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随筆・・

春はあけぼの
やうやう黄色くなりゆくふち側
少しカビりて
黄色味増したる雲のやうにシミたなびきたる

夏は夜
ひとつきも経つとさらなり
カビもなお ダニの多く飛びちがひたる
ただひとつふたつなど ほのかに飛びまくりて“をかし”くない
雨など降るもまた湿気が“をかし”くない

秋は夕暮れ
黄ばみが増して 枕の端いと黄色くなりたるに
ダニの寝所へ行くとて
三つ四つ 二つ三つ飛び急ぐさえ“あはれなり”
まいてダニなどの連ねたるが いと小さく見ゆるは
いと“をかし”くない
日入り果てて カビの根 ダニの音 など
はた言うべきにあらず

冬はつとめて
ほこりの舞いたるは言うべきにもあらず
カビのいと黄色きも またさらでもいと“つきづきし”くない
昼になりて ぬるくゆるびもていけば
裏側のダニも おもてに出てきて“わろし”

これは
『枕掃除』
という随筆で
“清浄”納言
という歌人が書いたとされています。
ところどころの“くない”という否定言葉がまさに
いとをかし
ですね
ちなみにダニに刺されると
いたしかゆし
ですね

曲『たまには、枕のお掃除しましょう』 清浄名 ゴン


#光る君へ #清少納言 #紫式部 #枕草子
#ショートネタ #小説


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