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<映画感想>『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』~ミステリー、ラブコメ、クロスオーバーが楽しめる充実の2時間!~

春の風物詩となりつつあるコナン映画の季節がやってまいりました。
今年も公開初日に観てきましたので、映画の感想をまとめさせていただきます。
↓以前書いたハロ嫁感想です。

毎年投稿していたYahoo!映画サイトがサービス終了となってしまったため、今年は公開日の翌日に映画レビューサイト大手のFilmarksに投稿しました。しかしFilmarksは見出しとなるタイトルが設定できず、レビュー数の多さも相まって一つ一つのレビューが流れていってしまい目に留まりにくい印象を受けました(個人的な印象です)。
そのため、今回はFilmarksに投稿した自身のレビューを一部修正・加筆したものをこちらにも書かせていただくことにしました。

<読む前にワンクッション>


※犯人及び結末のネタバレありのレビューです。この先読まれる方はご注意ください!※









ネタバレあり感想


怪盗キッド&西の高校生探偵・服部平次がメインキャラクターとなる今作はミステリー・ラブコメ・クロスオーバーの要素が絡み、コナン、平次、キッドそれぞれに見せ場があり、テンポよく楽しめた2時間でした。



※この先ラストのサプライズについても触れていますので、再度ネタバレご注意ください!※※


<ミステリー>


今作では殺人事件と秘刀を巡るミステリーが全編にわたって色濃く描かれていました。登場人物(ゲストキャラ)も多く、それぞれが思惑を抱えて行動しているため、動機や真犯人の推理もかなり難しくなっていた印象です。次々と手掛かりとなりそうな暗号やアイテムが見つかるとともに登場人物の思惑が絡み合っていくため、何を探してどこにいけばいいのか、何がヒントになっているのかが複雑で正直頭の中がこんがらがったものの、中盤でコナン君が一度これまでの状況を整理してくれる場面があったのでかなり助かりました(笑)
といっても真犯人が誘拐された福城良衛だとは思いませんでしたし、息子・聖の逮捕も死の商人から守るために良衛が仕組んだものだったとは驚きました。お宝争奪戦からの終盤でのコナンの謎解き、そして何者なのかと問われ「江戸川コナン、探偵さ」の決め台詞で返すシーンはお約束ながら胸が躍りました。

<ラブコメ>


今回の映画は非常にテンポがいいと感じたのですが、その理由が難しく堅苦しくなりがちなミステリーの中に平次と和葉のラブコメが挟まれていたからだと思います。
冒頭でキッドの変装を見抜き、激しい剣劇を繰り広げる平次ですが、その理由も以前のキスの因縁があったから。その後も親し気に和葉に声を掛ける聖にヤキモチを妬いたり、絶景で告白しようと函館のスポットを密かにマークしていたり、和葉も和葉で平次の一挙一動に顔を赤らめていたりと誰がどう見ても両想いな二人。そんな二人を一生懸命アシストしようとする蘭が場を和ませてくれます。
執事の伊織と共に函館じゅうを奔走(暗躍?)していた紅葉は、コミカルパート担当と思わせて謎解きのヒントを与えコナンのサポートをするなど、本編の事件に関してはきちんとアシストしてくれる役割だったのは上手いなと思いました。でも平次の告白に関しては正直悔しいです……!原作との整合性を考慮しなければならないのはわかっていてもあの告白は和葉に届いてほしかった(泣)おのれスタングレネード……!

<クロスオーバー>


作品によってはライバルというより相棒ポジションになることもあった怪盗キッドですが、今回はコナンと馴れ合いすぎることなく、しかし大事な所できちんと見せ場のあるポジションでした。
特に今回のキッドはコナンのライバルというよりは『まじっく快斗』の快斗という印象を受けました。そもそもまじっく快斗のキャラクターが名探偵コナンにゲスト出演している状態なのでそれは当然なのですが、今回は中森警部の娘でまじっく快斗のヒロイン・青子も登場し、キッド自身も父親・盗一が「盗まなかった理由」に辿り着くための行動をしており、中盤から後半にかけては『名探偵コナン』と『まじっく快斗』の世界線がクロスオーバーした作品となっていました。
特に中森警部が撃たれた際に珍しく感情的になるキッドが印象的で、今作の中でお気に入りのシーンの一つです。青子の父親として関わっている事もありますが、怪盗と警察として何度も対峙している二人だからこそ、好敵手としての互いの信頼やリスペクトが感じられました。
さらにクロスオーバーはまじっく快斗だけではなく、『YAIBA』のキャラクターもストーリーに絡んできて驚きました。コナン本編で登場していた沖田はともかくとして、映画のクライマックスで突然現れ剣術で無双して去って行った鬼丸のインパクトは強烈でした。今後のコナン原作もしくはアニメにも登場するのか楽しみです。

<衝撃の結末・サプライズ>


そして、この映画の最大の隠し玉として、最後の最後にキッドにまつわる秘密が明かされましたね。

・快斗の父・盗一と、新一の父・優作は双子の兄弟
・ゆえに、キッド(快斗)と新一は従兄弟(だから顔が似ている)
・暗殺されたと思われていた盗一は生きており、優作とメールで交流している

示唆されていたこととはいえ、劇場版でこれを明確にするとはまさにサプライズ。どうりで試写会が無かったわけですね。
とはいえ冒頭のキッドvs平次からすでに伏線は散りばめられていて、平次が何に驚いたのかと思えば「キッドの顔が工藤に似ている」ことでした。その後の平次がコナンの顔付きをまじまじと見たり、中盤で青子もコナンを見て「幼い頃の怪斗に似てる」と言ったり、顔が似ていることを示唆する場面は割とわかりやすかったかなと思います。
ただ驚いたのは盗一が川添刑事に化けてずっと捜査に協力していたこと。確かに時折不敵に笑ったり、序盤もドジだけど遅刻する奴じゃないと西村警部に言われていたので「キッドが変装しているのかな?」と怪しんではいたのですが、キッドが化けている沖田と一緒に捜査会議しているシーンがあるのでそれはあり得なくなり、真犯人でもない。エンディング聞きながら油断してたらまさかのキッドパパだったとは……。これは完全に一本取られました。
現時点でこの事実を知っているのは盗一、優作、有希子だけ。コナンや快斗が気付く展開はコナン本編でこの先出てくるのかも気になるところです。

<ちょっと気になったところ>


・作画
 アップの顔は素晴らしいのですが、引きになった時に粗く見えるカットが何度かありました。
・場面転換
 唐突に場面が変わってしまい状況が把握しづらいシーンが何度かありました。特に終盤のコナンの謎解きの後、カドクラの銃撃を川添刑事が防ぎ不敵に笑ってからコナン、良衛、キッドで宝の在り処に向かうシーンでは特に何の会話もないまま場面が切り替わってしまうため一瞬混乱しました。あの時はキッドが川添刑事に化けていた→変装を解いたキッドがコナンと良衛に同行した……で合ってる……?

<ツッコミどころ>


・飛行中のヘリ上で剣道すな!(都合のいいオートモードに笑ってしまった)
 コナンしかり平次しかり相変わらずアクションは人間やめてるレベルだけど、下手に派手な爆破に頼らなかったのは良かったと思います。
・有希子さん、二十年近く旦那さんの兄弟関係知らなかったなんてことある?笑

<まとめ>

星 4.0(5点満点) ★★★★☆ 

気になる点やツッコミどころもありますが、コナンらしい謎解き多めのミステリー、から紅と対になるような和葉を巡るラブコメ、青山作品のクロスオーバー要素と、初期作品ファンもキャラ推しのファンも楽しめる作りになっていたと思います。
ミステリー要素が薄くキャラ人気に頼っているとの声も多い昨今のコナン映画ですが、ハロ嫁、黒鉄と近年はキャラの活躍を見せつつストーリーも見ごたえのある作品が続いており今作も満足できました。来年はメインとなるキャラ的に謎解き要素が強くなりそうな予感がしていますが、果たしてどうなるでしょうか。今から期待しています。


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