見出し画像

英語で「死」の婉曲表現は何と言う? 10歳女子と大人の違い【インターママ英会話】

ネイティブの子ども(または幼少期から英語教育を受けてきている子)と英語で話すのは、大人と話す以上に難しいです。

英語での会話においては、日本語のように「察する」習慣がないといわれますが、とはいえ、英語話者でも大人はわりと「察して」くれて比較的話が伝わりやすいものです。特に、マレーシア人のような英語が母国語でないけど話せる人たちは察し力が高いと感じます。

しかし、子どもは、「自分たちがいつも使っている自然な表現」でないとなかなかわかってくれません。さらに発音が悪かったりすると、英語を話しているとすら思ってもらえず、耳に届くことなくまるっと無視されてしまうことも。
言語的に未発達な幼児以下、もしくは大人に近い年齢である中学生以上よりも、小学生くらいの子との会話が私はいちばん緊張します。

さて、今日のお話は、そんな小学生女子たちの英語での会話からの考察です。夏休みの終わりごろに、娘が北米在住のお友達(英語ネイティブ)を訪ね、その子とその妹(幼児)と遊んでいたときのお話です。

公園で小動物の○○を発見


その日、娘とお友達は、広い芝生エリアのある大きな公園で遊んでいたのですが、そこにあった大きな木の根元に小さな哺乳類の姿を見つけました。まだ赤ちゃんと見受けられるその動物は、木の上から落ちてしまったのかカラスにでも攻撃されたのか、すでに命を落としていました。私は少し離れたところから見ていましたが、女の子たちは大きな葉っぱをブランケットのようにかけて弔ってあげて、それからまた遊びに戻りました。

そしてその帰り道。娘はこう言います。

「さっきの赤ちゃん動物の死体のこと、友達の妹ちゃんがいたから『Die(死)』っていう言葉を使わないように、工夫したんだよ。『死ぬ』って、あまりいい言葉じゃないでしょう?小さい子によくないと思って」

とのこと。

「へえ、そうなのね。なんて言ったの?」
と聞くと、ネイティブのお友達と一緒に考えた3つの表現を教えてくれました。

1.Eternal sleep

「永遠の眠り」。永眠、という表現が日本語にもありますが、死を遠回しに表現しようとするとまずはこのニュアンスが思いついたようです。

(ちなみに、永遠というと「forever」という言葉が浮かびますが、娘に聞くと「forever sleep」とも「sleep forever」とも言わない、とのこと。
「forever sleep」は「おかしい」。
「sleep forever」は「(文法的には)あってるのかもしれないけど、まず言わない」との娘談)

英語力自体は大人になってからでもつくけれど、こういう「ニュアンス」が大事なものや、「新しい言葉や表現を作る」などのことにおいては、やっぱり子ども時代を海外で過ごすことならではのメリットかな、という気がします。

2.Deep deep sleep

「深い深い眠り」。おとぎ話のような響きで、女の子らしい表現。悲壮感がなく、繰り返しによる音のリズムが良く、幼児にも伝わりやすそうです。

3.Hibernation

これは「冬眠」という意味の単語。「ハイバーネイション」と読みます。(北米は8月末ですでに涼しくなっていたので、季節感もあり)

小学生ならではの語彙力!  大人の日常会話の勉強ではなかなか到達しにくい言葉です。常夏のマレーシアでは日常生活で使わなそうなのに、よく知っていたな、と感心。
フランス語で冬のことを「hiver」といいますので、ラテン語源の言葉なのでしょう。

「Hibernation(ハイバーネイション)」はIT用語でもあり、「スタンバイ」に類似の省電力状態を意味する言葉です。大人はそちらで聞いたことがある人もいるかも?

なお、海外でも広く人気のマンガ『DAMON SLAYER(鬼滅の刃)』でも、序盤でこの言葉がでてきています。

How did this happen? A bear? 
なんででこんなことになったんだ。熊か?

Maybe a bear too hungry to hibernate? 
(空腹すぎて)冬眠できなかった熊が出たのか?

Damon Slayer: Kimetsu no yaiba, Vol.1 (English Edition)


このシーンの英語訳です(画像はAmazonの試し読みより)

「Hibernation(冬眠)」は英検1級レベルの単語ですが、子どもにとっては「常識」のボキャブラリーなのですね。

大人の英語では「死」をなんと表現する?

大人同士の会話の場合でも、「死」は婉曲表現を用いることが一般的です。最も一般的といわれていて、実際の生活の中でも聞くものは「passed away」です。「is gone」もよく使います。

その他の表現は以下のコラムにまとまっていますのでご参考まで。

「死亡」「逝去」「他界」を英語で婉曲的に表現する言い方 | オンライン英会話のWeblio英会話コラム(英語での言い方・英語表現)

「死ぬ」「亡くなる」に関する婉曲の英語表現 | ネイティブと英語について話したこと (talking-english.net)

あと、コロナ大流行の頃にローカルママ友と話していて何度か聞いたことのある表現としては、「couldn't make it」という表現です。
もともと、「make it」で「達成する・できる・間に合う」といった意味合いがありますが、「(病気にかかって治療をしたけど)生還できなかった」、「(事故にあって治療したけど)助からなかった」みたいなニュアンスとして、文脈によっては死を意味することができるのだと理解しています。
日本語でいうと、「(治療したにも関わらず)ダメだった」みたいな感じですね。

「make it」は、とても便利でナチュラルな言い回しで、日常英会話においてマスターしておきたいニュアンスのフレーズです。こちらが参考になります。

make itの意味と使い方 | ネイティブと英語について話したこと (talking-english.net)

婉曲表現、会話の中に突然入ってくるとなかなか戸惑いますよね。
「死」については頻繁に婉曲表現が使われるのと、会話の中で聞き返しづらいことでもあるので、一応ひと通り知っておくといいかな、と思います。

上記サイトにある「kick the bucket(バケツを蹴る)」は使ったことも実際の会話で聞いたこともないけど、「死ぬまでにしたいことリスト」のことを「backet list」と言うのはわりと頻出ですね。

そして、上記のような日本語でのまとめではなく、英語ネイティブのライターによる「死の婉曲表現あれこれ」はもっとバリエーション豊か。なるほどな、という感じです。
おまけとして、こちらのアメリカ人ライターのJoe Olivetoさんのブログ記事も貼っておきます。

What Does ‘Kick the Bucket’ Mean? | Cake Blog (joincake.com)
(「バケツを蹴る」とはどういう意味ですか?)


ではでは、また。

※ほかに「これについて聞きたい」ということがあれば、ご遠慮なくコメントやご連絡をくださいね。

※スキやコメント、励みになりますのでよろしくお願いいたします

スキやコメント、サポート、シェア、引用など、反応をいただけるととてもうれしいです☕