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ぼくのバラ色の人生 : Ma vie en rose : My life in pink / フランス・ベルギー・イギリス 1997

監督: アラン・ベルリネール
directed by Alain Berliner

7歳の男の子リュドヴィックの将来の夢は女の子になること。神様が染色体の配合をうっかり間違えて今は男の子だけど、女の子になるのは当たり前の未来だと信じている。

私は、リュドヴィックがその夢の複雑さに気づく近い未来を想い、物語の冒頭からずっと泣きながら観ていた。
ただ、劇中最後までリュドヴィックはそれには気づかない。いい、まだいい、気付かなくて良いし、本当は複雑なことなんかじゃない。気付いてあたふたするのは周りの大人たち、勝手にあたふたしてリュドヴィックを巻き込まないで。7歳のリュドヴィックはただ”将来の夢”を持っているだけなのだから。
2020年のドキュメンタリー映画『リトル・ガール』も世間の無理解が描かれるが、1997年の『ぼくのバラ色の人生』(こちらはフィクションだけれど)と比べると家族の理解は異なる。それはとても大きなことだし、この邦題は今なら無いと思うけれど、世間の無理解は2020年も1997年もそんなに大きくは違っていなくてとても歯痒い。

illustrated by mrgcry

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