ミスター水素

化学メーカーの機械エンジニア。業界約10年。専門分野は水処理、圧力容器等。大学時代に水…

ミスター水素

化学メーカーの機械エンジニア。業界約10年。専門分野は水処理、圧力容器等。大学時代に水処理を研究、そこで電気分解と水素に出会う。水素分野に可能性を感じ、水素に関する情報発信を開始。実験のリクエスト募集中!記事コメントでお気軽にどうぞ。

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【自由研究】予算300円でできる!水素を作る実験

はじめに水素は、水を電気分解すると発生します。 電気分解は、水と電気と簡単な道具さえそろえれば、家庭でもできます。 そこで今回は、予算300円で手軽に水素をつくる方法を紹介します。 1時間もあればできる内容だと思います。 自由研究の題材や、水素に興味のある方は、ぜひやってみてください。 用意するもの新たに買うもの ・鉛筆の芯のみ(181円 loftで購入) ・USBケーブル Micro-usb(110円 100均で購入) ⇒計291円 その他用意するもの ・使わなくな

    • 【計算してみた】コップ1杯の水をすべて水素に変えたら、どれくらいの量になるか

      コップ1杯の水=100mL=100g とします 水(H₂O)の分子量=18g/mol です ※molは分子の数を表す単位。H₂Oが1mol集まったとき18gになる。 これらより、コップ1杯におけるH₂Oのmol数は: 100/18=5.56mol です  ここで、水から水素を取り出すことを化学式で表現すると: 2H₂O → 2H₂ + O₂ 2つのH₂Oから2つのH₂が発生するため、分子の数は等しいです。 つまり、コップ1杯=5.56molのH₂Oから、5.56mol

      • 水素測定用の圧力計を買おうとして、見積辞退された話

        先日仕事で、1MPaの圧縮水素ガスを測定する「ブルドン管式圧力計」を見積依頼したところ、複数の某有名メーカーから辞退連絡を受けました。 理由は、水素による劣化を気にしてとのこと。 確かに水素には、水素脆化という現象があり、金属内部に水素が浸透して、金属をもろくさせます。 でも、水素脆化は数十MPa以上の高圧水素ではじめて問題になる話であり、今回要求している1MPa程度では、常識的に無視できるはずなんです。 おそらくメーカーは保証責任を極力負いたくないため、リスクのある水

        • 一本の水素水には、何mLの水素が溶けている?

          水素の量を表す単位にはいくつかあり、すこし複雑です。 例えば気体の水素は~mLと表しますし、水素水なら~ppmという濃度で表します。 今回はこの単位について書きます。 ppmという単位水素水の濃度には、ppmという単位がよく使われてます。たとえば伊○園の水素水には0.3~0.8ppmと書かれています。 このppmは「百万分の一」という意味で、1ppmは水が百万あったとき、水素は1溶けていることを意味します。 そして、 つまり、0.3~0.8mg/Lと読み替えることが

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          食塩水に電気を流すと「ハイター」になる

          今回は水素以外のテーマとなります。 衣類や食器のしつこいよごれには、「ハイター」を使ってきれいにした経験があるかと思います。 「ハイター」は商標で、一般名称は塩素系漂白剤といいます。 このハイター、実は食塩水に電気を流すと作ることができます。 実際にやってみましたので、今回はそれを紹介します。 準備いらなくなった布を2枚用意しました。 コップ一杯の水にカレー粉を溶かして、そこに布をひたしました。 1時間ほど放置して、布にカレー色を十分しみこませました。 次に、食塩水

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          予算300円の実験で、水素はどれくらい出たのか?

          はじめに過去に、「予算300円でできる!水素を作る実験」を紹介しました。 では、この実験で水素はどれくらい出たのか? 今回はこれについて書きます。 水素の発生量はどう決まるか実験では、水を電気分解して水素を発生させましたが、その発生量はどう決まるのでしょうか? それは、電流値(アンペア)によって理論的に決まります。 具体的にグラフに表すとこのようになります。(細かい計算方法は今回割愛します) たとえば、1アンペアの電流を流した時、水素はおよそ7mL毎分で発生することが

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          【化学】水を電気分解すると、水素は酸素の2倍量発生する

          水を電気分解すると、水素と酸素が発生します。 2つの電極を水につけて、電気を流すと、マイナス側では水素が、プラス側では酸素が発生します。 この水素と酸素の発生量に違いはあるのでしょうか? 結論を先に言うと、水素は酸素のぴったり2倍量発生することが分かっています。 実際、電気分解してみると、マイナス側(水素側)の電極のほうが、気泡の量が多いことが分かります。 では、なぜ電気分解で発生する水素は、酸素のぴったり2倍量なのでしょうか? この理由について分かりやすく説明します

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          【意外!】水素に火をつけても、燃えなかった話

          水素は無色透明の気体で、見ただけでは水素とはわかりません。 水素を確かめる有名な方法に、「火をつける」があります。 そこで、先日自作した水素発生器で水素を作り、ライターで火をつけてみたところ…意外にも燃えませんでした。 学校の理科では、水素に火を近づけると「ぼん」と音がして燃える、と教わりました。しかし実際に試してみると、何の音も出ませんでした。 調べてみると、水素が燃えるには、ある程度の量が必要だと分かりました。 それは、空気中に4~75%で水素が存在したとき、燃え

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          【自由研究】水素が作れたら…次は水素から電気を取り出そう

          前回、水素を作る実験を紹介しました。 今回は、作った水素が「本当に水素か」確かめる方法として、水素から電気を取り出す方法を紹介します。 水素は無色透明の気体で、見た目は空気と変わりません。そのため、実際に水素を作っても、ただの空気と区別がつきません。 水素は、酸素とくっついて水になりたがる性質があります。そして水になるときに電気を発生します。このとくちょうを利用して、水素が水に戻るときの電気を見ます。 用意するもの新たに買うもの ・発光ダイオード アマゾンなどで売っ

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          水素という存在の魅力(自己紹介に代えて)

          ミスター水素と申します。 水素という存在には不思議な魅力があります。 ご存知のように、水素は水(H2O)の一部分であり、水はとても身近です。ですが、水素(H2)そのものに触れる機会は、日常ではまずありません。身近にあるはずなのに、遠い存在です。 水素は用途が多様です。新しいエネルギーとして活用される一方、水素吸入による老化対策等の健康・医療分野でも注目されています。このように様々な分野で活用されている点も水素の魅力です。 私が初めて水素に出会ったのは大学時代です。当時

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