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ノーコードへの正しい期待と誤った理解 | ノーコード利用動向アンケート結果から

プログラミングなしでアプリやシステムやサイトを作ることができる技術「ノーコード」の利用動向を把握したくて以下のようなツイートをしてアンケートを募りました。

10日間程度回答を募りましたが11件しか集まりませんでした。件数が少ないためアンケート結果の統計的な有効性は疑わしいですが、ご協力いただいた方も多数いましたので、簡単に回答をまとめて発表させていただきます。アンケートの結果はこのnoteの下部に記載いたしました。

それとは別にアンケートの回答をみながら、ノーコードに関する個人的な意見をまとめてみました。

■ ノーコードへの期待

「ノーコード」が期待される分野は以下の6分野です。

1. テストマーケティングの高頻度化
2. アプリケーションの開発プロセス(CIDI)
3. チャットツールと連携して情報集約
4. ゲーム・LP制作など特定の制作業務に特化した業務効率改善
5. ナーチャリングの自動化
6. ヘルプ業務の品質や効率の改善

■ ノーコードへの誤った期待

ノーコードでは、エンジニアでなくても開発できるというのは、期待すべきことではありません。

ノーコードでも、要求や課題を分析して作りたいものを設計し、ノーコードというツールを学習して、システムやサイトを作り、品質を検証することは必要です。結局はその業務を担当するのはノーコード・エンジニアというエンジニアになります。

■ 利用者側はどうノーコードへ接するべきか?

プログラミングしてシステムを作るか?ノーコードを使いシステムを作るか?を、第一の選択肢にしてはいけません。最初に問うべき質問は以下のとおりです。

あなたのビジネス上の要求はなんなのか?

顧客は誰なのか?顧客の課題は何なのか?顧客は何を求めているのか?

顧客の課題をどのように解決するのか?

どこから顧客を獲得してくるのか?いくらで獲得できるのか?獲得したユーザはいくら払ってくれるのか?

この質問の回答が明確になれば、SaaS(他社のインターネットサービス)を利用して速やかにあなたのサービスを提供するのか、ノーコードを使いプロトタイプを作りテストマーケティングすべきなのか、きちんと設計してシステムをゼロから作るべきなのかの答えが見えてきます。

■ 起業家はどのようにノーコードのブームにのるべきか?

「ノーコード」はバズワード分野で資金がでやすい分野です。起業家であれば決して無視すべきではありません。

しかしならがノーコードで「システム開発が民主化されてプログラマーが不要になる」といった妄想は捨ててください。

プログラミングしてシステムを作るよりも、ノーコードが価値を発揮しやすい分野を選ぶべきです。ぜひ前記の「ノーコードが期待される分野は以下の6分野」を参考にしてください。

■ アンケート回答結果

-- あなたの職業に最も近いものを1つ選んでください

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-- あなたが現在勤務している企業の従業員数を選んでください


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11 件の回答

■ 「アプリ制作」業務でのノーコードの導入状況

-- どのツールを知っていますか?使っていますか?

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-- 利用しているツールや興味があるツールのどこを評価していますか?

・Yappliはスマホアプリのネイティブ開発とどう違うのかを調査したいと考えています
・個人がアプリ開発をするとなるとハードルが高いので、ノーコードでアプリをつくりテストマーケを行うことが出来る所
・拡張性、柔軟性、表示速度

-- 利用を止めたツールや興味がないツールは何が原因でしたか?

・アプリ制作業務がありません
・会社の規模が大きくないので、使う機会に恵まれない
・必要性を感じない
・プロジェクト管理ツールとして使用できたらと思ったのですがセレクトしたものが向いておらず

■ 「ウェブサイトの制作」業務でのノーコードの導入状況

- どのツールを知っていますか?使っていますか?

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-- 利用しているツールや興味があるツールのどこを評価していますか?

・ときどきDiviを使用しています。スピード感を評価しています。一方でデザイン性に限界を感じます。
・サイト公開まで、修正対応が早い事
・出来るだけ見たままに、パワポのように作業できること

-- 利用を止めたツールや興味がないツールは何が原因でしたか?

・業務を内製化するにあたりいまいま学習コストをかけられないので、二の足を踏んでいます。
・ペライチはできたばっかりの時にイベントの企画で利用した(無料枠でページが1つしかなかったので色々試すことができなかった)
・何枚もレイヤーを重ねるなど感覚的な作業ができない操作性の問題。あとは、維持コストが必要以上に高額だった。

■ 「自動化ツール」業務でのノーコードの導入状況

-- どのツールを知っていますか?使っていますか?

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-- 利用しているツールや興味があるツールのどこを評価していますか?

・コミュニケーションツールとの連携
・Slackの通知連携に役立ってます
・DiscordBotや自動ツイート等できることが幅広くできるため重宝できるところ
・ツールについて調べた際に、使いやすそうと思ったもの、実際にやりたいことが出来るかを中心に

-- 利用を止めたツールや興味がないツールは何が原因でしたか?

・勉強不足で全然知りませんでした。想像ですが、知った際には「(具体的に)何に使うんだろう」ということは詳しい人から教えてもらわないといけないかもしれないと思いました。
・実際やってみると、手順が複雑だった
・やりたいことが出来なかった

■ 「データを利用したアプリ制作」業務でのノーコードの導入状況

-- どのツールを知っていますか?使っていますか?

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-- 利用しているツールや興味があるツールのどこを評価していますか?

・簡単に使えそう、アプリなどのインストールが必要ないこと
・やりたいことを実現できるか

-- 利用を止めたツールや興味がないツールは何が原因でしたか?

・常にデータを取り扱う業務がないので、スプレッドシートで出来てしまいます
・やってみるとあまり使わないことがわかった

■ ノーコード全般に対する評価

-- 「ノーコードなら非エンジニアでも開発が可能」という意見についてどうお考えですか?

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-- 「ノーコードならサービス開発のコスト・期間の削減」という意見についてどうお考えですか?

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-- 「ノーコードなら他サービスとの連携への対応がしやすい」という意見についてどうお考えですか?

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-- ノーコードの導入についてどうお考えですか?

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■ 導入に興味がある方への質問

-- 導入に興味があると答えた方への質問ですどの分野への導入をお考えですか?

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9 件の回答

-- 導入にあたって期待していることをお聞かせください

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-- その理由を詳しくお聞かせください

・簡易作成し、取引先とのイントラに使用したり、LPのテンプレ化への参考にしたい
・アプリ開発に工数が取られることが多く業務が捗らないと感じているため
・最初からプロに頼んで制作するのではなく、一度テストマーケ的にやった上でどう進めるのかを話し合いたいのでノーコードで誰でも作れるツールが出来るのは歓迎する。
・WEB事業を低コストで始めるため

■ 導入に興味が無い方への質問

-- 興味がない方はその理由をお聞かせください

2 件の回答

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-- その理由を詳しくお聞かせください

・業務オペレーションの設計ができる人が使わないと、作ったら作りっぱなしになることが多く運用することができない。
・担当者のスイッチコストへの影響が大きく、作った人がいないので何で使ってるかわからないという人が続出する。業務引き継ぎ時の非常に多くはWHYは引き継がれていないため。
・担当者や業務チームの作業では使用できるが、スケールするのに難易度が高そうというイメージです(完全に想像です)

・システムに業務を合わせるのではなく業務にシステムを合わせるという考え方が多数派の現状では、ノーコードだと結局要件を満たせず、ローコードだとかえってコーディングが複雑化する事態に陥ると感じるため。

■ お時間をいただきご協力ありがとうございました!

-- ノーコードについて何かご意見があればご記入ください。

・選択肢が多く、導入・活用に関して比較検討/学習コストがかかるので二の足を踏んでしまいます。弊社はデザイン制作会社としてWebサイト制作を内製化したい(現在は協力会社に外注するスタイル)ので、ノーコードに期待を寄せています。興味はあります。

・何を使うかではなくて、どう使うかということが広まれば良いなと思います。競合はSaaSだと考えています。

・趣味の範囲でプログラミングしている身なので、仕事として使うことはありませんがノーコード開発はよく耳にするので興味があります。自動化やWebサイト制作が素早くできるのは何より楽できていいので。

■ 最後に

この note の著者はスパイシーソフト株式会社で「レンタルCTO」というサービスを提供しています。CTOとは最高技術経営責任者のことですが詳しく知りたい方はコチラの記事を見てください。

「レンタルCTO」は、あなたの会社専門のCTOとして経営者に寄り添い、IT技術を事業に活かす上での課題やストレスを感じている技術に詳しくない経営者が、技術に振り回されることなく技術を活かして事業を成長させるためのサービスです。

そして本文にも記載しましたが、『プロダクトを作る』ということは、デザインを書くとか、プログラミングをするとか、システムを開発するとかそういうことではありません。プロダクトの本質はお客さまの課題を解決することで、「プロダクトを作る」とは、課題を理解して解決する手段を設計して提供することです。ぜひ👇こちらの記事を参考にしてください。




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