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2023/10/9月 バイト話 バターサンド屋

東京駅でバターサンドを焼いていた1日がある。
決してバターサンドを焼いてみたかったわけではなく、登録していたイベントスタッフの会社からの案件メールを見ていて日給が高かったからだ。

朝8時に出勤してついて早々支給されたエプロンと三角巾を身につけて、早速仕事が始まり人生で初めてバターサンドを焼いた。言われた通り焼くだけなので大きなミスはなかったがお土産の店なので厨房はとにかく狭くてバイトは焼く人、運ぶ人、並べる人、外で呼び込みする人、列を並べる人とローテーションで回していくようだ。

この中でも呼び込みが嫌で「〇〇のバターサンド販売中でーす! いかがですかー」こんな感じのテンプレがあり、自分で工夫しても良いとの事でノルマなどは特にないのだが、同じバイトの大学生の方が明るくフレッシュさもあり呼び込みが上手い。歩いている人もその大学生の呼び込みから列に並んでいる率がどう考えても高いと思った。そして店の人からも好かれているようで呼び込みどこかでやってたの?と聞かれたりしていた。こんなバイトの子に嫉妬する事もないし勝ちも負けもないのだが、その大学生が「もっと声大きくした方がいいと思いますよ」みたいな事を言ってきたのだ。

たった1回バイト一緒になっただけの奴にこんなこと言われて内心イラッとした。こうゆう勘違い大学生はイベントスタッフのバイトにはよくいて1回の単発の現場が多い仕事なのにちょっと周りよりできてると思った瞬間に他の人を下に見る。

・若いな。お前なんか社会に出たら通用しねえぞ。
・肉体労働系のバイトならお前みたいなひ弱そうな奴ついてこれない。
・たまたま上手くいっただけだろ

心の中でそんな事を思いながら時間が経って休憩に入り、休憩中にその大学生と話す機会があり、話していると早稲田大学の2年生のようだった。当時自分は27歳だったが、とっさに自分も大学3年生という設定にして27歳でバターサンドを焼いているフリーターというのがバレないように振る舞った。就活がこれから始まるけど公務員か上場企業を狙っているという優秀な男だと思わせた所で17時でバイトが終了した。そいつとは他の現場でも会う事はなかった。


帰り際、歪な形で商品として出せないバターサンドをお店の人がバイトの子に持って帰っていいよと言っていたので、リュックにパンパンに詰めて誰よりも多く持って帰った。



大学のゼミの子にあげるとまた一つ嘘を重ねた。

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