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【ミスチル自分史】(9) thanksgiving25

トップ画像は、sakurasaku0さんからお借りしました。ありがとうございます!


素晴らしいライブの記憶に、不思議とこびりついている思い出もある。

2017年という年は、会社内での異動で新しい部署になり、心も身体も完全に衰弱し切っていた頃だった。仕事が辛い、もう辞めたい、今思えば、そんなメンタルギリギリな時期だったと思う。実際、上司に退職希望を伝えていたし、慰留されながらダラダラとは働く、そんな時期がしばらく続いていた。

そのときに参加したのが、thanksgiving25の東京ドーム公演だった。よく覚えている平日の水曜日だ。時間も余裕もない中で、きっぱり午後半休を宣言し退勤し、水道橋へと向かった。受け身で弱気になっていた自分も、このときは主体的に動いていた。

ベストアルバム的な素晴らしいセットリストの流れ。数あるライブの中でも、thanksgiving25のセトリが一番好きだ。短いオープニング映像の中には、25年間がギュッと詰まっている。静かに力強く始まる「center of universe」。その流れで「シーソーゲーム」のイントロにつながるところ。そして、「1999年、夏、沖縄」の歌詞を改めて噛み締めたこと。

このツアーは、ありがたいことに、8月の日産スタジアムのチケットも取れて、2回も参加することができた。仕事が辛い時期はずっと長く続いていたけれど、それでもミスチルの音楽と生演奏に触れていたことは、心の支えになっていた。なんとか命を繋いできた。

辛い記憶や経験が、ライブに参加している自分と結びついている。ライブのことを思い出すと、その記憶が蘇る。それが辛いときもある。それでも、数年という年月を経て、なんとなく熟成されて、客観的に自分を観照して、わずかながらもスパイスとして味わいを深めてくれているような気もする。そう信じたい。

 選んだ路とはいえ ときに険しくもあり
 些細なことで 僕らは泣き笑う
 (「1999年、夏、沖縄」)