【カヌーポロ】ルール解説

カヌーポロは1990年頃に世界のルールが統一されてから、2年に1回のペースでルールが改定され、まだまだ発展途上のスポーツです。大きな変更があることも多々ありますが、日本ではなかなか広く周知することができず、地域によっては何年も前のルールのまま、という事もよくあります。

競技人口が少ないにも関わらず、国内でルールが浸透していない。いざ最新のルールを知ろうとすると日本カヌー連盟にてルールブックを購入しなくてはいけないので、ハードルが高いですね。ここではカヌーポロ の普及に少しでも役に立てればという事で、2021年現在のルールについて少し解説してみたいと思います。

難易度☆ キーパーチャージ

最もメジャーで簡単な反則です。相手チームのキーパーに当たってはいけません。相手のディフェンスの選手を押し込んで、そのディフェンス選手がキーパーに触れてしまった場合も同様に反則です。自分が漕いでいないのに、キーパーに触れてしまった場合は反則にはなりません。なぜキーパーに触れたらダメなのか?簡単に言えばキーパーはパドルを上げて漕げない状態のため、その選手を押してしまえばゴールはガラ空きになってしまいます(笑) ちなみにパドルを上げていなくてもゴール下でゴールに最も近い選手はゴールキーパーと見なされ、接触するとキーパーチャージとなります。

難易度☆ 5秒ルール

これも比較的簡単なルールです。5秒以上その場でボールを所持してはいけません。5秒以内にボールを水平に1m以上移動させないと反則です。つまり真上に1以上投げて再度キャッチするというのはカウントがリセットされません。また、水面でボールが流れてしまって結果1m移動したというのもダメ。前・横・後ろなどに1m投げなければいけません。ドリブルは1m以上投げて再度ボールを所持するという事で成立します。

ドリブル 画像

難易度☆ ショットクロック

こちらは2011年に制定された比較的新しいルールですが、オフェンス時、60秒以内にシュートを撃たなくてはいけないというルールです。

バスケットボールの24秒ルールと同じですね。これ以前のカヌーポロは点を取ったら後は安全策を取ってひたすらボールを回し続けるなんてことを横行しておりました。ショットクロックの採用により、スコアが動くエキサイティングなスポーツに前進したと思います。シュートを撃ってコーナースローになった場合はリセットされますが、パスカットでラインアウトされた場合は、ショットクロックはリセットされません。

難易度☆☆ パドルの反則

パドルの反則は危険なものが多いです。相手選手の手にパドルが当たる場合は当然反則ですが、当たっていなくても触れる可能性のある距離は危険と見なされ反則になります。特に相手選手の後方から出すパドルは危険行為として重いペナルティを科されます。イエローカード(2分間退場)とともに相手チームにゴール・ペナルティ・ショット(サッカーでいうPK)が与えられます。

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このような後ろからのパドルは当たっていなくても悪質なファウルと見なされる。


難易度☆☆ カヤックタックルの反則

カヤックで相手選手にぶつかる時の反則です。カヤックの側面に80~100°の鋭角でタックルすると危険と見なされ反則となります。

カヤックタックル

また、正面や斜めであっても相手の艇に乗り上げ身体に接触する、あるいはスプレーデッキの上に乗り上げ漕ぎ続ける行為も同じくカヤックの反則です。鋭角からのカヤックタックルでも、艇の先端(バウ)を沈めて相手選手の艇の下に潜り込む場合は反則にはなりません。これはある程度技術が必要なので中級者以上でないと難しいと思います。

難易度☆☆ ホールディング

ホールディングの反則の範囲は広いです。ボールをデッキに乗せたまま、漕ぐとホールディングの反則になります。また、相手の艇に寄りかかる等の行為もホールディングです。また、相手が所持しているボールを奪う際に腕に接触する、または直接触れていなくても腕に圧力がかかるような行為は反則です。

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難易度☆☆☆ ハンドタックルの反則

ハンドタックルは、カヌーポロの迫力あるプレイの一つでこれが決まるととても盛り上がりますが、実はとても難しいのです。体の側面、または背面からのみハンドタックルすることができます。その際、押すことができる箇所は肩・背中・脇の下で、腕などはNG。また、肩であっても正面からのハンドタックルは危険な行為として反則となります。

無題

難易度☆☆☆ オブストラクション

進路妨害の反則です。カヌーをぶつけての進路妨害や、相手の艇を漕ぎ続けて追い出すような行為は反則となります。並走している場合でも直進を妨害していると判断されれば反則です。

例外があり、ゴール前(6mライン以内)のゾーンディフェンスの中だけは相手を押し合いをして妨害することが認められています。そうじゃないとオフェンス側がなんでも出来てしまうのでディフェンスなんて出来ませんね(笑) 6m外でもボールを持っている選手に対しては漕いでプレッシャーをかける行為も認められています。

オブストラクションの反則は審判も判断が難しく、どこまでがゾーンディフェンスの範囲なのか?並走と妨害の境界線って?というところで悩みますが、実際のところ「審判次第」な事も多いです。

難易度☆☆☆☆ イリーガルジョッスル

これはカヌーポロの中でも特に難しい反則の一つです。実際に適切にジャッジできる審判は少ないんじゃないでしょうか。ジョッスル(押し合い)ですが、先程のオブストラクションのところでは、ゾーンディフェンス内であれば妨害、押し合いはOKと書きましたが、限度があるという事です。

ルール上は相手選手を漕いで2mの水平移動をさせると反則となる、と書いてあるのですが、「相手も抵抗している中でじわじわ押し込んで結果2m動いた場合は反則なの?」「一旦1mでストップして、再開してもう1mだったらOKなの?」みたいな曖昧な部分が多く、国際大会でこの反則が取られているケースは少ないです。※アジアの大会ではたまに見られますが、ヨーロッパや世界選手権では稀です。

現状、あまりこの反則の事は気にしないでプレイしても問題ないと思います。今後のルール改正や審判のトレンドによっては頻繁に取られる反則になるかもしれませんが、最初に述べた通り、適切にジャッジできる審判はほとんどいません。国内でいえば皆無かもしれません。

まとめ

今回はルールについて解説しました。2年ごとに行われるルール改正では、よりスピーディーでエキサイティングなスポーツとしてやる側も見る側も楽しいスポーツに変化しています。一方で、ルールの厳格化により曖昧な解釈をなくすとともに、安全面に配慮したルール改正も多く見られます。

とはいえ、今回触れた内容では伝えられないくらい判断が難しいケースや細かい規定などがあります。そのあたりは実際プレイしていく中で徐々に身に付けていけば良いと思います。

今回の記事で少しでもカヌーポロのルールが伝われば幸いです。




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