青木萌 moyuaoki

詩人・美術作家 兼 デザイナーをしています。 言語の問題と詩、とりわけ文字(エクリチ…

青木萌 moyuaoki

詩人・美術作家 兼 デザイナーをしています。 言語の問題と詩、とりわけ文字(エクリチュール)を主題に作品を制作しています。 instagram : https://www.instagram.com/moyuaoki/

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  • 詩について

    詩についての雑記を綴っています。

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詩について(1)

 詩は、言葉の前にある。  詩は、言葉の芸術表現だけれど、言葉が言葉に成る前のところに詩は、ある。  つまり、作品としての言語表現の詩の前のところに、「詩」というもの自体があるのだ。  それが「詩情性(ポエジィ)」というものだと思う。  日常生活のなかで、何気ないものや何気ない瞬間にふいに美的な酩酊を感じることはないだろうか。クオリアと呼ばれるような美的質感のひとつが詩情性(ポエジィ)という感覚だと思っている。それは味覚で言うなれば、珈琲やチョコレート、洋酒、煙草

    • ドロップス ふたつ

      2度目の個展を開きます。 今月、10月20日(金)から11月5日(日)の期間に、栃木県栃木市にある古物店、茂|呂(もろ) にて、詩と絵の展示販売を致します。 https://www.instagram.com/moro_images/ この展示は、昨年末に開いた初個展に続きまして、自身の第一詩集「ドロップス」の出版に併せたものです。 ふたつ目のドロップスの展示なので、タイトルは「ドロップス ふたつ」。 秋の日の愁いと栃木の街の侘びた雰囲気が詩的に具合が良く、会場の茂

      • 詩について(5)

        詩とは 言語の寺院のようなもので 聖なるものをその中に閉じて湛えていたりする 文字はかつて 聖化されたミイラのような形骸で 書かれたものが読まれる時 霊を孕んで蘇った 言葉は生まれてからずっと 人の精神を占めているから 言葉の魂を揺すれば 君の魂も震える 死んだ言葉の使用者よ 詩に参れ

        • 無題

          鮮やかな枯れ葉が ひらひらと舞っている と思ったらちょうちょで そうして世界は反転して 俺は枯れ葉だった

        • 固定された記事

        詩について(1)

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          馬 駈ける

          馬 駈ける 花 揺れる 遠くに幻 連綿と続く 歴史を貫く 大樹は伸びていく 手の鳴る方へ 何処までも 未來は サ と織られ 綾を 成す そうして 紬 ひとつが 生まれた (友人の出産を祝って)

          馬 駈ける

          初めての個展を終えて

          今月、12月2日(金)〜7日(水)の期間に、新宿にある、新宿眼科画廊というギャラリーで、自身の作家活動で初となる個展を開いた。(※眼科画廊の名前の由来は「目に良い場所」という意味らしく、眼科が運営しているギャラリー、という訳ではない。) 今回、友人、知人、学生時代の先輩、後輩、同期から、お仕事で付き合いのある方々など、これまでお世話になった多くの方が来場してくださった。また初めてお会いする方もたくさん来ていただき、そして作品を真剣に観ていただいて、大変有り難く、とても幸福な

          初めての個展を終えて

          詩集を出版します。

          雫は 降ってくる 中くらいの晴れの日に ドロップス 詩・画 青木萌 来月12月に第一詩集ドロップスを出版します◯ (メブキという自身の出版レーベルからの自費出版になります。) 訥々と空から降ってきたかのような詩篇を綴っています。 装丁はデザイナーの吉田結さんによるものです。 https://yuiyoshida.jp 春の日の光と風を感じるようなとてもうつくしい装丁です。 (花布が金色なのが特に気に入っています。) 出版に併せて新宿で個展も開催しますので、ご興味

          詩集を出版します。

          はじめての個展を開きます。

          この度、2022年12月に自身の第一詩集「ドロップス」を出版するのですが、その出版を記念して、詩と絵の展示を12月初週に新宿で開きます。 今回、初の個展となります。 詩集「ドロップス」の中から、活版印刷で刷った詩作品や、キャンバスへのペインティング作品、ドローイング作品、シルクスクリーン作品などを展示します。また、詩集の販売もいたします。 年の瀬となりますが、今年から作家活動の発表を本格的に行っていきます。 言語や詩、とりわけエクリチュール(書き言葉、文字)を主題に作品

          はじめての個展を開きます。

          詩について(4)

          物には、詩がある。 詩とは言語の芸術表現のように思われるだろうが、実のところ「詩それ自体」は言語の前のところにある。(※詳しくは、詩について(1)の記事を参照していただければと思います。) それを僕は「表現(express)の詩」に対して、「印象(impress)の詩」と呼んでいる。印象の詩とは、僕たちが世界を認識する、境界のところに発生する「詩情性(ポエジィ)」のことで、その詩情の源泉は、物、物質の世界にある。言語の階層の前にある物、物質の世界が、詩を醸(かも)している

          詩について(4)

          無題

          昨日 食べ残した林檎が 卓上で干からびていた それは意図せざるひとつの彫刻 ふと 啓(ひら)いた どうやら 恩寵(おんちょう)は そういう類(たぐい)に 降(ふ)るらしいと

          じゆう

          ji yu u - Freedom on many crosses, but I lay down a gun.

          無題

          夕ぐれ 口にした 名は 十の 口が 叶えた 石は 皮を 破り 艸(くさ)は 化けた 花に 可ァ 可ァ と 欠(あくび)する 歌は 口口(くちぐち)を 回った

          無題

          すみません たましいに効く薬はありますか ええ 一篇の詩がありますよ 朝と晩に 飲んでください

          無題

          突き刺さった 一本のストローが 呼吸している 食事をし 排泄する 球を投げる 外れる る 私は考えている

          言葉の魂について

           言葉には魂がある。 と、最近、強く感じるようになった。 つまり、「言霊」というものは在ると、どうやら信じるようになっている。  以前は、心のどこかで、言葉なんて、口では何とでも言えるもの、と思っていて、深く言葉を信用していないところがあった。口では綺麗な、体のいいことを言いながら、実際の行動が伴わない。そういう人を多く観てきたし、実のところ自分自身がその代表のようでもあった。大言壮語、行動の伴わない口先だけの人間。言葉をペラペラと繰(く)ることで、その場をしのぐような

          言葉の魂について

          芸術と経済(2) ーウィリアム・モリス(1)ー

           芸術と経済について、だいぶ前に書いたきり止まっていたので、間が空いてしまったけれど続きを書いてみようと思う。  今でこそ、仕事としてデザインを、また創作活動で詩や美術表現をやっているが、学部生時代は一般大学で政治経済学を専攻していた。志があって入った訳ではなく、只のなりゆきだったことは芸術と経済(1)で書いた。  大学入学当初、「経世済民」の理念(世を治め民を苦しみから済(すく)う、という概念)には大きく感じるものがあったが、経済学の授業の多くがあまりにも市場経済に寄っ

          芸術と経済(2) ーウィリアム・モリス(1)ー