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ミドリが動く

自分の調子がよろしくなくても、植物たちには関係がない訳で。
こんな中でも土を配合し、植え替え、根をほぐし、水をやり、春の支度は大体済んだ。
そんなこんなで春の観察、いってみましょう。

目次もつけておきますので、気になる名前やピンときたものを気ままにご覧ください。

ちなみにトップ画は実家近くの公園にて。
椿と桜。冬から春へ。


ザミオクルカス・レイブン

黒い葉っぱが美しい

1年前くらいに購入し、すぐに植え替えしたものの、うんともすんとも言わなかったレイブン。枯れることもなく、かと言って新芽を出すわけでもなく不動のままに1年経って、ようやく新芽が展開してくれた。

黒葉が展開する珍しい品種だが、新葉は鮮やかな緑が目に楽しい。展開する凝縮した葉たちが、ほころび緩んでいく様も日毎待ち遠しい。

センナ・メリディオナリス

明るい黄緑が陽に映える

夏型塊根植物。おはようございます。
今年もいっぱい葉っぱを展開して大きくなってほしい。
おそらくマメ科。『ジャックと豆の木』でジャックに怒った母が窓の外に放り投げたマメが一晩で天上まで成長していたが、それくらいマメ科はよく動く。それにしても牛と豆を交換してきた息子を前に、怒った母は何を思ったのだろうか。息子の無能さにか、育て方への自責にか、飢え故の思考しがたさにか。
ひもじさを抱えた母と息子がその晩によく眠れたのかはわからないが、センナは夜になると葉を閉じて眠るのであった。

オペルクリカリア・パキプス

季節外れの丸裸

なかなか起きない寝坊助パキプス。
カメラの限界もあるが、実は良く良く見ると節々や枝先が膨らんでいたり、小さな葉が展開していたりとミクロな動きがある。動き出せば早いのだが、尻上がりなスロースターターである。
こういうことがある度にマクロレンズが欲しくなるの昨今。

ブルセラ・ファガロイデス

もしゃもしゃ!

前回からの成長記録。
うんともすんとも言わなかったブルセラも見事に複数箇所から葉を展開してくれた。きっと枝も伸びていくだろう。
いわゆる摘芯に近く、成長点を潰すことで、成長点を増やすという方法。思いの外うまくいってとても嬉しい。今年は少し甘めな灌水で大きくしていきたいところ。一年でどんな樹形になるだろうか。

我が家のビカクシダ&チランジアウォール

もうパンパン

ビカクウォールというには少ないのだが、もうスペースがない。そしてビカクは4つあるものの、3つはビーチー、しかも群生を分解したものなので実質1つと言えなくもない。
それからチランジアもいくつか。どちらもかなりの水飲みだが、水やりが独特でちょっと面倒くさい…ということで辛めの管理になっているが、そこそこ強健種なので耐えてくれている様子。

ビカクシダ ネザランド

被ってくる隣のビーチー
胞子葉の幅広っぷり

普及種のネザランドだが、個人的に凄く気に入っている。寒さにも乾燥にもかなり強いし、大きくなるのもなかなか早い。
ベランダ3階の吹きさらしのため、下手したら2日と持たずに水苔がカラカラになるレベルなのだが、結果的にかなり肉厚でマッチョな感じになっている。
特にこの胞子葉。奇形かなと思うくらい幅広い。ネザランド系にとっては平均値なのだろうか。後に紹介する別品種とは全く異なるのだが、この幅広さはなかなか見たことがない。個性的な様子が個人的には大好きだ。

チランジア カプトメデューサェ

Tillandsia caput-medusae
ね、小さい「ェ」要るでしょ?

私が植物を育てる上でルールというほど規定されていないが思うところがある。それは小さいものと死にそうなものを買うというものだ。大株の素晴らしさは言うまでもないが、完成された既製品よりも、成長するプロセスも大事にしたいのだ。
死にそうなものについては、私の中の矮小な救世主願望もあるのかもしれないが、基本的に安価であるというお財布事情と、元々死にゆくものなら育成に失敗して枯らしてもダメージが少ないというエゴに彩られている。ただ、自然界にあるものを鉢に植えて育てている時点でエゴもエゴであるし、どうせエゴでも命が一つ救えるなら悪くない偽善なのではないか、そんなことを自分の中で考えたりもする。

このカプトメデューサェは無印良品でカサカサになって死にかかっていた。ダメで元々と思いつつ、空いていたコルクに針金で着生させるとなんとか息を吹き返してくれた。真ん中に見える赤茶色に伸びているのは花弁で、日に日に色付いていて開花が楽しみである。

チランジアはお勧めしたい植物のひとつなので、いつかきちんと書きたいと思う。

アガベ アテナータ ボーチンブルー

絶句

植物を育てる上で必要なものは3つ。水、日光、そして風だと思う。最後の風はあまり意識していなかったが、一定のストレス負荷になることで先のネザランドのように植物に強靭さを与えたり、引き締まった形を作る上で大きな役割を担っている。
そんな風だが、暴風となると話は別で、あらぬものを吹き飛ばしたり、倒したり、落としたりするため、植物へのストレスはもちろんのこと、世話人たる私のストレスも激しく上昇する。
そうしてボロボロになったのが彼である。無惨でしかない。後に犯人を紹介するが、風が吹いて被害を受けるのは常に彼なのである。彼の近くにも他の鉢植えはあるのに、である。かれこれ3度の厄災を受けて、彼はこんなみすぼらしい姿に成り果ててしまった。
アガベらしくないツルッとして青々しいアテナータという品種で、なかでもより青白さが特徴的なボーチンブルーという名を持っている。園芸店の日の当たらないところで小さな苗木の状態でこそっと、しかも破格の値段で売られていて思わず手にして大事にここまで大きくしたのだが…今年、どれだけ復活してくれるだろうか…。

ビカクシダ ビーチー

悪いやつほどなんとやら

よっ、すしざんまい!

みたいな感じで葉を広げるこのビーチー(ヴィーチー、ベイチーとも)が、ボーチンブルーをあの姿に追いやった犯人である。正確に言うと彼を着生させている木製バスケットが犯人で、物干し竿から落下傘攻撃による破壊力は申し分ない。
ただ、私にも非があって、バスケットを物干し竿に引っ掛けている針金部分、ここは私の自作なのである。針金の強度に課題があり、風に吹かれ、揺られるうちに針金が緩まり、振り子の法則でジャンプするとなぜか毎回ボーチンブルーの頭上に直撃する、という構図なのである。デス・フロム・アバブである。
そして何より落ちたコイツ自身はほぼ無傷なのがなんとも腹立たしさを増している。しかし、先ほどのネザランドと比べて細葉であり、葉先の分岐の多様さや、葉の表裏面に乗った毛の濃さ、白さなど、なんだかんだで気に入ってるので憎めない。

そして、私はコイツに引け目がある。
ウォールのところでも書いたが、ビーチーは群生株を分解しているのだが、このバスケットに関しては2つの株が共生している。分解するにも成長点が近すぎて、また当時は小さすぎて、彼らをそのままにしてこのバスケットに詰め込んだ。正直あまり良くない感じもしていたし、互いに成長点を侵食し、先に大きくなった方が小さい方を飲み込み、殺すだろうと思いながら彼らを育ててきた。その引け目からか少し良い加減な育て方をしたり、風に強く吹かれても家に取り込むことなくそのままにしていた。どこかで自然の力に自分の責任を転嫁させて、彼らのうちのどちらかが死んでゆくことを幇助していたのかもしれない。
そのとばっちりをボーチンブルーが一身に浴びているのだから良い迷惑であるが、身から出た錆だなと反省している。

改めて、みんな大事に育ててやろうと確認する、春の観察。



【あとがき】
私も尻上がりになって後半でモリモリ書いてしまいました。こんなはずじゃなかったのに…。
今年も大体みんな起きてくれて嬉しい限り。最低気温が10℃を超えるのが次のフェーズなので、天気予報と睨めっこの日々が始まります。
そしてまた植欲がメキメキと…置く場所ないのよ…そもそも引越しも…置く場所…本当にない…かな…?
誰か私を止めて下さい

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