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あなたの背中

その人はいつものあの机で、書き物をしていた。向かいの大きな窓からは西陽がさして、彼の影を少し長細くしていた。彼が何かを勉強しているのだということに気がつくのに、そんなに時間はかからなかった。


彼は英語を勉強していた。昨日も今日も明日も明後日も。私はそんな彼の背中越しに座って黙々と文章を書いたり、本を読んだりしていた。彼の名を、わたしは知らない。でもひとつ、わかることがあるなら、あの日から私は彼のことがずっと好きだったのだと思う。


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