見出し画像

【レポート #22】愛知県・西尾市長選挙レポート(2021 6.20)


 愛知県西尾市は本来だと距離的に取材可能範囲からは外れているのですが個人的に思い入れのある町(後述)なのと市議選とのW選挙なので取材費もカバーできるだろうという予想から取材に出掛けるコトにしました。 コロナ禍が長引く中、やっとこさワクチン接種が進みつつある中で “ある事件” が起こり最近話題になった市です。 それに加えて公共事業や産廃処理施設など問題が多く挙げられているので、取材し甲斐が有ったのです。 が・・・
 2期目を目指す42歳の現職と市役所勤務一筋で定年間際まで働きながら退職してまで挑んだ新人の一騎打ち。 争点が多い中で決め手となったのは、まさかの・・・ だった選挙戦を、レポートします。 


◆概要

画像1

(西尾市役所)

・面積:161.22㎢(愛知県第8位)愛知県の西三河地方に含まれる市で三河湾の佐久島も含み、碧南市、安城市、岡崎市、蒲郡市、額田郡幸田町と接する

・人口:171,086人(愛知県第9位)※2021年6月1日現在 外国人居住者が多く、2018年12月時点で約1万人の外国人が居住している

・抹茶の産地(西尾茶)の産地として、また「三河の小京都」として知られる

・1991年4月、愛知県議会議員選挙の選挙違反事件で正副議長や議員の大半が逮捕され、当時の定数の半数を超える17名の補欠選挙が行われた(映画「はりぼて」でお馴染みの、2016年富山県富山市議補選は14人)

・2004年4月1日、名鉄三河線碧南~吉良吉田間が廃止される

・2011年4月1日、西尾市が幡豆郡一色町、吉良町、幡豆町を編入し新「西尾市」が誕生する

・衆議院は愛知12区に属し、

画像2

重徳和彦(立憲・3期)氏を選出、

画像3

青山周平(自民・3期)氏が比例で繰り上げ当選


◆立候補者

画像4


菅沼 賢次 (55) 新 市職員
中村 健  (42) 現 2期目を目指す


菅沼 賢次(すがぬま けんじ)候補

画像5

 菅沼候補は南山大学卒業後、西尾市役所に入庁。 30年以上勤務し総務部収納課長などを歴任し今年5月に市長選出馬のため退職しています。 西尾市政の刷新を訴えており「アフターコロナ」の施策として市民全てに1人あたり1万円分の商品券配布を公約の目玉としています。

中村 健(なかむら けん)候補

画像6

 中村候補は大阪大学卒業後、西尾市役所に入庁。 8年務めたあと2013年に市議選に出馬し初当選。1期務めて2017年に市長選に初挑戦し38歳の若さで初当選。 今回2期目を目指します。 「ONE NISHIO」を合言葉に掲げ市政の継続を訴えます。


◆POINT① 一色町の産廃処理施設建設問題

画像7

 こちらは西尾市南部の一色町の生田地区。 堤防を越えたらそこはもう太平洋という場所ですが、こちらにナゴヤドーム6個分という日本最大規模の産業廃棄物処理施設の建設が予定されています。 産廃処理施設は必要なものであり何もかも反対というわけにはいかないでしょうが、

画像8

 近い将来発生する可能性が高いとされている南海トラフ地震では予定地が津波や地盤沈下で液状化を伴う大きな被害を受けると想定されており産業廃棄物が流出する恐れが高いと危惧されています。 また地震が来なくても目の前が海という立地はリスクが高く、予定地近くの一色干潟は全国有数のアサリ生産地であるほか海苔や一色ウナギの養殖などをしていて産廃が出来るとそちらへの影響は免れないと言われています。
 産廃処理施設建設の許可を出すのは愛知県で西尾市には権限が無く、中村現市長は県に対し建設反対の要望書を提出。 また建設反対を訴える市民団体には市長や超党派の市議が顧問に名を連ねており、菅沼候補も含めて建設賛成を訴える人はあまりいないようです。

◆POINT② スギ薬局会長夫妻ワクチン優先接種圧力問題

画像9

 西尾市をクルマで走るとあちらこちらで目にする「スギ薬局」、市内には実に14店舗も有るそうです。 スギ薬局を展開する「スギホールディングス(スギHD)」の本社は大府市にありますが西尾市はスギ薬局の1号店が有った地であり会長夫妻が居住している市というコトで関わりが深いようです。 そんな関係が最近、全国ニュースで話題となりました。

 高齢者施設入所者へのワクチン接種予約が始まる4月にスギHDの秘書が市健康課に対して「会長夫妻を高齢者施設の枠に入れてもらえないか」と依頼。 課としては拒否したものの秘書が「あなたじゃ話にならない、上を出して」と要求し最終的に出てきた近藤副市長が夫妻の予約を入れたものの、このことが中日新聞にスッパ抜かれて慌てて予約を取り消した。 というニュースでした。 騒動が表沙汰になったのを受け中村市長と近藤副市長が会見で謝罪。 近藤副市長は辞職願を提出し中村市長は減給100%を1か月自らに処しました。 当然市民からは「上級国民への忖度だ!」と批判が出ているのですが、一方で「スギ薬局から言われたら、市も無視できんよね・・・」とか「腹は立つけど、今までいろいろやられてきた方だから・・・」という声も聞こえてくるようです。 それは何故かと言いますと・・・

市民が市に同情する理由や最大の争点と言われた公共事業民営化問題、それらが争われた、と思われた選挙戦の思わぬ結果は有料部分で。 もし宜しければ御購読いただきたく存じます・・・

ここから先は

7,192字 / 25画像
この記事のみ ¥ 280

もし宜しければサポートをいただけると大変嬉しいです! いただいたサポートは今後の取材費として使わせていただきます。