始めるとじわじわ良くなってくる)それが、シーズン2の配信開始というニュースで、そこまで言うなら見ましょうか。というスタンスで観出したら、どんどん惹き込まれていって、一気にシーズン2のラストまで!
とにかくNETFLIXに入ってる人なら確実に観るべき1本なのは確かでしょう。

ここからは、楽しむために問題になるようなネタバレは無いけど、シーズン1中盤までの内容にも触れるので、全く予備知識無い状態から見たいという人は、視聴後に読んでね。

舞台は1983年のアメリカ中西部。物語の中心は片田舎のホーキンスという町で暮らす12歳の少年4人組。

少年たちの話題は、「スターウォーズ」と「D&D(ダンジョン&ドラゴン)」、遊び部屋に張られているポスターは「遊星からの物体X」。その中の一人ウィルが謎の失踪するところから話が展開していく。残された3人(マイク、ダスティン、ルーカス)は「E.T.」さながらに自転車でウィルを街中を探し回る。そして出会う謎の坊主頭の少女イレブン。ほとんど言葉を発しないこの少女は何やら特殊能力を秘めているらしい。これがまた大友克洋の「アキラ」に登場する秘密組織に育てられた皺だらけのナンバーズという子供達と設定が似ているのである。冷戦時代に実際に行われていた実験らしいので双方ともそれに由来していると思われるのだが、最初見なくなってしまっていた原因は「あ〜、この作者はこの年代のSFが好きで、今、それらの焼き直しをやってるのね。」的な印象を受けってしまっていたのである(自分が大好きな世界観だけに踏み込まれるとちょっと照れてしまう)。うわべだけしか見れていなかった自分が恥ずかしい!それがどっこい、どんどん見進めていくうちに、その80年代SF愛も凄いけど、演出力、構成力、キャラクター作り、どれを取っても素晴らしい!ただのオマージュではないオリジナルの物語に進化させていることに気づいていく。

そして、少年達と並行してウィルの母親も幼馴染の警察署長ホッパーと息子の捜索を始める。

この母親ジョイスを演じるのが80年代後半に大活躍した女優ウィノナ・ライダーなのだ!実生活では2001年の窃盗事件でそれまでのキャリアのイメージを塗り変えてしまったが、ストレンジャーシングスではこういった何をしでかすか分からないイメージをもキャラクター設定に生きている。ウィル失踪直後にジョイスは謎の電話を受ける、ウィルの声が聞こえたかと思うと受話器がショートし焦げ付いて使い物にならなくなる(これも80年の名作「スキャナーズ」へのオマージュ?)それからというものポルターガイスト的超常現象が頻繁に起こる。ジョイスはウィルがコミニケーションを取りたがってるんだと思い家の中所狭しとクリスマスのイルミネーションを貼りまくる。もう、はたから見たら子供がいなくなって発狂してしまった母親にしか見えない。(ここらへんの展開は「未知との遭遇」を彷彿とさせる)

少年たちの兄姉世代のハイティーンドラマも80年代アメリカンテイスト満載!

それとウィルの兄ジョナサンの展開も見逃せない。ホーキンスの高校に通うジョナサンは写真が趣味の地味な二枚目。ウィルの友人マイクの姉で同級生のナンシーが他の男(スティーブ)が気になっているにもかかわらず、意味深なそぶりを見せることから気になってしょうがない。そんな折、ナンシーの親友、バーバラが失踪する現場に謎の生物が介在していたことをジョナサンは写真に収めてしまう。このハイティーン世代の描写が80年代アメリカンテイスト爆発なのである。書いている私がまさしくその世代!作者のダファー兄弟も同じ世代かと思いきや、なんと!この物語の舞台となる1984年生まれなのである。だからこそリアルな80年代というよりも映画の中で描かれているイメージなのかもしれない(あ、もちろん私にとっても千葉の田舎町で憧れていた80年代アメリカの姿なのです。)

この3世代がそれぞれの立場でホーキンスという田舎町に起こったミステリアスな事件に巻き込まれていく。

軍が秘密裏に研究している超能力集団。現実と背中合わせに存在する暗黒のパラレルワールド。そこから現実の世界に現れてくる人を襲う怪物。設定だけ聞くと80年代SF定番ネタを並べただけでは?と、思われるかもしれないが、実に巧妙にそれらが組み合わされている。突飛な設定にもかかわらず、出てくるキャラクターに説得力があり、行動がストーリーでは無く感情で動かされていると納得させてしまう演出力。どんなキャリアのスタッフが関わっているのか気になったところだが、この原作であり、製作総指揮のダファー兄弟、大学を出てすぐ「Hidden」という映画を製作し、それがM.ナイトシャマランの目に止まり「ウェイワード・パインズ」の脚本を担当した、という注目されるキャリアを積んできたわけでは無い30代前半の双子の兄弟である。(M.ナイトシャマラン総指揮による「ウェイワード・パインズ 出口のない街」も必見のドラマなのだがだ2シーズンで打ち切りという噂が。これも別の機会に書きたいと思っている)

新進気鋭とも言える二人だが、それは「ストレンジャーシングス」が評価されたからこそ言われること。

当時、まるで注目されていない二人は、この企画が実現するまでに15〜20社に見せて突き返されたらしい。「もっと子供向けに特化した方がいいのでは?」「警察署長ホッパーを主人公に超常現象を解決していくドラマにした方がいいのでは?」とか散々に言われ、それでも最初のプロットを頑なに守って、最終的に一緒に監督することになるショーン・レヴィの紹介でNETFLIXで製作が決まる。シーズン1が全8話で構成できたのもダファー兄弟にとっては幸運だったという。企画の段階で全話の構成もきっちり決まっていたのだろう。二人はインタビューで、2014年に「ウェイワードパインズ」の脚本を担当した時に、全10話にしなければならなかったり、CMのタイミングを考えて脚本を書かなければいけなかったことにストレスを感じたという話をしている。そして人気TVシリーズにありがちな大きな謎を解決しないまま次シーズンに持ち越すということも、ストレンジャーシングスにおいては無いので安心してほしい。シーズン1も次シーズンに引っ張るシーンは見せるが、綺麗にまとめて終わってくれる。シーズン2に至っては潔いくらいに素晴らしいラストシーンが待ってる。

ストレンジャーシングスはシーズン4で完結することを作者は明言している。(この二人のことだから有言実行だろう。)残念な気もするが、作品にとってはそれがいいのは確かだ。自分がシーズン1よりも大好きなシーズン2についてはまた次回で語ることにしよう。

NETFLIX ストレンジャー・シングス
https://www.netflix.com/jp/title/80057281

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

励みになります!
2

小林基己

Cinematographer小林基己の 雑記ノート

ムービーカメラマン小林基己の新作、旧作にかかわらず、映画やドラマを見て気づいた感想を書き連ねていくマガジン。 基本的には関わりの無い作品の感想ですが、撮影作品の舞台裏などを書くことも。不定期更新。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。