アスベスト

僕はアスベストが好きだ。
アスベスト抜きでは僕を語れないというほどではないけれど、
アスベストが好きだ。
アスベストのことを好きというと、
普段からアスベストと暮らしているから、
衣類や身体に付着しているのではないか?近寄り難いと思う方とのために弁明させて欲しいのだが、石綿を置いて鑑賞したりするのは僕だってやらない。
「アスベスト」という言葉が好きなのだ。
アスベストから漂う雰囲気が好きなのだ。
好きというとぼやっとしているので、詳しくいうと。
アスベストはおもしろいのである。
さくらんぼがおいしくて好き、
高倉健がかっこよくて好きのように
アスベストがおもしろくて好きなのだ。

おいしいのが好き、かっこいいのが好きと同じように
おもしろいのが好き。
「この建物アスベストまみれだよ」「このパン焼きたてなのに全然熱くないでしょ、アスベスト使ってるんだって〜」この不穏さ。
使われてはいけないものが使われちゃっているのがおもしろい。
何にでもアスベストを入れると面白くなる、カレーみたい。全部カレー味になってしまう、全部アスベスト味になる。
もしアスベストが街中を歩いていたら
「ファンなんです!握手してください!写真撮ってください!」って言ってしまうだろう。
こういう時期だから近寄ってコンタクトを取るのは控えた方がいいだろうか。
あちらも有名だからコロナ感染対策に細心の注意を払っているだろうし断られるかな。

いや、いくら言葉だとはいっても
アスベストさんが石綿を含んでいないわけがないのでそもそも近寄らないほうが身のためか。

にゃーん