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四畳半フューチャー

企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても
マイナンバーカードの受け取りを平日の真っ昼間から本人確認書類を持って役所に行かなくてもすむ程
情報化されていない近未来

2022年
 今、四畳半に敷いた布団の中で、高速道路を流れる車の音を聴きながら眠りにつこうとしている。エアコンの無いこの部屋は、少し寒いが布団の中は暖かい。なぜならシーツの下に張り巡らされた電熱線が80Wで熱を放出し布団を暖めてくれているからだ。そう、初めて電気毛布というものを使っている。このハイテクな機械を一度味わえば、自分の体温で布団を暖めるなんていうプリミティブな睡眠には戻れない。だってそうだろう?そんなのチンパンジーが木の枝を集めて作ったベッドと本質的にはそう変わりないじゃないか。
 電気毛布だけじゃない。この家は食器を自動で洗ってくれて、お風呂も自動で沸かしてくれ、安定した5G通信が家中を飛び回っている。なんてハイテクな生活なんだ──
 
 最近引っ越しをしました。歩けばあらゆるところがギシギシと音をたて、風が吹けばカタカタとどこからか聞こえてくる家ですが、前述したハイテク家電のおかげで不便なく暮らしています。まさか2022年にこんな「男おいどん」みたいな部屋に住むことになろうとは思っても見ませんでしたが。

 この家に引っ越して、生まれて初めて全て自分の自由にできる自分だけの部屋というものをもらいました。とりあえず最低限の荷物だけで越してきたので、おいおい荷物もまとめて持ってきたら、机や棚やら色んなものを自分の好みで集めて「部屋」を作っていきたいなぁなんて考えてたんですが…片付けるのがホントに面倒臭い。
 引っ越しという営み自体は面白いと思います。引っ越しの作業とは何を未来に残すかではなく何を過去に置いていくか。というのは誰の言葉だったか。新しい環境なのだから既存のものがそのまま使えるとも限らない。知識や思想や思い出が地層のようになった古い部屋から、あれもコレも持っていけるわけもなく。必要なものは新たに買い足しながら取捨選択をして荷物をまとめていくというのを否応なしに強制される…
 

 ただ、元々捨てることが苦手なことも相まって荷物の整理がホントに何にも進まない。これはもう、こんまりかタイラーダーデンに来てもらって片付けてもらうしかないか。

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