【タスマニア劇場⑦】
クレイドルマウンテンを目指した理由は特にない。どうせならザ・タスマニアって感じの景色が良い場所に行きたいと探してたら偶然ヒットしただけだ。
まさかこんなにも美しい場所だとは思ってなかった。運が良ければ野生のカモノハシが見れることもあるんだとか、そのくらいの情報しかなかったから期待していなかったのにだ。
山小屋みたいなホテルに泊まって、1周3時間ぐらいかかるトレッキングコースを歩いた。気分的には北海道の十勝あたりを観光している気分にもなる。タスマニアと北海道は似ている、従兄弟みたいな感じで。
「きゃー可愛い」ってポッサムか何かにカメラを向けていた日本人の女の子が、カメラをそのポッサムか何かに奪われそうになって爆ギレして修羅場になってるのが1番印象に残ってるかな。
あれが野生のタスマニアデビルなんじゃないかと思うぐらい甲高い声で叫んでいたよ。悲鳴というやつだ。
オーストラリア野生の生き物たちってだいたい見た目がずんぐりむっくりで可愛らしいんだけど、しっかり中身は野生動物だから気をつけて。決してぬいぐるみでも着ぐるみでもないんだから。
ちなみに道路で車に轢かれた野生動物たちは亡骸を回収するまでの間、二次災害防止のため蛍光塗料でマーキングされる。
だからオーストラリアの夜道を走っていて道端で何かが光っていたら、それはコアラやカンガルー、ワラビーなど野生動物たちの亡骸だから気をつけて、今はどうか知らんけど、その頃はそうだった。
クレイドルマウンテンはすごく良かったんだけど、北海道民にとってはマルチバース的な感じで、違うマルチバースの北海道にやってきた感じかな、そんな雰囲気。これは行ってみたら分かると思う。
そこ、足元凍ってるから気をつけて。
オーストラリアといえばウルル(エアーズロック)が有名なんだけど、残念ながら滞在中に見に行く機会がなかったから、代わりにタスマニアの北部スタンリーに行くことにした。そこにはタスマニアのエアーズロックと呼ばれるザ・ナットがある。
ザ・ナットは男の子が興奮してはしゃぐサイズの岩山で頂上にはぐるりと1周歩いて回れる遊歩道がある。
まず頂上まではリフトに乗って行くか歩いて登るんだけど、どこか場末のスキー場かってぐらいオンボロのペアリフトが設置されていて、あれがもしかしたら人生で1番怖かった乗り物かもしれない。
グルッと回って楽しかった、ぐらいの印象しかない。けっこう満喫したとは思うんだけど、どこに行っても景色が良いから、景色が良かったプラス何かないとあまり印象に残らない。贅沢にも良い景色にはもう慣れていた。
ちなみにスタンリーは人口500人ぐらいの本当に小さな町、以上。
そんなわけで、ワーキングホリデーの終盤をタスマニアの旅で満喫し、デボンポートの港からメルボルンへ向かうフェリーに乗る。
ワーキングホリデーのビザは2ヶ月ほど残っていたけど、もうお金がなかったからあと1ヶ月で帰る予定だったんだ、そのフェリーに乗る前までは……。
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