見出し画像

『ヴァルキリーエリュシオン』レビュー・評価・感想 「ごく一部に光るものはあるが、ヴァルキリーの名を冠する必要性はまったく感じられず」

結論

 ヴァルキリーのモーションだけ作り込んで力尽きた駄作です。個人的にはおすすめはしません。

長所

(1)アクション部分に一部光るものあり

 本作のアクション部分を作った人たちはかなり実力があるように思えます。特にヴァルキリーの各種モーションはかなり作り込まれていて、見ていて純粋にかっこいいです。

 アクションゲームとしてはコンボをなるべく繋げる、弱点属性をつくといった最近のトレンドを狙いつつ、ソウルチェインで次々と戦場を飛び回りつつ、エインフェリアたちと共闘して、敵をばっさばっさとなぎたおす爽快感はグッドでした。

 ボス戦はヴァルキリー自体のアップグレードとボスの弱点属性になっている武器の強化さえしっかりすれば、難易度ノーマルはかなりぬるい方です。というか強化さえすればほぼ、ソウルチェインからのコンボで戦闘は勝ててしまいます。ボスや硬い敵にはエインフェリア召喚⇒ディバインアーツの流れで攻撃することになり、はっきり言ってワンパターンですので、プレイ感覚としては、無双系に近いかもしれません。あと、ディバインアーツの詠唱中は無敵になっているのはストレスが溜まりにくくて、よい調整だとは思いました。

(2)ヴァルキリーのパン〇が見える

 一応、カメラ操作していくとヴァルキリーのパン〇を拝むことができます。なんでそんなしょうもないもんを長所として挙げたの?と言われますと、どう考えても開発側が見れるようにこだわって作ってあるからと感じたので・・・。ヴァルキリーのスリットの構造とか見ると完全に狙ってやってますよ、これ・・・。

短所

(1)ゴミとしか言いようがないカメラワーク

 本作のカメラワークが文句なしのゴミです。どれくらいゴミかというと、ただの螺旋階段を上るのにすら苦労するほどです。螺旋階段を上るのが難しいゲームなんて本作が生まれて初めての体験でした。

 さらに壁際のカメラワークも酷いくせに、狭いところでの戦闘が頻発するのも大問題。アシスト設定も用意されていますが、なんにもアシストになっていないので、快適とはほど遠い作りでした。

(2)イライラ要素が多いバトル

 本作の雑魚敵は序盤からガードやバックステップを常備していますので、まるで甲羅に閉じこもったまま飛び跳ねる亀と戦っているような感覚すら覚えます。「無双系みたいな棒立ちの敵だと歯ごたえないよねー」と考えてこのような調整をしたと思われますが、はっきり言って爽快感が薄まるばかりでイライラ要素としか思えません。確かに雑魚敵にも強敵は必要です。しかし、「緩急を付ける」という言葉がありまして、バックステップ&ガード完備の雑魚なんて要所に出せばいいんですよ・・・。

 人型のボスも、ガード硬い、ステップ回避しまくる、ワープしまくる、サイズが小さいのでモーションが見づらい(わちゃわちゃやっていたら、いつの間にか攻撃を食らってこちらが死んでいたなんてことも)とイライラ要素の塊で、全く面白くありませんでした。まあラスボスは獣型なんですが、こいつもワープしまくってその都度ロックオンしなおすという不毛な作業をさせられます。

 ヴァルキリーは意外にアクションの硬直が長く、攻撃モーションをキャンセルできないので、コンボ中に後ろから敵が殴りかかってきても回避することは不可能です。視覚で状況を判断したところでもう遅いので、攻撃を食らったら運が悪かったと割り切るしかないという仕様が悲しくてたまらない。

 あと、無駄な当たり判定をやたらつけているせいか、敵に壁際で挟まれて動けなくなることも多いのが気になりました。本当にテストプレイしたのでしょうか。

(3)つまらない探索

 探索するダンジョンはほぼ一本道で脇道にそれて宝箱を回収するだけというなんの面白みもない作り。しかも、一方通行はあるくせに、アイテムなどを取り逃すと、過去のチャプターを通しでやり直す必要があります(チャプター途中でヴァルハラに戻るとチャプター攻略中に得たものはすべてなくなるゴミ仕様)。

 さらにミニマップもないので、アイテムを探している最中はこまめに大きいマップを開いて位置を確認するという現代のゲームらしからぬ古臭い作りには呆れました。

 ちなみに本作は全9章のストーリーですが、実は探索するマップは5個だけで、大体2回連続で同じマップに行かされます。前回と違うところを探索してるからいいでしょ?ってそういう問題ではないんですよね・・・。

 最終章に至っては、集団の敵を連続して出すだけという明らかに作り手のセンスを感じられない構造にも呆れました。

(4)盛り上がりに欠けるストーリー

 ストーリーはほとんど盛り上がりません。ヴァルキリーやエインフェリアのセリフも少なく、キャラにまったく魅力がないとは言いませんが、あまりに掘り下げ不足の為、人物像を好きになるような要素はありません。10年後には全員の名前を忘れていることは確実です。

 また、イベントシーンのキャラの口の動きとセリフに違和感があったり、仕草もまったくこだわっていない為、本作のストーリーやキャラに熱くなれる人はいないでしょう。流石にエンディング直前のイベントやエンディング自体のイベントシーンは力が入っていましたが、結末は過程が疎かだと映えないものなんですよね。そもそも出来の悪いアクションゲームをやってまで体験する価値があるストーリーではないことは間違いないです。

 一番重要な主人公であるヴァルキリーも本編中はほとんど自我の無いようなお人形キャラなのも魅力を感じない要因にはなっています。ヴァルキリーはゲーム中盤にはエインフェリアから人間らしくなったなんて言われますが、人間らしくなる過程の描写が薄すぎるので、プレイヤーは完全に置いてけぼりです。恐らくほとんどの人はエンディング直前にようやくヴァルキリーが人間らしくなったと実感するレベルです。

(5)ただ面倒にしているだけの弱点をつくシステム

 最近どんなゲームでも弱点をつくことが大切であるという作りが多いですが、本作は炎や氷といった属性以外にも、なんと武器ごとに弱点属性が設定されています。武器は2スロット、属性魔法にあたるディバインアーツは4スロットしかないので、弱点を突きたい場合は頻繁に装備画面で入れ替えるしかありません。雑魚は必ず集団戦で、属性もバラバラで出てくるのは当たり前。一応、武器くらいは弱点を無視して使い続けることは可能ですが、一部の敵やボスはかなり硬いので、結局、武器は入れ替えた方がいいというバランスになっており、ただ面倒なだけの作りになっているのが残念でした。

(6)なんのストーリー性もない単調なサブクエスト

 サブクエストは全部内容が一緒です。敵を倒して進むだけ。しかも、ストーリー性も皆無。報酬自体は豪華ですが、はっきり言ってただの水増しです。

(7)タイマンのボス戦はだるいだけ

 エインフェリアとのタイマンは当然ながらエインフェリアが召喚できないので、ヴァルキリー単騎で戦うことになります。これが非常にだるい。はっきり言ってラスボスや裏ボスよりもエインフェリアの方が厄介と言えます。エインフェリアを召喚して派手に立ち回ることが魅力のゲームなのに、それを不可にしてしまっては面白くなるわけがありません。

★まとめ

 結論、普通に遊べますが、文句なしの駄作です(いや、ほとんど文句しかないのですが)。多くのヴァルキリーファンが失望したのは容易に想像できます。たまにこういう外面だけ綺麗で、実際はこだわりもゲーム愛もないゲームを出してくるのは本当にスクエニらしいです。恐らく、ヴァルキリーのモーションなどのアクション部分を作った人達以外は、ほとんどやる気がなく、早く帰ってビールでも飲みてー!とか考えながらゲームを作ってそうな光景をどうもイメージしてしまいます。ある意味、やる気がないことを隠そうともしない最高に潔い作品なのかもしれません。

 さて、本作をプレイすべきか?はっきり言って50%セールでもおすすめしません。まあクソゲーハンターとか呼ばれるような特異な人種が、ワゴンセールで確保するのはアリかな程度のおすすめ度です。実際はクソゲーというほど破綻したゲームではないのですが、むしろ真正のクソゲーだったほうが腹を抱えて笑えるので、そちらの方が良かったのかもしれませんね。ヴァルキリーの作り込まれたモーションを見るためだけにお金を出せる人は是非ゲットしてください。以上、よろしくおねがいします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?