見出し画像

スマホ向けHTML5ゲームプラットフォーム事業「Liberapp」の事業立ち上げを断念します

こんにちは、HTML5×スマホでゲームの可能性を広げる『株式会社Liberapp』の山田です。1999年に一度目のスパイシーソフト株式会社を起業をしているシリアルアントレプレナーです。これまでは、累計2,700万DLのチャリ走や1,500万DLの糸通しなどカジュアルゲームの生みだしています。

■ スマホ向けHTML5ゲームプラットフォーム事業は断念します

まずいきなり結論です。2018年の頭にスマホ向けHTML5ゲームのプラットフォーム事業「Liberapp(りべらぷ)」を立ち上げ、何回かピボットしながら続けてきましたが、2020年10月をもって事業の立ち上げを断念しました。

撤退する理由はHTML5ゲームおよびHTML5ゲームのプラットフォームが成立する可能性は低いと判断したからです。そして自分の労力をもっと可能性がある市場に注ぎたいからです。

今回のこの note では、この三年間注力してきた「スマホ x HTML5 x ゲーム」について自分なりの考察をまとめました。そしてもっと良いアイディアとエグゼキューションでこの分野を開拓する後発者が成功することを祈っております。

ちなみに今回の note では、起業や経営やみんな大好き"Hard Things"は扱っておりません(笑)

Twitterをやっておりますので、このnoteに関連したことなどつぶやくかもしれません。ぜひTwitterをフォローしてください👉 Twitterアカウント

■ 今後

もちろん次の事業を立ち上げます。何にも決めていませんが、エンターテインメントの分野で当たり外れのある事業やホームランを狙うスーパースタートアップな分野ではなく、コツコツと積み上げて20億円強を目標に事業をやるつもりです。

当面は充電期間で、いろいろリサーチやテストマーケをします。また次の事業を立ち上げるまでの間に限り、「プロダクトマネージメント」や「業務改善」や「リモートワークでの組織作り」の分野でいくつかお手伝いする予定です。

■ 私の経歴

1999年末にスパイシーソフト株式会社を創業しました。2001年のガラケー時代に、勝手アプリ配信プラットフォーム事業「アプリゲット」をスタートしました。パソコンソフトのストア事業を手がけるソフトバンクグループの上場企業「ベクター」さんとジョイベンを作り協業しながら、J-フォンやYahooやBIGLOBEやgooさんなどとアライアンス組みながら、勝手サイトでのアプリポータル事業を日本一にしました。

アプリゲットの投稿クリエイターは5000人に到達し、チャリ走(累計2700万DL)・糸通しに代表される人気携帯ゲームを輩出しました。

2007年からは、人気勝手アプリの続編を携帯電話会社の公式サイトで展開するファンミアムモデルを開始して、月額300円のサブスクリプション契約数は約30万人弱まで成長させました。

2011年にはスマホに移植したチャリ走が北米でランキング1位になりMCFのモバイルアワード受賞。また、2012年末にニンテンドー3DS向けに発売したチャリ走DXは、2013年の任天堂eShop年間売上げランキング1位を獲得して、MCFのモバイルアワードを再受賞しています。

並行して2008年にはモバイル漫画のUGC「マンガ★ゲット」を開始。2013年にセプテーニ社に事業売却しました。

2011年からはモバゲーやGREE向けのソーシャルゲーム事業も開始。2013年に従業員数60人まで規模拡大後、同部門をフィールズ社に事業売却ました。

アプリゲットは2011年にスマホゲームのレビュー&情報メディアに業態変更。2018年に会社分割し株式会社アプリゲットとしてスピンアウトさせ役員にすべてを任せました。

そして私は2018年にLiberappを創業して約3年間試行錯誤してきました。

■ まずHTML5とは?

HTML5は「エイチティーエムエル・ファイブ」と読みます。HTML5は中国が最先端で中国語ではH5と書きエイチユーと読みます。ここから「エイチファイブ」とか「エイチゴ」と読む人もいます。

技術的にはHTML5はHTMLの5回目の大幅な改定版です。WWWコンソーシアムが2008年にドラフトを発表し2014年に 正式勧告したものです。

JavaFXやAdobe FlashやMicrosoft Silverlight等のプロプライエタリな技術を使ったリッチインターネットアプリケーションオープンな技術に置き換えることを狙っています。そして、人間とコンピュータの両方に可読であることを目指しています。

スマホの世界ではビジネス的にはHTML5はAppStore / GooglePlayから配信するネイティブアプリからSafari/Chrome上で動くウェブアプリへの再シフトへの期待が込められた言葉です。

■ なぜHTML5に着目したのか?

インターネットの歴史を紐解くと、過去にもネイティブからウエブへのシフトが起きており、スマホでもシフトが起きるもしくは起こせるのではないかと考えていました。

- ウェブシフト第一期

1つめのシフトは、1995年以後のパソコン市場です。5年~10年かかりながらWindowsアプリケーションからWebサービスへシフトしました。

- ウェブシフト第二期

2つめのシフトは2007年以後のガラケー市場です。ガラケーにダウンロードして実行するJavaアプリケーションの「iアプリ」から、モバゲーを代表とするブラウザー上のFlashで動作するブラウザゲームへのシフトがありました。

このシフトはモバイルFlashの普及と通信速度の高速化とパケット定額制がキーポイントでした。

- 幻のウェブシフト第三期

実は2010年ごろにもスマホでのウェブシフトを模索する動きはありました。

Facebook社などもHTML5にフォーカスしていました。しかしながらこちらの2012年9月14日の記事『 Facebook CEO ザッカーバーグ氏「HTML5に賭けたのは失敗」発言 』の通り、シフトはうまくいきませんでした。

- 失われたオープンな環境を求め第四期に賭ける

そこで僕の経歴にふりかえります。

起業した直後の2001年に世界初のアプリケーションをダウンロード&実行できるiアプリ対応の携帯電話が発売されました。しかしながらiモードのポータル「iメニュー」には、ごく一部の大手企業しか参入できませんでした。

自分たちベンチャーや中小企業やインディーこそモバイルでビジネスをしたいのに、ポータルと決済手段を持つ iメニューには簡単には参入できないという市場環境でした。そこでモバイルに誰もがアプリを配信可能な場所をつくろうと思い、アプリの投稿&共有サービス「アプリゲット」を2001年にはじめました。 

しかしガラケーからスマホ時代になると、Apple社やGoogle社によってマーケットは独占され、自分たちの事業を脅かす技術やサービスをレギュレーションと不透明な審査により排除し、一見オープンに見えるスマホ市場は、自由が失われた市場になりました。

それでもスマホの初期は公式ストアの顧客送客力は強かったから良かったものの、徐々にその力は衰え一方規制は厳しくなり、ストアへの不満は高まりつつあります。そしてスマホのスペックやブラウザーの基幹技術はさらに進化してきました。市場環境が変化したためオープンで自由なアプリ配信環境を取り戻すチャンスが来たと考え、HTML5アプリ配信プラットフォーム「Liberapp」を立ち上げました。

■ なぜHTML5への期待がまた盛りあがっていたのか?

2010年代前半のウェブシフト失敗にも関わらず、なぜHTML5への期待がまた盛りあがっていたのか?それは、まずネイティブアプリの配信プラットフォームが機能不全に陥っていたことが一つの理由です。

2010年代前半はAppStoreやGooglePlayへアプリを配信すれば一定量の新規ダウンロードが見こめていました。ところがスマホの普及が天井に近づき、利用ユーザ数の伸びが鈍化しつつあり、さらにゲームのビジネスモデルが運営型に変化していき新規アプリを紹介するレビュー型メディアが衰退していくことで、新しいアプリをAppStore等へ配信しても初動がゼロに近いような状況になっていきました。アプリをユーザーにダウンロードしてもらうには、初動から広告を打っていく必要が出てきました。

プラットフォームの販売力が限りなくゼロに近づいているにも関わらず、相変わらず決済手数料を30%とる上に、一方的な規約や審査でAppleは自社のビジネスと競合するアプリを排除するなどを繰り返し、アプリのパブリッシャーからの怨嗟が高まっていました。

次にこの10年弱の間で技術的な進化があったことがあげられます。スマホのスペックは大きく高機能化し、PWA、ServiceWorker、WebGL、WebAssembly 技術などによりブラウザーでも十分リッチなアプリが高速に動作できるようになりました。また通信回線5Gが登場することが見込まれ高速かつ低遅延な通信環境の実現に近づいてきました。

もう一つは、文化の変化があります。この10年で様々なSNSが新しくデビューし、SNSの利用者が以前とはくらべものにならないほど広がりました。それにも関わらず2000年代後半とは異なりSNSとゲームが統合はされていません。そこにチャンスがあるのではないかと考えていました。

また中国ではHTML5ゲームが、Flashミニゲームのポータルサイトから進化したり、チャットアプリWeChat内のゲームが、『中国HTML5ゲームはなぜ巨大市場になったのか -微信小游戏前夜と微信小游戏後』の記事のように大爆発していたこともありました。

■ Liberappの三年の取り組み

- 第一期:HTML5ゲーム + 仮想通貨 (IPO)

2018年のごく当初は、Facebook インスタントゲームの互換APIとSDKを提供することで、Facebook外でもFacebook インスタントゲームを簡単に配信できるプラットフォームにしようと考えていました。

資金調達やマネタイズの部分は当時熱かったブロックチェーンとICO(暗号通貨上場)にかけていましたw

2018年の頭にコインチェック事件が起き暗号通貨や特にICOに対する社会のネガティブなイメージがどんどんと強くなり、いったん暗号通貨と連動したビジネスプランは断念することにしました。

- 第二期:HTML5シェアプレイ

ということでFacebookインスタントゲーム互換API & SDKを軸にしながら、Liberappでゲームの対戦セッションを作成してそのURLをLINEで友だちに送ればすぐに麻雀などの対戦ゲームが遊べたり、ゲームルームを作成してLINEグループで複数の友達にURLを送れば、みんなで大富豪やすごろくができるようなことを目指しました。

第二期に目指していた「シェアプレイ」というコンセプトは半年弱程度開発を続けました。シェアプレイをマーケットで仮説検証する前に、この時点で当初の予算の1500万円を使い果たし、かつ開発がちゃんと進んでいるとは言えない状態でした。

第二期では、プレスリリースを積極的にうちながら、世の中のヒキを観察するという方針でその名残は PR TIMESに残っています。中途半端に開発+PRをしすぎたのが、コンセプトが定まらず開発がブレまくり遅れた要因の一つでした。

第二期までは、以前のスパイシーソフトの旧知のメンバーと一緒に事業を進めていました。それもあって、僕も含めて全員がスタートアップマインドになり切れておらず、このままではどちらにしろ上手くいかないということでいったん組織を解散いたしました。その時のブログはこちらです。

- 第三期:HTML5ハイパーカジュアルゲーム

その後いったん2018年末ぐらいまで半年くらい充電期間をもうけました。自分自身でいくつかゲームエンジンを触ってHTML5ゲームを作ってみたり、マーケットについて再度調査をして整理してみたりしていました。

既に G123が重課金系のゲームサービスを立ち上げはじめていたこともあり、それを追うよりも半歩先を行ってハイパーカジュアルを狙おうと考えて、2019年頭からHTML5 x ハイパーカジュアル というコンセプトで Liberappをリブートすることにしました。

あわせて HTML5 GameCreator というコミュニティーイベントを立ち上げ、ゲームクリエイターさんを巻き込んでいこうと考えていました。

ところがですが、こういったコミュニティーを通じたり、Twitter等のSNSでいろいろ探して、HTML5 ゲームを作っている人というのは、ほとんど皆無に近いということがわかりました。コミュニティーに参加してくれた方も、興味があるのでこれから展開を考えてみたいという方ばかりで、作っている人や事業として展開している人にはあまり出会えずに、二回主催してネタがなくなり終了しました。

そのため、プラットフォームを作るだけではなく、自分たちでゲームを作らないといけないとわかり、2019年春から2020年頭にかけてプラットフォーム開発と並行して、自社でHTML5ゲームを 50本弱開発して配信しました。PF開発・ゲーム制作・マーケ・経理などすべての仕事をフルリモート体制で業務委託を中心に最大10人で回していました。

50本弱開発していた間は、公式Twitterアカウントで新作ゲームを紹介する程度でしたが、ある程度作りためてから、これまでの数値が良いゲームを20本近く選定して、Facebook / Twitterで動画広告を回してみました。

結論としては、中国のHTML5ゲームのオープン系のプラットフォームで基準としているようなD1継続率をとても出せない状況でした。

画像1

Twitterで紹介すると多少遊んでもらえますが、メールアドレスなどの会員登録はしてもらえない。Twitterで紹介すると遊ぶのはTwitterアプリ内ブラウザーになりますので、遊び終わると閉じてしまい、もう一回残ったタブや履歴などから訪問して遊んでくれることなどありえません。

- 第四期:HTML5 HGC + 懸賞ゲーム

そのような中で、Twitterでアプリの訴求広告を試行錯誤していて一番効果があったのが、遊んでスクショをTwitterに投稿したら PayPay500円が毎日1名にあたるという懸賞系の企画でした。

そこで懸賞の考え方を発展させて、ゲームを1度遊ぶとコインを1日1枚、会員登録するとコインを30枚、毎日コイン10枚をプレゼントして、コインを使って簡単なスロットを回すと、PS4やSwitchからPayPay500円まで様々な景品があたる懸賞機能を追加しました。

そうすると、いままで皆無に近かった会員登録がみるみると伸び始めました。そして一部のユーザのリピート率が凄まじい!!! さきほどの中国のHTML5ゲームの評価基準表でいく Aくらいの数字が叩き出ました。

- 第五期:パブリッシャーへのシフトを検討

しかし懸賞が需要があることはわかりましたが、これではゲームに価値があるわけではなく懸賞に価値がある状態。それならば、もっと懸賞に振り切るなり、もしくはさらにコンセプトを突き詰めて、換金のないカジノのソーシャルギャンブリングや課金はなく換金だけある広告モデルFree2Bet型の懸賞やカジノやスポーツベッティングへシフトするべきで、懸賞+カジュアルゲームという組み合わせに可能性を感じられませんでした。

ということで、HTML5ゲームという事業軸で収益を作っていくために、プラットフォームはいったん断念して、まずパブリッシャーとしての事業へのシフトを検討しました。

-- 既存のHTML5ゲームのポータルへの提供の検討

まず、HTML5ゲームの提供先としては、ドコモのスゴ得コンテンツ、Yahoo!かんたんゲーム、メディーバさんのゲームポータルなどを検討しました。

キャリア系の定額マーケットは、収益分配の上限額が決まっておりパブリッシャー間での取り合いになっています。基本的にキャリアさんとの取引実績があるパブリッシャーに優先権があるので新規参入は難しい。またユーザ獲得方法がポータルからの自然流入と、キャリア系広告代理店から買い付けた広告枠からのユーザ獲得に限られるため、スタートアップが取り組む市場としては難しいと考えました。またYahoo!かんたんゲームさんは新規参入の口がない状態。またまだHTML5のニーズがまったく読めない中なので、時には日単位でPDCAを回しマーケットフィットを目指したかったため、メディーバさんのゲームポータルさんは手作業で書類を作成してアプリをメールで申請を行い審査をいただく配信フローや独自のUI仕様への対応が必要だったこともあり、スタートアップとして余裕がないため見送ることにしました。

-- KaiOSの検討

タッチパネルを持たない「スマートフィーチャーフォン」で、すべてのアプリがHTML5のモバイルOS「KaiOS」というものがあります。

このOSについてはLinkedIn経由でKaliOSの関係者からHTML5ゲームを配信して欲しいとの連絡をいただき知りました。

検討した結果、第三のOSの成功確率が高いとは思えない、またスマートフィーチャーフォンの顧客の質の低さが問題になりそうでした。次に問題だと考えたのは、スマートフォンのように「タッチデバイス」ではないという点。ゲームは、インプットインタフェースが異なるデバイス(OS)を超えるのが難しいコンテンツです。ガラケーからスマホへの移行の際に、インプットインターフェースがキーからタッチへ変更となり、コンテンツがスムーズに移行できませんでした。それと同じように、タッチからキーデバイスへコンテンツを移行するのはハードルが高いです。

結論としてはKaiOSも見送りとしました。

■ LiberappがHTML5を断念する理由

事業として成立させられるアイディアはいくつかありえるとは思いながらも、当初やりたかったこととは大きくずれそうであるため、汎用的なゲームをHTML5で配信するプラットフォームを作るという構想は断念することにしました。

HTML5ゲームのプラットフォームが難しい理由をいくつか列挙します。

- ユーザの集客手段に苦戦

ゲームプラットフォームが、初期にユーザを獲得する手段としては、検索エンジン、SNS、広告の3つがあります。正直ゲーム分野での検索エンジンによる集客は、ゲームタイトルの指名検索やカテゴリ名での検索などに限られるため、現時点では難しいです。

次に、SNSにしろ広告にしろ、スマホでの広告の露出はほぼネイティブアプリ上になりますが、これが問題になります。なぜならば、SNS等からユーザを獲得してもアプリ内ブラウザーが起動し遊び終えたらブラウザーが閉じてしまいます。ガラケーやパソコンのように専用のブラウザーが開きその中でゲームを遊んでもらえれば、タブや履歴にゲームが残るので次の日も遊んでもらえる可能性がありますが、アプリ内ブラウザーでは期待ができません。

G123のVividArmyのように重課金型ゲームであれば、ユーザの再訪問も広告頼みにすることが可能です。しかしながら LTVが低いカジュアル型のゲームでは再訪問まで広告経由にするとLTV <<< CPAとなり採算がとれません。

- HTML5ゲームを作っている人がいない

自分たち以外にゲームを作っている人がいないことも理由に一つでした。すべてのゲームを自作しプラットフォームも作りビジネスを成立させるのは、体力的にも難しいと判断しました。もちろん中国にはHTML5ゲームはたくさんありますが重課金にシフトしつつあり、わざわざ輸入してまでして日本で受けそうな手ごろなカジュアルゲームはあまりありませんでした。

- エコシステム不在

また、ゲーム開発のエコシステムが弱いのが課題です。ネイティブアプリであればUnityというツールや、素材などを自由に変えるアセットストアと、Unityに習熟したたくさんの開発者と、豊富な日本語の情報があります。ところが、HTML5の世界では、中華製ツールがメインで日本語で使えるまともな開発ツールがありません。UnityもTiny Unityという機能でHTML5ゲーム対応を進めてきましたが、一向に開発が進まない上に、既存のネイティブアプリとはソースコードを共有できないこともあり、正直使いものになるレベルではありませんでした。

- マネタイズ方法がない

ネイティブアプリの世界では、ハイパーカジュアルは広告で収益化していますが、そのメインは動画アドネットワークでした。インタースティシャル動画やリワード動画などです。ところがウェブの世界にはバナー広告はありますが、ネイティブゲームの世界の収益手段であるインタースティシャル動画やリワード動画などは存在していません。つまりビジネスを成立させるには、そういったアドネットワーク部分から作らないといけないのです。

- HTML5最大のウリのインストール不要の無意味さ

最後に、HTML5最大の魅力とされるインストール不要については、正直あまりメリットになりませんでした。ユーザはストアから「インストール」するという体験に慣れすぎています。またインストールによりこぼれるコンバージョンよりも、インストールしないことでホーム画面に存在しえないことによる翌日継続率の大幅低下のほうが大きな問題になります。

さらにインストール不要というメリットを追求するためには、画像や動画や音楽などの容量を喰うメディアリソースをできる限り抑える必要があります。ハイパーカジュアルでも綺麗な3Dグラフィックスが多く目の肥えたユーザにはゲームのクオリティーが残念に見えてしまいます。

■ それでもHTML5の可能性はある

ここから先は

2,508字

¥ 7,777

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?