東京ひとり旅①〜サンライズ出雲〜

1年半ぶりに東京へ一人で行った。
今は学生で春休みに入ったので、久しく会えてない友人たちにも会いたいし、1人でどこか九州のことを忘れさせられる場所に行きたかった。あと、同い年や旧友に会うことは心の安定剤でもあると思って。

友達や親戚の家にお泊まりさせていただけたので一週間ほど滞在した。

ここからは、ただの旅行記です。

私は九州に住んでいるが、生まれは島根県の出雲だ。なので、出雲で墓参りなどして出雲からサンライズ出雲に乗って東京に行くことにした。

 まず、在来線を乗り継ぎ新山口まで普通列車で向かった。そこからはスーパーおきという特急列車に乗り換える。スーパーおきは平時は2両編成で新山口と米子または鳥取を結ぶ特急だ。ディーゼル車なので独特のけたたましいエンジン音と旅することになる。日本の主要幹線はほとんど電化されているのでこの音はなかなか聴けないので、それもまた山陰を走る列車の醍醐味の一つだ。

スーパーおき

 たった2両しかないし、顔も真四角だからほんとに特急なのか?と若干不安になるが、110キロくらいは当たり前に出すので、乗っているとかなり速く感じる。まあ何度か乗ったことあるんだけど。

 列車に揺られ新山口を出て出雲市駅まで3時間半。途中昼寝もしたが、日本海の雄大な景色を眺めながらの車中は全く飽きない。なかなかあの海岸沿いぎりぎりの路線はそんなにないと思う。意外にも外国人観光客も数組乗っていた。こんなところまで観光に来るなんてなかなか通じゃん。やるじゃんなんて思ってた。笑

 沿線で一つおすすめなのは浜田市の道の駅ゆうひパーク三隅だ。高台から線路と海を一望できる道の駅で、よく観光系の書籍や記事で写真が撮られているところだ。そこから写真を撮るには車で行くしかないですけど、

 出雲市到着後は、墓参りを済ませ元々祖父の住んでいた家へと歩いた。今は親戚家族が住んでいるが夕飯もご馳走になり、8歳のいとこと戯れた。2時間ほどゆったりさせてもらい、雨だったので出雲市駅まで車で送ってもらった。

 何度来てもこの駅舎が好きだ。出雲大社を彷彿とさせる駅舎。出雲大社ここにありと言わんばかりのデザインで、出雲に来たことを実感させてくれる。個人的には1番好きだ。

出雲市駅外観

 ここからが今回の旅の1番の楽しみだ。(初日です…)ほんとは帰りの東京始発のサンライズに乗りたかったが満席続きで諦めた。

 人生初の寝台列車。久しぶりにわくわくした。
サンライズが18:50に出雲市駅に入線するとのことだったので、出雲で早めにお土産等を買って、4号車の扉付近に並んだ。なぜならシャワーカードをなんとしてもゲットするためだ。サンライズにはシャワールームがあり300円のシャワーカードを購入すれば列車でシャワーも浴びることができる。しかし、シャワーカードには数が限りがあるので早めに購入しなければならない。シャワーカードは3号車で販売されているが、4号車から乗るとすぐ売り場に辿り着けるとのことだったのだ。

サンライズ出雲@出雲市駅

 入線後、扉が開いてすぐに売り場に向かったがすでに行列だった。なんとかシャワーカードをゲットできた。やった。心の中で小さくガッツポーズ。こんな滅多に乗れない列車ホテルなんだから、なんとしても列車でシャワーは浴びたかった。よくネットで調べておいたナイス自分。

 入手後、6号車の自室へ向かう。今回はB寝台シングルの喫煙ルームだ。特急券に加え、7700円ほどの寝台料金がかかる。サンライズは二階建ての列車なので2階であってくれ!!と願うが一階でした。扉を開けるとシングルベッドと少し荷物を置けるスペースが広がる。ほんとにホテルだった。しかも寝てる間に東京まで運んでくれるのだ。

B寝台シングルルーム

 なんと言おうと格別の12時間だった。こんな贅沢ないぞ!と思い、部屋を真っ暗にして好きなラジオを聴きながら煙草吸ってのんびりずっと外を眺めた。聴き逃していた、星野源さんと佐久間宣行さんのオールナイトを聴いた。

 出発して2時間少し、新見駅を過ぎたくらいでシャワーを浴びた。シャワーカードを入れてスイッチを押すと6分間シャワーを利用できる。温かいシャワーを列車で浴びるのは新鮮だった。カーブの多い山あいの区間だからかなり揺れるしまっすぐ立てなかったが、それもいい味だった。

 知らない街で生活する知らない人がいることに少し安心する。どうしても普段住んでいる場所だと、考えが狭くなり苦しさもあるが、そう言った人を見ると、考えが分散して楽になれるのだ。気にしてしまうことも気にしないでいられるということだろうか。

 列車での睡眠は想像以上に快眠だった。多少の揺れと、ガタンゴトンと一定のリズムを奏でられれると、心地よく眠気に襲われ、ここ数年で最速で眠りに入れたように思える。

 だいたい京都駅を過ぎるあたりで25時を回ったと思う。そのくらいに眠った。

 翌朝は5:45頃に目を覚ました。7:08に東京着とのことだったので、早めに起きて身支度をしたかった。起きると熱海駅を出発したくらいで、相模湾の朝焼けが広がっていた。

 この気持ちよさはなかなか味わえない。普段は寝起きに時間がかかるのに、15分ほどで布団を出られた。準備して外をまた眺める。朝ラッシュの平塚や藤沢、横浜も通った。今から皆さんお勤めなのに私はひとり旅だ。軽い優越感もありながら、働けてない劣等感にも襲われる。そんなぐちゃぐちゃした気分になっていると東京駅についた。

 あっという間の12時間の列車ホテルの旅が終わる。普通に新幹線で前日に来てホテルに泊まるより一万くらいは高かったのに、そんなお金を払ってもまた乗りたいと思えた。

 元来ケチな性分だが、これにはお金をいっぱい使いたい。少し金銭感覚もバグったがいい旅路だった。

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