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ずっと探してた執事は犬だった

 私は寝起きがいい方だと思う。毎朝爆音でアラームをかけないと起きれない人も世の中にはいるらしいが、まったく真逆である。毎朝アラームはセットするが、大きな音で起こされるのはむしろストレスなので、ごく小さな鳥のさえずりの音で起きている。なにかのメロディーや電子音じゃなく、自然音がいい。鈴虫の鳴き声なんかもお気に入りだ。

 アラームが鳴る前に起きてしまうこともよくある。何時間も前なら二度寝もするが、数十分前くらいなら起きてしまった方がいい。しかし、そうなると毎回ちょっと困った事態が発生する。

 iPhoneのアラームは「今日はもう起きたからアラーム鳴らさなくていいよ」ができないのだ。「毎日朝7時にアラームを鳴らす」という設定なので、一旦オフにしてしまうと明日以降もアラームが鳴らなくなってしまう。「今日だけ」ができない。結局、アラームが鳴る時間になるのを待って、止めている。もう起きてるのに。不毛だ。

 ああ、執事がいたらこんなことには……!

 ずっとそう思っていた。執事(眼鏡で髭の老紳士をイメージ)なら、私が6時50分に起きて顔でも洗っていれば7時になったとて「お嬢様、起きる時間ですよ」とは言わないだろう。そんな融通の効かない執事は即刻解雇である。しかし、私にとってiPhoneのアラームはそんなダメ執事なのだ。

 同じ悩みを持つ人がそんな目覚ましアプリを開発していないか探してみたが、世の中には「起きれない」ことに悩む人の方がずっと多いらしく、「起こさない」選択肢を持つアプリは見つからなかった。ダメ執事は解雇したいが次が見つからない。仕方ないので「この程度の気配りができないなんて、AIもまだまだだな……」とiPhoneを蔑むことで溜飲を提げていた、のだが。

 ひょんなことから私の理想の執事は見つかった。そしてそれは犬だった。

 きっかけは、朝晩と時間を指定された薬を飲まなくてはいけなくなったことだった(別に大きな病気とかではない。念の為)。12時間ごとに1錠を厳守。さすがに自力で覚えておくのは心もとないので、服薬管理アプリを探した。そこで見つけたのが「マックス - ピルリマインダー」である。

 「マックス - ピルリマインダー」(以下「マックス」)は、お薬リマインダー・飲み忘れ防止アプリである。薬は複数種類登録できて、時間や間隔(2日に1回、月に1回とか)も自由に指定可能。指定の時間になったらアプリが動いてお知らせしてくれる優れものだ。

 そのお知らせの仕方がちょっとユニークで、マックスという犬がワンワン吠えて教えてくれるのだ。単なる機械音じゃないのがいい。賢い犬を飼っているようでとても癒される。薬を飲み終わったらアプリ上でボタンをポンと押せば、何時に薬を飲んだかも記録されるのも有難い。

 さらにマックスが賢いのは、早めに薬を飲んでしまった場合にも対応できることだ。たとえば夜8時に薬を飲まなきゃいけないとして、7時50分に早々に薬を飲んでしまった場合、マックスにもう薬を飲んだよと知らせておけば(ボタンを押しておけば)、8時になってもマックスは吠えない。なんて賢い犬!

 マックスをしばらく使っていて、ある日はたと気づいた。これ、朝起きるときのアラームとしても使える!

 朝7時にマックスを設定しておいて、6時半に起きてしまったとしても、その時点でボタンを押しておけば7時になってもマックスは吠えない。

 マックス、お前だったのか!私が探し求めていた執事は!

 ということで、最近はマックスのおかげで快適な朝を迎えている。私のような寝起きよすぎ民には是非おすすめしたいアプリだ。犬以外にも猫や鳥も設定できるので、犬が苦手な人はそちらを選んでもいいと思う。

 なおマックスは存外諦めがよく、指定時間とその5分後の2回しかお知らせしてくれない。よって、起床時間の1時間前から5分ごとにアラームをかけるような寝起き極悪民にはまったくおすすめできない。注意されたし。

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