ここ最近は今日より明日の自分の少しの成長を前向きに捉え、自分なりのペースで過ごせていたのだが、昨日はちょっとした出来事で脆くもそれらが崩れ、『うーん、参ったな』と鬱鬱としていたのだが、早めに就寝し、朝から整体に行き、散歩をしたら割りと復活したので、『お、これまでよりも対処が上手になってきたのか』と少しうれしい一日の始まりだ。

以前のようにおしゃべりな自分ではなくなってしまったので、今はこうやってブログに脳内を言語化することで、自分なりに自分を振り返ることが一つのリハビリになると思い、文章を綴ろう。

16歳〜20歳まで、僕は高専（高等専門学校）で建築を学んでいた。経済的資本、社会資本、宗教、文化などのリソースを凝縮し、人々に多くの影響を与える『建築』というアートにいつからか魅せられ、15歳にして建築を志すことを決めた。それに加え、強烈な自己主張、存在証明欲を当時心に抱えていたことも、それを後押しした要因だろう。

しかしながら、人一倍頑張っても追いつけない芸術的センスの高い人達の前に、当時の僕の心は折れ、その道を諦めることとなった。人生初の挫折である。

今思っても辛い決断であったし、悔しさもあるが、建築を通して学んだことは多かったように思う。

入学後、教授がこんなことを言った。

建築は模倣にはじまり模倣に終わる

それを初めて聞いた時は、『何を言ってるんだ、こっちは自分のオリジナルを作りに勉強しに来てるのに。まったく理解できない』と。今ではなんとも不勉強で不遜で生意気なガキだったなと、ちょっと恥ずかしくなってしまう。

仕事をやっていく上で、サイトのデザインやサービス設計などを考える時、0からすべてを考えるというよりは、今波に乗っているサービスを隈無く観察し、それらを手でトレースすることで、初めてそのサービスの裏側に隠れていた思考が見えてくることが多い。

なんとなく、良いサービスだな、カッコイイな、このデザインが流行しているしな、この戦略がトレンドだしな、一般的だしな、などなどの既に用意されている『メガネ』でみたところで、何も見えてこないのだ。

高専においても、まずは有名建築の平面図、立体図、などを徹底的にトレースさせ、スケッチさせ、そこから建築家のエッセンスを如何に吸収するのか、を体で覚えさせられた。

それと同じである。模倣とは、エッセンスを抽出する作業であり、その模倣の仕方や、エッセンスの抽出方法にこそ、個性や創造性が宿るのだ。

そして、模倣に終わるには2つの意味があると考えている。一つは、オリジナルとは、模倣を重ね、それらを寄せ集めたものであり、優れたサービスや作品を残した先人たちに感謝すること。二つ目は、模倣から取り出したエッセンスを用いて自らの創造性により生み出し、人々に愛されたサービスや作品は模倣される運命であること。ということである。

どちらも、僕の中では正しく、真理的な考え方だと思っているし、そこに宿る「謙虚さ」はとても綺麗だ。

また、これらの『模倣』を可能にし、サービス・作品を作る・運営しすることができるのは、仲間、社会、文化、国家が助けてくれているから、ということを、思い出させてくれる。※国家という枠組みは今後なくなりそうではるけれど。

そんなことを考えていたら、オバマ氏の言葉が思い出された。

（翻訳）私がいつも驚かされることがあります。（自分が成功したのは）単に自分がとても賢かったからに違いないと考える人々がいるということにいつも驚かされるのです。賢い人々はたくさんいます。そして彼らは自分たちがほかの人々より頑張ったから（成功したのだ）と考えているのです。一つ言わせていただきたい。あなたたち以外にもたくさんの働き者がいるんですよ。

もしあなたが成功者だとしたら、誰かがどこかのタイミングであなたのことを助けているはずです。そして、人生のどこかで、あなたは偉大な師と出会っているはずです。あなたが繁栄することを可能にしているこの素晴らしいアメリカのシステムですら、誰かの助けによって生み出されたものなのです。誰かが道路や橋に投資をしました。もしあなたが事業を起こしたとしても、それはあなた（だけ）が建てたものではないのです。ほかの誰かが、それが起こることを可能にしたのです。

（原文）I'm always struck by people who think, well, it must be because I was just so smart. There are a lot of smart people out there. It must be because I worked harder than everybody else. Let me tell you something -- there are a whole bunch of hardworking people out there.

If you were successful, somebody along the line gave you some help. There was a great teacher somewhere in your life. Somebody helped to create this unbelievable American system that we have that allowed you to thrive. Somebody invested in roads and bridges. If you've got a business -- you didn't build that. Somebody else made that happen.

自分への戒めと、これからの『模倣者』へ送ります。