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Netflix「ダーククリスタル」という金字塔 「ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス」

Netflixで新たに「ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス」というドラマシリーズが2019年8月からスタート。
「ダーククリスタル」というと1983年に日本でも公開されている全編マペットによる伝説的名作ファンタジー映画です。その映画版の前を描くのがこの「エイジ・オブ・レジスタンス」

その1982年に公開された映画のストーリーはこんな感じです。
私たちがいる世界とは時代も世界も違う、クリスタルを司る惑星トラが舞台となります。そのクリスタルが二つに割れ、2つの種族、スケクシス族とミスティックス族が誕生します。その後1000年に渡りスケクシス族支配の時代が続いていましたが、そのスケクシスの弱まりを見せ始めた頃、予言ではゲルフリン族が世界を救うとされいて、そのゲルフリン唯一の生き残りといわれているジェンがクリスタルの欠片を探し出し、スケクシス族に立ち向かうという冒険譚。

当時、16歳のSF少年だった私は、公開と同時に劇場に駆けつけて目をキラキラさせて魅入っていた想い出があります。

それから36年経って、あの「ダーククリスタル」がNetflixで新たにリメイクされた。しかも公開当時90分ほどの長さだった作品が1時間の物語が10話という大幅にボリュームアップしての配信である。

ここで描かれるのは、映画「ダーククリスタル」の前日譚。
まだ、ゲルフリン達がスケクシス族を何の疑いも無く支配者として崇めていたところから始まります。
そのマペットに命を吹き込む声優人もかなり豪華!「キングスマン」タロン・エガートンが主演を務め、特筆すべきはスケクシスの科学者にマーク・ハミル、侍従長役にサイモン・ペッグと敵役にビッグネームを持ってくるところは良質なファンタジーの鉄則ですね。

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正に期待と不安が入り混じったというのは、この事を言うのでしょう。
当時のメインスタッフで主演の操演や声も演じていたジムヘンソンは既に故人となっています。人形劇という熟練の技が物をいう業界で36年前の作品のスタッフがどれだけ関われるのか?今回はその娘さんがプロデューサーとなって製作しているといえども、自分の中のダークリを壊さないでほしいと思うのが心情。
そして、恐る恐る見た感想はというと、36年間を一気にすっ飛ばしてあの頃に戻してくれる、ジムヘンソンの創造した映画「ダーククリスタル」の世界観そのままでした!

惜しむらくは、フィルムで撮影されていた当時のルックがマペット達や美術セットの質感にマッチしていたのだが、デジタルシネマになってしまって暗部までしっかり見えるようになってしまった。
最初目にした時はそのちょっとした違和感に耐えきれず、コントラストなどTVの画質調整をしてしまったものです。
でも、気持ちは分かるんですよね。ここまで細部までマペットや背景美術を作りこんでいたら暗く潰れて見えなくなる所とかが勿体無く思えてくるところも、、、もしかしたら82年当時は「まいったなぁ〜、ポジだとここまで見えなくなっちゃうの?」とかラッシュ見ながら思ってたかもしれないし。
ただ、そこは見えていない所も表現だと切り捨てていく思いきりの良さが、想像力を掻き立てる仕上がりに繋がったのかも知れないと思うんですよね。Netflixの映像指定は暗ければ暗いほど良いという、地上波TVとは真反対をいく硬派ぶりなので、制作サイドの判断でこうなっているのだと思いますが、その細部まで見えてしまっても全く世界観が崩れない作り込みには脱帽です!

あと、もう一つ大きく変わった所はカメラワークの派手さでしょう。とにかくカメラが動く動く!マペットでこんなアクションシーンが見れるとは思ってもいませんでした。
ダーククリスタルでこんなカーアクションさながらのアクロバティックなカメラワークが見れるとは思ってもいませんでした。

そこは自分的には評価しているところです。この36年間で撮影技術もCG技術も著しく進化しています。(まあ、進化とは言い難い部分もあるにはあるのですが)そういう事もあって、じつは一番心配していたのがキャラクター自身もCGに置き換わっていたらどうしよう、、、というものでした。
しかし、そういった事はなく、マペットでかなり難しい演技表現をしています。マペットもロボット技術などでかなり表情豊かになってきているとは思うのですが、それでもCGの自由度には及びません。それにも関わらず、制作に時間の掛かるマペットを選び、かなり複雑な心理描写を演じ分けるのです。

『そこに在る』という事実が実写には有ります。

その説得力がファンタジーにリアリティを持たせるのに一役買っていると思いたいです。勿論、広いロングカットなどはCGに依るものだと思いますが、それとの違和感も感じません。
カメラワークに準じて、カット割も細かすぎるんじゃないか?と、リアルタイムで第1作を見ていたオジサンは思ってしまうのですが、今、ダーククリスタルを作るからには、ただの懐古主義で終わらせず、マペットによるハリウッドスタイルを築き上げようというスタッフの意気込みを感じさせる仕上がりです。

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1、2話はまだ映画版と比べてしまうような見方をしてしまいますが。3話くらいからは完全にエイジ・オブ・レジスタンスの世界観に嵌ってしまいました。描写に時間をかけられる分、ディテールの描写がきめ細かやかなのです。
そして、7話では衝撃的な展開が!(おっと、ここは見てからのお楽しみということで)
そして、このシーズン1で先ずは一回ストーリーは落ち着きをみせますが、まだまだ映画の時間軸に辿り着くまでには描写しないといけないクライマックスが待ち受けています。

今からシーズン2が楽しみです。
シーズン1を作るのに2年かかったということですが、土壌が出来上がってるところからスタートなので、もうちょっと早目に朗報が聞きたいですね。

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