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「性別」というものが嫌すぎる話

私は胃腸が弱い。ちょっと食べすぎては胃もたれし、それでいて食べるのが好きだから性懲りもなく食べすぎて、消化不良になり胃を痛めている。ヨーグルトを食べ、乳酸菌飲料をガブガブ飲み、うどんやそうめんを食べ、胃薬を飲み、お腹をさする。
何かにつけてお腹をさすっていると、どういうことが起こるかというと、しょっちゅう「おめでたですか?」と聞かれるのである。

は??????

って感じだが、マジの話だ。

本当に昔からよく言われる。大学卒業以降、何度言われてきたことだろう。いやそもそもお相手は…?というところも一足飛びでいきなりご懐妊だと勘違いされるのである。なんでだよ。知り合いのみならず、うっかりレジでお腹をさするなどしているとお店の人なんかにも言われる。以前ソロ活の連載で一人ペアリング作りをしに行ったときも、指輪作りの先生に言われた。一人ペアリング作りとは何なのかという話をし始めると散らかるので、気になる人はこちらを読んで下さい。

原宿「ついぶ東京工房」で一人ペアリングを手作りしてみた/ソロ活

ざっくり言うと、(ネタで)一人で(ペアの)指輪を作りに行ってみたのだ。指輪の裏に掘る文字を決めろと言われ、困惑して咄嗟に「ア、ア、アニバーサリー(英字)で…」と言ったことで、なおさら誤解を生んだのではないかとは思う。目の前にはお腹をさする私。顔はもともと丸い。しかも、ものすごくむくみやすい。あまつさえ食べたら食べた分だけ肉が全部顔につく体質。そして、ワンピースのようなゆるめの服を好んで着る(マタニティ服と似ている)。その結果が、ご懐妊アニバーサリー。あまりに誤解される要素が揃いすぎている。役満である。悲しい。

この「妊娠している」と思われることは、私にとって非常に大きなストレスだ。「えぇ!? いやいや妊娠してませんよ(笑)」と言いながら、モヤモヤした嫌〜な気持ちがじんわりと残り続ける。内心「そんなわけあるか、クソが!」くらいには思っている。

私は子どもがほしくない。絶対に、絶対に絶対に絶対にほしくない。小さい頃からずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと思ってきて、今も強く強く強く強く強く強く思っている。

昔は「子どもほしくない」と表明することすらなかなか勇気が出なかった。その頃の気持ちは、この記事で書いている。

「子どもがほしくない自分はおかしいの?」と悩んでいる女性へ/ウートピ

かつて「絶対に子どもがほしくない!」と決死の覚悟で明かしたら、誰に言っても「いつか本当に好きな人が現れたら、気持ちは変わるわよ」と返された。小学校の頃の習い事の先生、中学のときの担任、塾の先生、大学の同級生、先輩、みんなみんな同じことを言ってきた。
「は?」と思った。そんなことで気持ちが変わるわけないだろ。ふざけんなよ。

そう思いながらも、肩身は狭かった。周りの子たちは、街で見かけた子どもに対して当たり前のように「赤ちゃん可愛い〜!」「子どもほしい〜!」とキャッキャする。その様子を見て、「私は異常なんだ…」と子どもながらに傷ついた。今なら異常なんかではないと思える。私は私だ。

大丈夫なんだな、それでもいいんだな、と思えて少し安心してきた頃、今度は子どもほしくないと思うようになったきっかけの一つとやっと向き合えた。向き合えたので、書いた。

「産まなきゃ良かった」と言った母と、言われた子/note

子どもがほしくない、と強く強く思うのは、母親との確執や、育ち方についてだけではない。ほかにも山ほど理由がある。

たぶん私は、自分で思っている以上に、女として生まれてきたことを憎んでいる。心底憎んでいる。嫌で嫌で、もはや性別というものが存在することに対して怒り始めている。生物としてのシステムに喧嘩を売っている。不毛だ。

社会が規定する「女」の役割が嫌だ。ジェンダー論が盛り上がっている昨今だいぶ変わってきてはいても、それでも嫌だ。女は家庭で育児で家事で三歩下がって産むことが生産性で云々……と言う人が地球上にたった一人でもいる以上、絶対に嫌だ。その状況で社会から自分が「女」として見られること自体が嫌だ。だから「ご懐妊ですか?」と思われることにこんなに怒りを覚えるのだろう。

だからといって、男に生まれていたらそれはそれで文句を言いたくなることが出てくるだろうし、そのほかのセクシャルマイノリティーに生まれていてもやはりまた別の悩みがあるだろう。性別なんてものがなければこの世の争いや憎しみや悩みの半分くらいはなくなるんじゃなかろうか! もうとにかく性別そのものが嫌だ。

また、生き物のシステムがあまりに不平等なところも嫌だ。なぜ片方の性別しか産むことができないのか。そもそも生き物は環境に合わせて生きやすいように進化するものであろう。ヒトも例外ではない。アウストラロピテクスにネアンデルタール人、道具を使えるようになり、言葉を喋れるようになり、と進化してきた。それなのにだ。男が狩り、女は採取と子育てだった狩猟と採取の時代などとうに終わっているというのに、どういうわけだか現代においてもいまだ女しか産めない。また、妊娠・出産のしんどさや痛さは今も変わらないまま。体の辛さや痛みなどないほうがいいに決まっている。これはどう考えても人類の進化におけるバグである。詫び石配布すべきレベルのバグ。少子化の時代、現行のシステムを続けるのは無理があるだろう。性別に関わらず産めて、産む瞬間については痛みをなくして気持ちよくすべきだ。運営に凸したいんだけど、どこですか?

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