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ヒーロー! 伴大介氏にお会いして来た


今回の記事は備忘録です。(のつもりで書き始めたが、当初の予定よりも膨らんだのでとりあえず読んでみて)

さる、11月4日我が大学は文化祭であった。
文芸部に所属している私は文化祭両日ひねもす、ポメラをいじったり部員と下品な話をして過ごしていた。

どの企画もパワーやエネルギーに満ち満ちた素晴らしい物ばかり。
だが、万年無気力の私の食指はほとんど動かない。
そんな私の心と体をぐぐぐっと動かしてくれるイベントが開催されているではないか!↓


伴大介!

特撮ファンであれば誰もがあこがれたヒーロー。
出演作品は数知れず、人造人間キカイダーを筆頭にイナズマン忍者キャプターバトルフィーバーJなど様々だ。最近何かと話題のグリッドマンにもレギュラー出演している。
ホラー映画好きとしては貞子の父親役が印象深い。

そんな伴大介氏がトークショーをすると言うではないか!
特撮オタクの端っこの方で溜まったホコリを食べている私としても行かねばなるまいて。
と、言うわけでイナズマンの主題歌を歌いながらノコノコ出かけていった。

1時間のトークショー。
聞きたいことがあまりにも多すぎてあっという間だった。

キャプターの薄手スーツで川を流され凍えそうになった話イナズマンの撮影で崖から落ちかけ九死に一生を得た話など当時の貴重なお話の数々はやはり、鳥肌ものと言って相違ないだろう。

中でもヒーローを演じた者はヒーローとしての責任が生じるという言葉はそこに確かにヒーローが存在するのだという厚みのようなものを感じた(小学校の感想文みたいだな)
何より、お会いできただけでもう感無量だ。
(最後2ショットを撮ってくれたときは足が震えた↓)

(隣の木偶の坊が私だ)

と、ここで終わってもいいのだが
「イナズマンフラッシュの方は子供に見せていいのかって話が多くて・・・・・・」
という話も出ていたので

イナズマンFで印象的な話を一つだけご紹介。

知っているとは思うが念のため、イナズマンについて説明しておこう。

イナズマンは仮面ライダーや超人バロム1などにつづく石ノ森章太郎が手がける等身大ヒーローの一つだ。
前番組のイナズマンの続編(続編でいいのか分からないが、ドラゴンボールとZ、ブラックとブラックRXみたいな感じを想像していただければいい)という形で始まったのがイナズマンF(フラッシュ)だ。

イナズマンの革新的な点はまず、ヒーローに二段変身を持ち込んだ点であろう。
主人公の渡五郎(無論、演 伴大介氏)がゴウリキショーライ!のかけ声とともに変身するのだが、いきなりイナズマンにはならない。

渡五郎はひとまず第一変身形態であるサナギマンへと生まれ変わる(イナズマンは蛾がモチーフなのだ)

サナギマンの戦闘力はほぼ皆無に等しく、戦闘員や敵怪人にタコ殴りにされ続ける。その間、サナギマンはぐっと耐える。ただ耐える。視聴者的には攻撃を耐え続けるという姿に感動するのだ。(ロッキーに通じるものがある)

そして殴られ続け、変身ゲージがマックスになったその瞬間、どかーん!とまさに殻を破るようにしてサナギマンはイナズマンへ生まれ変わる。

さて、このイナズマン、イナズマンの頃はそれなりに勧善懲悪な単純明快なストーリーだったのだが、続編のFになると少しづつその様子がおかしくなってくる

なかでも度を超しているのが第20話『蝶とギロチン 花地獄作戦』(1974年9月3日放送)

話はヒマラヤに咲いた大量のケシの花(麻薬です)が一晩にして消えてしまった所から始まる。
消したのは地球征服を企む悪の組織、デスパーの女マジシャン。
ちなみにこの女マジシャンが今回のゲスト女優。(イナズマンFはやたらゲスト女優が多くてそれも日活の女優さんなんで異様に妖艶なのだ。お父さんサービスか?)

そしてなんやかんやあって、今回のデスパー怪人、ギロチンデスパーが登場。
その名の通り、ギロチンを使って人間をばっさばっさと断頭台へ送り込んでいくのだが、その光景がすさまじい。↓


血みどろの浜辺と生首ごろり
私が初見したのは高校の時だったので、さすがにギャー!とはならなかったが、「これは子供番組でやっちゃあかんやつ・・・・・・や」と言葉を失った。

さて女マジシャンはこのギロチンデスパーと結託し、サナギマンに変身した渡五郎へ襲いかかってくるのだが、この時イナズマンと女マジシャンが子供時代に邂逅していことに気がつく。
かつて主人公、渡五郎は女マジシャンがいじめられているところを助けていたのだ。

女はハッと我に返り、サナギマンをかばって深手を負ってしまう
ブチ切れサナギマンはイナズマンへ変身し、ギロチンデスパーを撃退。

しかし、女の傷は深く、五郎の腕の中で今まさに絶命せんとしている。
そこへ3人の子供達が駆け寄り、その光景を見つめる中、女は静かに息を引き取った。

これだけでもすさまじいストーリーなのだがもう一山ある。

なんと、女の死因はデスパー怪人ではなかったのだ。
彼女の首にはとどめを刺したであろう、毒針。

走り去る子供達。

そう、とどめを刺したのは先ほどの子供達だったのだ!

「海は青かったか?」「ノー」
「空は青かったか?」「ノー」
「人の世の未来は?」「灰色」
「デスパーの未来は?」「明るい光でいっぱい」

恐ろしい問答が秘密基地で繰り返され、子供達がデスパーの少年兵であったことが分かるのだ。
ショッカー等の悪の組織が少年兵を使うことはさほど珍しくはない。だが、このように実際に人間相手に手を加えてしまうことは・・・・・・たぶんこれぐらいじゃないだろうか

そして物語はここで終わる。

えっ!?と思われた方、私もそう思ったから安心してくれ。
突っ込みどころも確かにある。
だが、それより何より怖い。ただその1点だ。

まず、だ。イナズマンFはこの話に限らず血が出てくる。
傷つけば血が出る。ビュービュー出る。
たしかに「子供番組で鮮血なんて!」という意見もあるだろう。

だが、この流血は大事だ。
流血はそこに確かな生と死の境があることを教えてくれる。
傷つけば血が出る。血が出れば人は死ぬ

子供はその恐怖を疑似体験によって身につけることだって出来る。(に違いない)

そして、少年兵の存在とその裏に見え隠れするデスパーシティの存在だ。
デスパーという悪の組織はなんと、デスパーシティという人口5万人規模の地下都市を所有している。

基地とかそんなレベルではない。都市を持っているのだ。
無論、そこでは多くの人が生まれ、生活し子を産み死んでいく。
先ほどの少年兵もここで生まれた子供かもしれない・・・・・・

デスパーシティで暮らす人間は生まれたときからデスパーが絶対的な正義だと教えられ、何の疑問も抱かず、生活しているかもしれないのだ。
この恐怖だ。(ここでの紹介は省くがこのデスパーシティの恐怖を描いた第12話『幻影都市デスパーシティ』もオススメしておきたい)

もう、これ一子供番組ではない
当時を振り返った取材記事などを見ると監督や脚本家は相当熱をもってこの作品に挑んでいたようだ。
紹介した20話も東映の社長が「学生映画なんか作るんじゃない」と激怒したという逸話まで残っている。

伴大介氏の名演もさることながら、この今にも爆発してしまいそうな制作陣の熱膨張のようなものを感じてみてはいかがだろうか?

PS:ツイッターでいいねが沢山来たので即席記事 です。にしてもこうゆー記事のサムネイルはどうしたもんかね…………いい感じの写真でひとつ……

2018/11/12:追記 見出し画像をだいぶ前に書いたキカイダーにしてみました。それだけです。


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